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働き方改革の一環としてICTツールを積極活用。スタッフの負担を軽減するとともに、患者さんの利便性をより高めたい

岐阜県

岐阜市民病院

山田 誠 副院長兼医療推進局長

柴田 悠平 血液内科部副部長

病院
500床以上
医師の業務効率化
看護師の業務効率化

〈ユビーAI問診の導入背景〉

スタッフの負担軽減のため、ICTツールの積極活用が掲げられていた

昨年度の病院重点項目のひとつに「ICTツールの導入」があり、スタッフの負担を減らすためにICTツールを有効活用していこうと考えていたんです。その際に「ユビーAI問診」のことを知り、スタッフが問診内容を紙から電子カルテに転記するといった負担軽減面でも、また患者さんに「こうしたツールを積極的に活用し、より詳しく症状を把握することで診療の質向上に役立てようとしている病院ですよ」とアピールする面でもうってつけだと感じ、導入検討を開始しました。

内科だけでも年間で約590万円・1,100時間の削減効果が期待できるという試算も

当院は市民病院なので導入まで時間がかかることもあるのですが、院長・事業管理者にプレゼンテーションを進めていく中で、タイミング良く柴橋岐阜市長にも実際にさわって体感していただくことができました。
また、ユビーさんから当院の規模だとどのくらいコストを削減できるかの資料をいただいたのですが、内科だけでも、医師・看護師等の単価から考えて削減コストが年間で約590万円、時間にして1,100時間削減効果が期待できるということだったんです。その資料を院内で提示できたことも、導入がスムーズに進む要因になりました。

〈ユビーAI問診の導入目的〉

働き方改革に向け、医師の時間外労働を削減する必要があった

全ての職種が働きやすい環境をつくることがもちろん最終目標ではあるのですが、直近の課題として、2024年度の医師働き方改革に向けて、まず医師の時間外労働を削減する必要がありました。分析を進めた結果、診療科によって違いはありますが、目標であるA水準(上限:年960時間以下・月100時間未満 ※休日労働含む)を満たしている医師は70%くらいで、残り約30%は何らかの対策が必要な状態だったんです。
中でも、外来での負担が大きく、そこで時間が取られていることが分かりました。特に初診時なのですが、患者さんの情報を問診表からカルテに転記したり、不足部分をまた患者さんに聞き直したりと、そうした手間が非常にかかっていたんです。その手間と時間を大きく削減することが、『ユビーAI問診』導入の大きな目的でした。

ユビーの導入とタスクシフトの掛け合わせで医師の作業負担を削減

ただ、『ユビーAI問診』の導入だけで全て解決するわけではないので、ユビーの導入とタスクシフトを掛け合わせる形で進めています。医師だけで作業するのではなく、ドクタークラーク(医師事務作業補助者)に手伝ってもらい、ユビーで取り込まれたものを電子カルテに転記し、ドクタークラークがサマリーとして作ったものを医師が使うという形をとっています。ドクタークラークも、以前は患者さんのお薬手帳などを手作業で転記していたのがスキャナで取り込めるようになったので、ユビーの導入で作業負担は減っていますね。

〈ユビーAI問診の導入効果〉

紹介状やお薬手帳を電子で取り込めるので初診業務の手間が減った

いきなり病院全体に導入するのはリソースの問題で難しいため、まず内科を中心に導入を開始しました。現場からは、問診がすでに完成していること、紹介状やお薬手帳の取り込みも電子化された状態からコピーするだけで手間がなくなったことなど、便利だという声が上がっています。よく使ってくれている若い世代のスタッフを中心に、初診業務の手間が減ったという意見は多いです。
『ユビーAI問診』の導入によって、初診患者さん1人当たりにどれくらい時間削減ができているかについては、正確な数字は難しいのですが、感覚値では問診が半分くらいになっている印象です。平均して、10分だった診療時間が5分程度にはなっているかとは思います。

ご高齢の患者さんでもサポートすれば最後まで入力可能

患者さんからの『ユビーAI問診』に対する反応ですが、当院はどうしても70~80代の高齢の方が多いため操作に戸惑われる方はいらっしゃいます。ただ、実際に全くできないという人はほとんどいらっしゃらず、多少サポートすれば最後まで入力してくれます。
感覚として、ユビーが使えない患者さんというのは紙の問診表であってもご自身で書くのが難しく、付き添いの方がいらっしゃることがほとんどです。ただ、紙であれば付き添いの方だけで記入できるのですが、ユビーの場合はさらにその手助けでスタッフが必要になります。そこでどうしても人的なリソースが割かれてしまうことはありますね。

〈今後、ユビーAI問診に期待すること〉

手書き対応や、より患者さんを上手に誘導できるインターフェースを

一方で改善点として、インターフェースの面で、実際に使ってみると受付時に紙の問診表の時よりも時間がかかってしまい急ぎで診たい患者さんなのに問診がなかなか終わらない、紹介患者さんの場合に「紹介状を持ってきた」で問診がとまってしまうのが不十分だ、といった意見もありました。特に「紹介状を持ってきました。自覚症状はありません」という患者さんなどの場合に、上手に入力を促し誘導できるようなインターフェースを考えていただけると、より使いやすいのではないでしょうか。
また、紹介状の取り込みの際に手書き対応していない点や、お薬手帳の取り込みの際に、製品名と一般名が二重で取り込まれることがある点なども、今後改善いただければと思います。

アレルギーの問診に関しては、まだ紙の問診表が無くせないという課題も

もう一点、医療安全の問題上アレルギーの問診は別途必要になります。アレルギーの問診は重大なインシデントと直結する可能性があるため、現在のインターフェースを見る限り、まだ紙の問診表は無くせません。
『ユビーAI問診』のインターフェースだと「アレルギーがありますか?」→「はい/いいえ」で、「はい」を押すと具体的に項目が出てくるのですが、実際には具体的な項目が並んでいるのを見て、初めてアレルギーに気が付く患者さんも一定数いるんですね。今の設定ではそこが見落とされる危険があります。
例えば手術患者さんの場合、ラテックスアレルギーに関して問題になりますが、「ラテックスアレルギーがありますか?」という質問だけでは自分でそれに気付けず、「ゴムでかぶれたことがある」「トロピカルフルーツで喉がかゆくなったりイガイガしたりすることがある」など具体的に書かれてあって、それにチェックする形でないと気付けないということは往々にしてあります。
他には、花粉症持ちでも「アレルギーなし」と回答してしまう人はたくさんいます。花粉症はアレルギーじゃないと思っている人は意外と多いので、「花粉症はありますか?」という項目が書かれていないと気付かずにスルーしてしまう。そうしたところをカバーできるように、今後アレルギーの問診に関しては細かく工夫いただくことを期待します。

〈病院として目指している未来〉

地域の患者さんに選ばれ頼りにされるよう利便性を高めていきたい

当院は急性期の市中病院ですので、やはり地域の患者さんに選ばれ頼りにされる病院であり続けることが一番の目標です。そのためには適切な治療はもちろん、患者さんの利便性をより高めていきたいと考えています。
『ユビーAI問診』もそのために役立つツールですので、今はほぼ内科にしか導入できていませんが、できれば来年には全科に広げたいです。ただ、そのためには各受付スタッフのリソース確保や、総合受付近辺にAI問診センターのようなものを設置することなども必要になるため、それに向けた取り組みを進めていく予定です。

ICTツールの積極導入を推し進め、患者さんに還元していきたい

冒頭で昨年度からICTツールの導入に取組んでいると話しましたが、今年以降、さらにそれを強化し、病院全体でICTを活用していこう取り組みを進めています。そもそも、岐阜市自体がICTの積極活用を進めているので、病院としてもそこは市の動きに合わせてやっていこうという話になっています。
『ユビーAI問診』もそうですが、今後はさまざまなツールを導入し、またそれを患者さんに広く知っていただき利用していただけるようにすることが一番だと考えています。コストはかかりますが、患者さんに精度の高い治療や利便性として還元できるよう、これからも取り組みを進めてまいります。

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