ユビーAI問診のロゴ
平均56分だった問診完了までの時間が平均21分まで短縮。 導入に際しAI問診センターも開設し、積極的なシステム化に取り組むのアイキャッチ画像

平均56分だった問診完了までの時間が平均21分まで短縮。 導入に際しAI問診センターも開設し、積極的なシステム化に取り組む

富山県

社会福祉法人 恩賜財団 済生会 富山県済生会高岡病院

高野 敦子 医療局長

野村 優香 初診AI問診センター

戸口 喜代美 初診AI問診センター

畠山 恭子 初診AI問診センター

谷   恭子 外来看護師長

鼎   淳子 経営戦略室室長

藤川 泰永 経営戦略室主幹

病院
100~300床
医師の業務効率化
看護師の業務効率化

〈ユビーAI問診の導入背景〉


医師働き方改革を見据え、医師の負担軽減を図るために導入を開始した


医師働き方改革が進み、2024年以降には医師の負担軽減が制度化・施行される見通しです。当院でもそれを見据え、令和2年(2020年)度よりタスクシフティングと勤務環境改善の事業に取り組んでいます。その一環として、医師の負担軽減を図るためにユビーAI問診を導入しました。
当院はずっと紙問診を使っており、しかも診療科ごとに異なっていて共通問診というものがない状態でした。各診療科の医師の意向がかなり強く、それぞれの科で納得のいく紙問診を使っていて、それでも書ききれないところは看護師さんが診療前に追加問診をして補うなどの形をとっていたんです。
しかしそうすると、初診患者さんを中心に問診時間が非常に長くなり、待ち時間がとても長くなったり、医師や看護師の負担が増えたりという課題がありました。その課題解決のために、令和3年(2021年)3月にユビーAI問診を導入しました。4月にはAI問診センターを設置、5月から本格稼働を始め、現在稼働から7ヶ月が過ぎ、対象診療科を広げたり救急での利用を開始したりするなど、取組みを拡大しているところです。

〈ユビーAI問診の導入目的〉


主目的は初診患者の問診時間短縮と医師や看護師の負担軽減


目的として掲げたのは、早期の診断実現とトリアージでの医師の負担軽減です。より具体的に言うと、初診患者さんの問診時間の短縮による全体の待ち時間短縮と、救急を含めた外来での医師・看護師の業務効率化・負担軽減ですね。また、医師・看護師の負担軽減によって、より患者さんと向き合える医療の実現にもつながれば、と考えています。


〈ユビーAI問診の導入効果〉


一番長い科で平均56分だった問診完了までの時間が平均21分まで短縮された


現在ユビーAI問診を導入しているのは、内科・リウマチ科・整形外科・外科・脳神経外科の5科なのですが、初診患者さんの待ち時間短縮に関してはっきりと効果が出ています。
これまで最も問診時間がかかっていたのが整形外科で、患者さんがご来院されて紙の問診を書いていただき、さらに看護師が追加問診を終えるまで、平均で約56分かかっていました。それがユビーAI問診導入後は、ご来院から患者さんがタブレットの入力を完了されるまで、平均約21分になりました。その後、AI問診の情報をプリントアウトし、足りない部分を看護師が追加問診する必要はあるのですが、追加問診も以前に比べて聴くポイントをかなり絞れるようになったため、その分を合わせてもかなり短縮されていることは間違いありません。
同様に、内科は問診時間が平均43分から平均18分まで短縮されました。リウマチ科と外科は数が少ないためそこまでの変動はありませんが、全体として非常に大きな成果だと思います。
また、待ち時間短縮には、ご来院からの問診までのフローが変化したことも関係しています。以前は、ご来院されたらまず総合受付で受付していただき、それから各診療科窓口に行っていただき、そこでやっと紙問診をお渡しする形でした。都度待ち時間があって、問診の紙をお渡しするまでにかなり時間がかかっている状態だったんです。
それが今は、総合受付してから、初診の方はそのまま隣のAI問診センターに行ってタブレット入力、AI問診センターで電子カルテに貼り付けを行います。患者さんが診療科に来られたときには、看護師がすでに入力データをプリントアウトして、追加問診の準備をしている状態です。そうしたフローの変化でも、タイムロスを減らすことができました。

問診に加え紹介状や薬の情報を取り込めるため、クラークの負担が大幅に軽減


以前は、紙問診の内容をクラーク(医師事務作業補助者)が電子カルテに入力していたのですが、導入後はすべてAI問診センターで入ってきますし、紹介状や薬の情報も取り込まれるので、クラークのカルテ入力業務はかなり軽減しています。特に紹介状や薬の情報はクラークが一から打ち直していたので、打ち間違いなどの心配がなくなるのも非常にありがたいです。
問診時の作業負担も軽減されたと思います。紙問診ですと患者さんによっては、「腰が痛い」などの一言しか書いてくれないこともあり、看護師が横に座って全部聴き出すような場合もありました。しかしAI問診ですと、患者さんが順番に質問に答えていくので、ある程度必要な情報はしっかりとれるため、付きっきりで聴くことは少なくなりました。

〈今後、ユビーAI問診に期待すること〉


情報をしっかりとりつつも、入力が長くなりすぎないように問診量や内容に工夫を


前述の通り、紙問診からタブレットになったことで問診時間はかなり短縮されたのですが、それでも「質問が多い、入力が長い」という意見は、スタッフからも患者さんからも挙がっています。もちろんさまざまな観点から疾患を考えるために、たくさんの質問で情報を集めないといけないのですが、「これは関係あるのかな」と感じるような質問も中にはあるように思います。
特に当院はご高齢の患者さんが多いので、あまり質問が多くて長いと入力自体ができるのかなという不安もあります。今のところ、約9割の患者さんはこちらで少しサポートすれば最後まで入力していただけていますが、70代以上の患者さんの場合、入力時間がかなり長くなっている印象です。患者さん全体で入力に平均20分程度、短い方なら6分程度なのですが、70代になると20分以上かかる方が55%、30分以上かかる方が17%になります。一番長い方は44分かかっており、この患者さんも70代です。難しいバランスだとは思うのですが、十分な情報は取りつつ、ご高齢の患者さんでももう少し負担をかけずに入力ができるような工夫を期待します。

薬のデータに関して先発薬とジェネリックが重複する部分を改善してほしい


薬のデータを取り込めるのが非常に便利なのですが、先発薬の名前とジェネリックの名前が両方取り込まれるため、分からない人が見たら「薬を二重に飲んでいるのかな」と勘違いしてしまう可能性があります。さらに、それが同じ名前の場合もあれば、まったく違う名前になる場合もあってややこしいため、その部分を改善していただきたいです。
もう一点薬に関してなのですが、患者さんによって最近では電子化されたお薬手帳をスマートフォンに入れている方がいらっしゃいます。現在のシステムではそれを取り込むことができないので、そちらが連携できるようになればさらに効率的になるのではないかと思います。

〈病院として目指している未来〉


システム化で負担軽減を進め、医師や看護師がより処置に集中できるようにしたい


今後ですが、医師や看護師が診療や処置、専門的な対応により集中できるように、こうしたシステム化で負担軽減できる部分はさらに強化していきたいと考えています。それから、AI問診についても今はご来院時にご利用いただいていますが、今後はスマートフォンを使って外で問診ができるなど、ユビーさんのそういったシステムも活用して広げていきたいです。
そのうえで、今後重要になってくるのが「70代の患者さんにどう対応していくか」だと考えています。当院は高齢化している地域にあり70代の患者さんが多いのですが、身体面では基礎疾患が多い反面、現役で働かれている方もいて、精神的には「まだ大丈夫」と感じられている方が多いです。そうした患者さんにもプライドを尊重しながら「医療も電子化が進んだ時代を迎えたんだよ」とご理解いただけるように、丁寧に根気よく対応や説明をおこなっていく必要があると考えています。
ただシステムを入れるだけでなく、「こうすることで患者さんの待ち時間も短くなりますよ」「きめ細かい診療ができますよ」ということを患者さんに十分に説明すること、医師や看護師はじめスタッフにも「このシステムを入れることで、この面で負担が軽減されますよ」ということを十分に説明することが重要です。そうした人的な現場でのコミュニケーションを大切にしながら、今後さらなるシステム活用を進めていきたいです。

お役立ち資料

資料ダウンロード病院経営の成功事例集
資料ダウンロード