〈ユビーAI問診の導入背景〉
医師・看護師・クラークの業務負担を重くしている非効率な問診が課題だった
ユビーAI問診導入以前に抱えていた大きな課題としては、問診に時間がかかりすぎていたことが挙げられます。ユビーAI問診の導入以前はすべての患者さんに対し、看護師や外来担当のクラークが紙問診とバイタルチェックをおこなったのち、医師の診察に回るといった流れで進めていました。
この業務フローは、診察前に看護師なりクラークなりが間に入ることで、患者さんから情報が得られやすいメリットがあり、診療の質を担保するという意味では役立っていたのです。
しかし、患者さんが混み合ってくると、どうしても効率が悪くなってしまう点がネックでした。また、患者さんの問診が取れていないと診察ができないため、毎朝の診察スタート時に30分ほど、医師に手持ち無沙汰な時間が発生してしまうことも問題でした。スタートが遅れると診察終了時間も後ろ倒しになり、医師の昼休憩の時間が削られてしまうこともあったんです。
これらの課題解決のために、ユビーAI問診の導入を検討しました。
〈ユビーAI問診の導入目的〉
業務負担の改善に加え、ユビー導入が当院の新たな挑戦のきっかけになればという思いも
ユビーAI問診の導入目的は、主に3つあります。1つ目は、外来業務の効率化により、スタッフの業務負担を軽減することです。特に看護師に関しては、コロナ禍の影響による人手不足もあり、外来負担業務が重くなっており、採血やバイタルチェックなど、看護師が本来担うべき業務に時間を割けなくなっていたことが大きな問題でした。
2つ目は、院内における風土づくりのきっかけとすることです。ユビーの導入を検討していた時期は、私が前院長から病院を引き継いだ世代交代のタイミングでした。院長に就任した際、私は「いろいろな挑戦をおこない、新しいことにも柔軟に対応できる組織を目指したい」という思いがあったんです。ユビーAI問診は、新たに当院の電子化、ひいてはDX化を図る上でも有用なシステムだと感じていました。ですから、当院が新しいことにチャレンジしていく1つのきっかけとして、ユビーの導入を活用させていただいたという側面もあります。
3つ目は、今後全国的に広がっていくであろうシステムを先駆的に取り入れることです。ユビーAI問診は、よくある単に質問形式で設定されただけのWeb上の問診システムではありません。問診を通して、医療関係者が診療しやすい環境をつくろうとしているところに、他社にはない魅力を感じています。事実、近隣の高度急性期病院でも取り入れられていますし、今後さらに、沖縄県内や全国にも広がっていくでしょう。そういった可能性のあるシステムをいち早く取り入れることで、そのメリットを有効に活用していきたいと思っています。
〈ユビーAI問診の導入効果〉
看護師が採血や診療補助などの本来担うべき業務に注力できるようになった
ユビーAI問診の導入後、看護師たちが本来担うべき業務にしっかりと時間を割けるようになりました。看護師の本来業務とは、バイタルチェックや採血、診察・診療補助など、看護師でなければできない業務ですね。これらに注力できるようになった点は、ユビーAI問診の導入効果として非常に大きいと思います。
ユビーAI問診導入後も当院では、紙問診と併用しながら適宜AI問診を活用しています。というのも、例えば再診で来る方にはそこまで詳細な問診が必要ないことが多いため、従来通りの簡易的な紙問診のほうが、むしろ早い場合があるからです。一方で、初診で詳細な問診が必要な方の場合は、デバイスをお渡ししてタブレットで入力をおこなってもらっています。また、ご高齢の方や症状の重い方の場合は、患者さんのタブレット入力に看護師が付き添う形でサポートするケースもあります。
このように場合によっては、従来通り看護師が問診に対応しなければならないこともあります。しかしながら、必要な人に寄り添うことも看護師の本来業務のひとつ。自分がやるべき業務に注力できているという意味で看護師の負担感は減っていると思いますし、実際にスタッフからもそのような声を聞いています。
発熱外来での有用性は想像以上。見えない労働時間の削減につながる
発熱外来に関しては特に、ユビーAI問診による業務効率化は期待以上の成果があったと感じています。当院の発熱外来はドライブスルー方式での診療をおこなっており、問診にかなりの時間を要するのがネックでした。AI問診の導入以前は、聞かなければならない項目がたくさんあり、お一人おひとりの患者さんに対し看護師が電話で問診をおこなっていたんです。聴き取った内容を医師がカルテに転記する作業も大変で、外来業務時間に作業が終わらないこともしばしばありました。
現在、発熱外来ではスマホ問診を導入しており、導入後は患者さんにQRコードを渡すだけで、車で待っている間に問診を済ませてもらえます。おかげで問診に充てる看護師の数も減らせましたし、効率もアップしました。医師が診られる患者さんの数も増えていますね。
問診時間を比較すると、1人当たりの問診に平均約13分かかっていたのが、スマホ問診の導入によって、正確な数字は出せていないのですが数分程度まで減っている、と現場の看護師からは聞いています。看護師の業務負担で考えるとスタッフ1人分くらいは減っている印象です。コロナ禍で時期によっては患者数が激増することもあり、発熱外来ではもともと、別業務に対応している看護師を引っ張ってきてまで問診に人員を割いていたんです。その中で1人分の業務が減ったというのは、非常に大きな効率化だと感じています。
また医師に関しても、スマホ問診の患者さんについてはカルテへの転記作業が軽減されました。以前は、外来業務時間に終わらないものはメディカルクラークに手伝ってもらったりしていたんです。導入後は、やるべきことがすべて外来業務の時間内で終わり、見えない作業時間の削減につながり、医師の負担も軽くなりました。
〈今後、ユビーAI問診に期待すること〉
医療業界全体で「ユビーAI問診」が共通言語になってほしい
ユビーAI問診を導入したいという病院やクリニックは、今後も増えてくると思います。そしていずれは、病院以外の医療業界全体にもどんどん広がっていくことを期待したいです。その上で、「ユビーAI問診」が業界全体の共通言語になればいいな、と。
ユビーが医療業界全体に広がれば、例えば「救急搬送の際にも救急隊員が問診を入力してくれて、搬送先の病院は事前に患者さんの情報を把握することができる」といったケースも出てくるかもしれません。
他にも、「介護施設などにユビーがあれば、病院受診の際に、介護担当者が事前にユビーで問診を入力しておいてくれる」なども普通になるかもしれません。
患者さんが到着するまでに病院で患者さんの情報が把握できれば、患者さんのためにできることが増えます。医療の均質化や全体的な向上も図れるでしょう。そういった視野でユビーを展開していただけると、結果として、各地域の医療体制がよくなっていくのかな、と思います。
〈病院として目指している未来、今後の取り組み〉
地域とのかかわりを大切にし、担うべき役割を果たすことで患者さんに頼られる病院に
今後の取り組みとしては、地域包括ケアシステムの中で、当院が担うべき役割をしっかりと果たしていくことが重要だと考えています。当院がこの地域で果たすべき役割とは、一定の能力を備えた中規模病院として、かかりつけ医の機能を担うこと。同時に、近隣の高度急性期病院や、より地域に密着したクリニック、介護施設と密に連携を取り、患者さんに頼られる存在としてあり続けることです。
そのために、コロナ禍以前から続けている、地域のコミュニティに出向いて実施する勉強会や講演会を、感染状況を考慮しながら今後もおこなっていきたいです。また、お祭りなどの地域行事にも、これまで通り積極的に参加していきたいですね。そういった地域との関わりを大切にすることで、患者さんの生活における大事な一部分として、当院が地域の中に存在していく。それが当院の目指す姿です。