病院長ナビロゴ
地域病院や行政と連携し、高度急性期・高度専門医療を中心に阪神地域の医療を支えるのアイキャッチ画像

地域病院や行政と連携し、高度急性期・高度専門医療を中心に阪神地域の医療を支える

兵庫県

兵庫県尼崎総合医療センター

平家 俊男 病院長

近畿

730床の規模をもち、がん治療を中心とした高度急性期・高度専門医療を提供する兵庫県尼崎総合医療センター。高度の三次救急から、地域医療機関と連携した一次・二次救急まで、幅広く地域医療に貢献されています。病院の理念やマネジメントについて、平家 俊男院長にお伺いしました。

●近隣医療機関・介護施設・行政と連携し、本格的地域完結型医療の推進と充実を目指す

当院は、兵庫県立尼崎病院と兵庫県立塚口病院を統合する形で、2015年7月に開院いたしました。730床の規模をもち、がん治療、心疾患、脳疾患、血管内治療、周産期診療など、高度急性期・高度専門医療を提供しています。「高度・良質な医療による社会貢献」を理念に掲げ、高度専門医療・救急医療の質を向上させていくこと、救急や紹介を断らないこと、地域医療機関や介護施設、行政と連携した地域医療を推進することなどを、基本方針としています。
尼崎市はもちろん、阪神地域の医療圏を支えていくことは当院の大きな役割です。そのため、地域のクリニックや病院、介護施設と連携・協調して、本格的地域完結型医療の推進と充実を目指しています。

●職員が迷わないために、組織としてどんな対応をするのかを示していく必要がある

当院は、500床と400床の病院が統合し、730床規模となってスタートした病院です。ただ数が増えたという訳ではなく、以前の2病院とは組織のマネジメント自体が大きく変わりました。より組織的に運営ができる仕組みづくりと、さまざまな職種・多くの職員がいる中での働きやすい環境づくりが必要になったんです。そうした仕組みや環境を実現するには、職員からの提案を、個々人の考えというよりも部門ごとにしっかりと吸い上げていくシステムを作り、それにきめ細かく対応していくしかないと考えています。
一方で、統合前から職員の病院に対する意識は高く、患者さんのために非常に頑張ってくれる土壌はありました。ただ、統制がとれないまま頑張っても、全体としてパフォーマンスは悪くなってしまいます。どういう形で病院が動くのか、組織としてどんな対応をするのか、一つひとつそれを提示して、職員の皆さんが迷わずに整理がついて動ける仕組みづくりが必要だと感じています。

●各部門から意見を提出してもらう仕組みをつくり、組織的なマネジメントを推進

より組織的な運営ができる仕組みづくりと働きやすい環境づくりのために、トップダウン型のマネジメントからボトムアップ型のマネジメントへの移行をおこないました。各部門から提案を出してもらう仕組みと、その提案を検討するトップマネジメント会議を初年度につくったんです。
皆さんから出してもらう提案は、もちろん個人の思いなどもあるとは思うのですが、そればかりでは混乱してしまうため、できるだけ部門全体として考えて提出してもらうようお願いしました。また、提案はしっかりと考えたものを出してほしいという考えから、紙ベースで提案書を作ってもらい、なぜそうした取組みや機器が必要なのか、それによってどういう診療を目指しているのか、どんなプランで考えているのか、などを具体的に書いてもらっています。私たちもただ提案を吸い上げるのではなく、それが病院全体にとって良いことになるか考えた上で、「これはすぐできる」「この提案はもう少し考えてほしい」「これは今できない」など仕分けをして、フィードバックをするようにしています。
課題というものは常にありますし、状況もどんどん変わっていきます。例えば、人口動態も変わりますし、コロナの状況も変わります。当院だけでなく、色々な病院統合の動きもあります。その中で、「こういう課題があるから、こういう風に取り組みましょう」と能動的に動けるようになることが大切ではないでしょうか。そのためにも、こうしたマネジメントの仕組みは今後も継続し、さらにブラッシュアップしていきたいです。

●救急や紹介を「断らない医療」のためには、初診患者数と紹介患者数が重要な指標

経営上どの数字を一番重視しているか、というのは非常に難しい問題ですが、私は初診の患者さんと紹介の患者さんがどう推移しているかが、一番大切な指標だと考えています。なぜなら、高度専門医療や三次救急といった、当院でなければできない医療に重心を置きながら、同時に公立病院として近隣病院と連携しながら一次救急・二次救急も受けていかなければならないためです。
私たちは救急や紹介を「断らない医療」という方針を共有していますが、やはりキャパシティの問題があり、ベッド稼働率が95%を超えるような状況では全てを満足に受け入れることは難しくなります。当院でしかできない高度専門医療・三次救急を実現するためには、飛び込みもあるものの、どこかの病院からの紹介がどうしても多くなります。それを受けながら、一次救急・二次救急は地域連携で協力して受けていく。そのためには、初診であるか、紹介であるか、高度救急であるか、という指標をきっちりと把握する必要があるんです。
また、今お話したような背景や指標を踏まえ、「紹介の患者さんは断らないように」「一次・二次救急の患者さんは、地域の先生方と連携するように」などのメッセージを職員に向けてわかりやすく発信していくことが重要だと考えています。

●兵庫県東部のコロナ対応拠点として、通常診療とコロナ診療の割合をどう調整するか

直近の課題はコロナ対応です。当院は兵庫県の中でも、コロナ対応の大きな拠点の1つです。兵庫県は大きく東部・中部・西部の3つにそれぞれ拠点となる病院が設置されており、当院は県東部の拠点病院として対応しなければなりません。

しかも、それと同時に通常診療もしなくてはならない。コロナ対応と通常診療の両面作戦をおこなう上で、リソースをどう配分するのか、地域の病院やクリニックとどう連携するのか、それが非常に大きな課題となっています。また、日本全体でまだコロナ患者数も変動していますし、対応の仕方も進んではいない状況です。その中で、今後通常診療とコロナ診療の割合をどう調整していくのか。それに関する各部門の負担や必要な工夫というのは、まだまだ多々出てくる課題だと考えています。

●タスクシフティングやクリニカルパスの推進など、働き方改革対策を進めている

2024年の働き方改革に関しては、医師だけでなく検査部門や看護師部門も含めて、工程表を作って課題点を注意しながら各部門で刻んでいっているところです。業務の重複がないか、タスクシフティングできる部分はないかを進め、またクリニカルパスも使用し、もっと標準化できる業務はないかを検討・整理しています。それから、勤怠管理システムの導入、今まで紙ベースだったものの電子への移行、事務のRPA(Robotic Process Automation)化など、DXによる負担軽減もできる限り進めていますが、予算などの問題もあってまだアナログな部分が多いですね。
医師の働き方改革は、どう時間を刻んでいくかの取組み以前に勤務状態の把握が重要ですが、そこがなかなか難しいというのが現状でもあります。医師も必要があって診療しているわけで、その中で「18時までの勤務にしてください」というのは当然簡単なことではないんです。医師の健康や働き方も考えながら、「こういう風にしたらどうでしょう」と提案していけばいいか、どう病院としてメッセージを発信していくかが重要だと考えています。

●地域医療連携は当たり前のことを地道に継続することが最も大切

地域医療連携を深めていくには、目を引くトピック的なことではなく、地道に当たり前のことをやっていくことが一番重要だと考えます。近隣の医療機関や介護施設、行政としっかりコミュニケーションをとる、お互いに顔の見える信頼関係を築いていく。一番大切なのはそうした部分だと思いますので、何よりもまずそこをしっかり継続していきたいです。
その上で、さらに地域医療連携を強化するための取組みについてです。PFM(Patient Flow Management)をより進化させ紹介患者さんや入院予定患者さんの数をしっかりと把握し問題解決していくこと、クリニカルパスを強化しスムーズに治療計画を進めることが重要だと考え、現在そうした取組みを進めています。
PFMについては各病院によってさまざまなやり方があり、画一的なPFMはあり得ないと思います。当地域、連携している病院、それらの状況を踏まえ、どういうPFMが良いのか考えていきたいですね。県とも相談し、来年度から敷地内にPFMをやる箱物も建設予定となっています。こうした形で「PFMに力を入れていきます」と示すことは、患者さんにも地域の連携病院の皆さんに共有する上でも重要だと考えています。

●本格的地域完結型の医療を推進とマネジメント・サービスの向上に努めたい

今後についてですが、現在掲げている広い視野に立った目標を長期間にわたってしっかりと取り組むことこそが大切だと考えています。具体的に挙げると、1つは地域医療機関や行政と連携し、本格的地域完結型の医療を推進することです。高度急性期・高度専門医療の資源・設備のある病院として、当院だからこそできることを、地域と連携しながら着実にやっていきたいです。そして、もう1つは組織運営でのマネジメント・サービスの向上です。各部門からの提案を出していただくシステムなどをお話しましたが、さらなる取組みで今後さらに働きやすい病院を目指したいと考えています。
地域の皆様とともに歩んでいくこと、同時に職員の働きやすい環境をつくること、それを幹として今後も一層の工夫・改善に努めてまいります。

ユビーメディカルナビについて

ユビーメディカルナビとは、ユビーAI問診など複数のソリューションを総称する医療機関様向けパッケージです。
診察や受付業務の効率化や、患者さんからの認知向上など、さまざまな角度から診療の質向上を支援します。

ユビーAI問診について

ユビーAI問診は、患者様ごとにAIが最適な質問を自動生成・聴取し、
医師は問診結果を電子カルテに1クリックで転記することで業務効率化を実現するAI搭載のWEB問診システムです。