導入の背景
当院の理事長先生が北海道でUbieさんのプレゼンを聞いて一目惚れされました。私も理事長先生からお話を聞き、「これは医療の現場を変える!」と確信してUbieさんに直接話を聞く前に導入を決めていました(笑)
当時、病院の加算体制を整えるため、病棟で、看護師の人数を確保しておきたいと考えていました。外来は病院の体制加算に影響しないので、構造的に人員体制として手薄にしている医療機関も少なくありません。当院でも同様に考えていましたが、なかなか取り組めていませんでした。
看護師を採用しようと思っても、若い世代が都会へ流出しやすい地方医療圏では採用はなかなか思うようには進みません。また現場のスタッフに業務負担をかけたくないと思っても、協力を求めざる負えない状況でした。
十分な体制の整いづらい外来では、患者さんが診察までに1~2時間待つこともありました。そのため、患者さまからクレームがでることもありましたし、病院としては患者さまが待機することなく診察までスムーズに案内したいと思っていたので歯痒さがありました。なんとかしたいと思っていても解決できる方法がこれまではありませんでした。
このような状況をふまえ、患者さまに安心していただける病院をつくりたいとユビーAI問診の導入を決めました。看護師ひとりの費用と比べたら圧倒的に安い。「このシステムがなぜこんなに安いのか?」と不思議に思いました。看護師の20%程度の価格で安定稼働し続けているAI問診ユビーは非常に安価であると思います。
期待していたこと
先述した環境を作るために、ユビーAI問診に期待していたのは3つです。1つ目は、もちろん患者さまの待ち時間の削減と有効利用を行い患者満足度向上につなげていくこと。2つ目は、外来看護師の教育(問診の取り方のアルゴリズムの体得)としての活用。3つ目は、拡張性の高いAIシステムとともにUbieさんと一緒に医療の未来をよくしていくことです。
1. 患者さまの待ち時間削減と満足度向上
まず、待ち時間の削減と有効利用によって患者さまの満足度を向上させていきたいと思っていました。
この点は我々にとって最重要ポイントでした。診察まで1時間以上も待つような病院は敬遠してしまうでしょう。実際に待ち時間が長くなることで、容態が悪化してしまったり患者さまが別の病院さんを選ぶリスクもあります。
しかし、AI問診システム導入により待っている時間内に問診内容が入力されて「待たされ感」が軽減できますし、実際に待ち時間短縮につながるとおもわれました。そのため、力をいれて取り組みたい課題でありました。
2. 看護師教育への活用
次に、看護師の教育です。特に問診の教育による、予備問診の標準化が必要と考えていました。
なぜなら、予備問診の内容こそが医師の問診負担に影響するからです。あらかじめ患者さまの十分な情報をもった医師は、効率的に対面問診を行なっていくことができます。
これまで外来の問診は看護師によって問診内容の質のばらつきがあると感じていたものの、看護師の育成は中々難しく手をつけられずにいました。院内に看護師の問診を指導できる者が不在のために進められなかったのです。このAI問診システム上の模擬患者さんを利用して自分で入力していくことで、AIの問診アルゴリズムが自然と身につくのではないかと期待しています。
3. AIシステムで医療を共に発展させるパートナー
最後に、パートナーとして医療を発展させることへの期待です。
医療現場は刻一刻と変化してきます。医療技術も知識も進化していきます。そうした中で、共に成長していけるシステムかどうかはとても重要な点でした。Ubieさんと話した時に、あるべき医療の未来にむけて一緒に動いていけると確信しました。病院でのデータをもとにAIシステムとともにあるべき医療の形を共にめざせる仲間であると思ってます。
導入して変わったこと
患者さまの待ち時間の削減
1時間あたりの患者稼働数が改善されることで待ち時間が削減されました。当院では外来の看護師は診察介助には各医師につき1名以上、予備問診に数名(バイタル測定を含む)、さらに受付クラークが内科・外科に一名ずつの配置がされていました。
しかしながら、業務の多い病院においては、この体制でもスムーズに回らず、医師が患者さまを直接呼びにいくこともしばしばありました。しかし、ユビーAI問診を導入してからは予備問診の業務量が減り、看護師だけで患者さまの呼び込みまでスムーズに回るようになりました。少ない人数で患者さまの対応が可能になりました。
医師も時間内に業務が終えられるように
そして、医師も時間内に業務を終えられることが多くなりました。
具体的には、私の場合、30分に6枠患者さまとの時間を用意していますが、導入前は診察室入室後、医師からの問診に時間がかかり患者さまを待たせてしまうことも多くありました。
ユビーAI問診導入後は、重症の急患が入り込まない限りはスムーズに診療が進行することが多くなりました。ドクターが患者さまと真剣に向き合おうと問診をすれば時間がかかります。しかし、ユビーAI問診があれば真剣に患者さんと向き合っても時間内に十分な対応もでき、情報量を減らすことなく電子カルテに反映できます。また、電子カルテばかりを見つめながらの失礼な態度での診療は少なくなり、患者様のお顔を見る時間が増えていると思います。
問診の質の標準化
その下支えとなっていたのが、問診の標準化による医師のカルテ記載ストレスの削減です。ユビーAI問診により生成された問診は、ベテラン看護師と同等かそれ以上に質の高いものでした。
ドクターは電子カルテに情報を記載しなければなりませんが、こと細かく情報を記載するために必要なキーボード操作にストレスがかかります。少ない情報量の記載では次回以降や医師間での引継ぎで困ってしまいます。
また、そもそもカルテ内容としての質に問題が出ます。特に医師の高齢化がすすんでいる当院では、52才の私が院内で2番目に若い医師である状況です。そういった環境で、なお一層ドクターの負担軽減につながったと考えます。
そして特に驚きだったのは、聞き漏らしがなくなったことです。一つ象徴的な話があります。私の外来でユビーAI問診を使ったことに気づかず、問診をした後でユビーAI問診の問診と電子カルテに記載されていた自分の問診を照らし合わせてみると、聞き漏らしがあることが判明しました。改めてユビーAI問診の問診レベルの高さを実感しました。
問診の充実化
最後に、病名辞書によるサポートで千差万別な症状にも対応できることがわかりました。医師も完全ではないので、患者様の訴えから想定する疾患は専門性やその日の体調等でも左右されます。思いもしない疾患が存在していたときにはヒヤッとさせられます。
ユビーAI問診の病名辞書は、社内外の複数医師監修のもと、医療機関からのフィードバックを踏まえ国内の公知かつ信頼性のある文献を参照してアップデートされます。この病名辞書を活用すれば、問診から関連性のある病名が表示されます。これを参考にすることで自分の想定していた疾患以外の疾患へのアプローチを早めることにもつながりました。
例えば「心窩部痛」の患者様に対して消化器系の医師と循環器系の医師ではアプローチが異なりますが、AIシステムの病名辞書には消化器疾患も循環器疾患も出てきますので、短い時間で診療をおこなう必要のある救急の場面では特に助かるものと思います。
また、患者さまにとっても追加の検査や受診を軽減できる可能性があると思います。
医療法人神徳会 三田尻病院
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