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AI問診導入による業務効率化を推進する、適切な運用体制へのチャレンジ

愛知県

医療法人豊田会 刈谷豊田総合病院

磯和秀子 看護部長

淺田幸子 副看護部長

石川優子 外来師長

花隈裕子 外来看護師

病院
500床以上
看護師の業務効率化
患者待ち時間削減
問診効率化

〈ユビーAI問診の導入背景・目的〉

医師の働き方改革に向けたプロジェクトを通じて、問診取得の負担軽減を目指したい

当院では、働き方改革に取り組むためのプロジェクトを立ち上げていました。その中で、他の病院での取り組みを学ぶために見学に伺った先で、ユビーAI問診に出会いました。

当院では紙の問診票を採用しておりましたが、問診票を渡しても書いていただけないケースもあり、細かいところがまったく聞き取れないまま診察を始めなければいけないケースも少なくありませんでした。内科外来については問診ブースで看護師がしっかり問診を取るという形を取っていたのですが、ご高齢の患者さんをはじめ聞き取りに時間がかかるケースも多く、看護師の負担は大きかったと思います。

見学に行った先の病院では、事前に問診内容がカルテに反映されていることで医師の負担も少なくなったようです。また、看護師による追加問診を実施していた内科外来を中心に、当院の医師からも、電子カルテに必要な情報が入った状態で診察できるのは非常に助かるとの声があったため、全科での活用を目指した導入を決めました。

〈導入によるメリットと今後の課題〉

適切な運用に向けた体制作り

全科一斉に導入を開始したため、それなりの混乱もありました。各診療科ごとにサービスに対する理解度や運用に対する意欲にも差があり、当初は診療科ごとの利用率にも差があったのが実情です。
そのため、導入後も継続して各診療科の利用状況を元に運用の見直しや、問診内容のカスタマイズを個別に実施していきました。結果として導入する診療科を絞ることになりましたが、ユビーのスタッフの方にも協力いただき、しっかりと活用できるオペレーションや問診内容を作るための土台作りに注力できた点は良かったと思っています。

また、患者さん向けの対応については、看護部だけではなく、医事課や各診療科のスタッフにも協力してもらい、患者さんへの説明や問い合わせにも対応してもらえる体制を作りました。その後、来院前問診についての積極的な告知を開始し、今に至ります。

患者さんの反応としても、大きなトラブルはなかったですね。操作上の問題はほとんどないですし、もっとたくさん質問や問い合わせが来ることを想定していましたが、想像以上にみなさん使いこなしてくださっているなという印象です。

来院前問診、スキャナー活用のメリット

特に小児科を受診する場合など、小さなお子さんがいるご家庭にとっては、問診を書くこと自体も負担だと思いますし、できるだけ病院にいる時間は短くしたいものだと思います。自宅で問診に回答してからご来院いただくことで滞在時間を短くしたり、症状をしっかりと伝えることができる。これは患者さんにとっての大きなメリットだと感じます。

また、効率化という観点においても、紹介状やお薬手帳のスキャナーは時間短縮に貢献していますね。事実、当日紹介状を持ってきた患者さんの診察においては、以前であれば受診の経緯や紹介状の内容をすべてその場で電子カルテに打ち込んでいましたが、その作業がなくなりました。紹介状をスキャナで読み込んでカルテにすぐ反映できるのは非常に助かりますし、お薬手帳についても、薬の転記を間違えるというリスクがなくなるのは素晴らしいと思います。


今後の課題

ユビーAI問診を使って、どういう状態を目指すのか、何を効率化するのかという目線合わせを継続していくことだと思います。今、困っていないから必要ないではなく、より患者さんにとっての満足度を上げることや、日々の現場業務をどう効率化していくか、それを現場単位で考えていく必要がありますね。一度診療科を絞ったところからのスタートにはなりましたが、その分導入診療科での活用度合を上げていくことで、効果的な活用事例が生まれることを期待しています。

〈今後、ユビーAI問診に期待すること〉

今年から救急外来での活用をスタートしようと考えています。ウォークインで来られる患者さんについては、自宅で問診を入力することで来院後の時間短縮が期待できますし、事前のトリアージもしやすくなると考えています。事前に患者さんの情報が手元にあることで、救急外来の対応を効率化し、同時進行で対応できることが増えるのではないかと期待しています。ただ、救急外来においては地域柄外国人の受診も多いため、外国語版があると非常に助かりますね。実際に言葉の壁があるせいで、診察に時間がかかってしまうことも少なくありません。

また、化学療法前の定型問診や、内視鏡、MRIなどの検査前の問診、入院時のアナムネについても、定型とはいえ毎回書き起こしが発生しているため、特定の分野に沿った問診があるとさらに使いやすくなると思います。

病院として目指している未来、今後の取り組み

医師、看護師ともに人手不足が予測される中で、業務改善や効率化は今後も注力しなければならない課題です。外から採用するだけではなく、人材育成についても手を抜くことはできません。ただでさえやることが多い中で、スタッフが長く働ける環境をどう作っていくか、負担をかけずに既存業務をどう効率化していくかは継続的な取り組みが必要です。

一方、いくら効率化を推進したとしても、あくまで患者さんを第一に考えることを忘れてはいけないと思っています。患者さんに寄り添ったケアをするということは絶対に外せないポイントです。AIを始めとしたツールの導入でできること、人ではないとできないところを切り分けて、本当に患者さんに沿った対応ができているかを見直し続けることが大切ですね。

今後さらなる救急医療への取り組みや、災害医療への対応もより一層強化していきます。病院として求められるものが増えていく中で、患者さん第一でのケアを継続していくためにも、新しいものは積極的に取り入れていきたいと考えています。


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