先駆的な経営で全国に知られる恵寿総合病院(石川県七尾市)。厚生労働省医師需給分科会委員・社会医療法人財団董仙会理事長などとして、神野正博理事長は医療現場の「働き方改革」についても積極的に提言されております。2019年7月からユビーAI問診を導入した神野理事長に対して、インタビューを実施いたしました。
ユビーAI問診導入に至った経緯
働き方改革に正面から向きあえば、業務効率化は非常に重要です。医療従事者の長時間残業や院内のタスクシフテイングなど多くの事柄は、これを皮切りに改革が進むことが多いからです。そして業務効率化の中で目をつけたのが、外来問診にかかる時間短縮と問診の質をさらに高めることです。それは、まさに当院の喫緊の課題だったからです。問診に多くの時間をかけており、患者さんの待ち時間も長くなっていました。一方で、問診時間を減らそうとすると問診内容が薄くなってしまいます。また、受付などが事前問診で頑張っているにもかかわらず、医師の目的に合致した内容になっていないなど、改善すべきことは多くありました。
そんな折に、ユビーAI問診を知りました。AI が森羅万象の臨床データを駆使することで、問診の質のさらなる向上が図れること。また、タブレットに患者さんが打ち込むだけで、医師が書くようなカルテが生成され記載時間の削減につながること。更には、お薬手帳の内容が写真を取ることで記載できることや紹介状の OCR 機能などカルテ記載業務が効率化できるなど、「まさにこれだ」と思ったのを覚えています。
導入で期待される効果
上で述べたように、問診時間の削減と質のさらなる向上に加えて、診療内容の平準化も期待していたことです。医師の腕によって医療レベルが違うことは患者さんにとって良くない状況です。
例えば、ある医師は非常に問診が重厚に書かれており、他の医師への引き継ぎが実施しやすかった一方で、カルテ記載の薄い患者さんの場合、引き継ぎが大変なことがあります。ユビーAI問診が入ることで、問診レベルが平準化し、上記のようなムラがなくなるだろうと期待しています。さらに、問診結果をわれわれがフィードバックすることによって、AI が絶えず進化していくことを期待します。
導入にあたり、苦労した点
変化を厭うことは、医療業界全体にあると思っています。当院でも、今までにないことをやろうとすると困難は一定伴います。これを変えるのは一定の時間がかかりますが、病院内でファンを作ることが一番重要だと思います。まずは、ファンを作っていって伝道させる、それを大きな流れにすることが重要です。
医師こそ、責任感のゆえに最初は様々な意見を言うことは多いですが、一度ファンになると一気に前向きになる。このような人を少しずつ増やしていくことが必要ですね。ICT 活用の流れは避けられないと思うので、その流れの味方をつけることが肝要かと思います
導入後、実際に感じられる効果
現場からは問診時間 ( 特に問診内容の記載時間 ) の削減に繋がっていると聞きます。これは期待していた効果で良かったです。また、経営的な観点からは、ICT を使った業務効率化への意志が現場に伝わってくれたことが大きかったかと。歴史的にも様々な ICT 導入に先頭集団を走ってきた自負はあるが、これによっても、現場から変わっていくことを期待しています。例えば、これを機に受付担当者の問診レベルが上がれば、看護師による問診は不要となる。それこそ「タスクシフティング」に繋がっていくと思います。またこの取り組みによって、当院のみならず業界全体でも、ICT による業務効率化が進む取っ掛かりになればと思っています。
社会医療法人財団董仙会 恵寿総合病院
〒926-8605 石川県七尾市富岡町94番地
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