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DX化やSDGs運動など社会のニーズに素早く対応。プラスハートアクションや災害医療などへの積極的な取り組み。

兵庫県

医療法人伯鳳会 はくほう会セントラル病院

古賀 正史 病院長

近畿

兵庫県尼崎市で「平等医療・平等介護」の理念を掲げ、救急・急性期医療と回復期リハビリテーションを担うはくほう会セントラル病院。中核病院として地域医療を支える一方、エネルギー問題や災害医療など、社会問題にも取り組まれています。病院経営の特徴や独自の取り組み、今後の展望などについて古賀 正史 院長に話を伺いました。

●経営情報のオープン化と業績連動型賞与により、職員の意欲を引き出す

当院の経営面での特徴は、経営情報のオープン化です。経営の方針や実態をできるだけ職員全員に知ってもらうため、経営の数値などが書かれた冊子を毎年全職員に配布し、目標を数値化して明確に示しています。また、業績に連動して賞与が出る取り組みも行っています。目標に対してどれだけ達成できたかを自分たちで確認することができ、頑張った分が賞与の形で反映されるので、わかりやすいシステムではないでしょうか。
医師は基本的には年俸制ですが、売上高経常利益率が10%を超えるような高い業績を上げた場合には、医師にも臨時賞与を配分しています。業績連動の賞与は、病院に入ってくるお金をみんなで分け合うことになりますから、人を増やせば楽になる一方で、少ない人数で経営した方が当然1人当たりのもらえる額が多くなります。職員たちはそのことを理解していますので、経営数値に興味を持ち、意欲的に働いています。

●経営理念や目標を共有し、職員が一体感を持って歩む風土を作っている

経営理念の浸透は、経営において非常に重要です。コロナ禍以前は、各部署では毎日、職員全体では月1回集まって朝礼を行い、種々の重要なアナウンスをすると同時に、職員の行動指針(クレド)や目標を唱和していました。
職員たちは理念をすべて暗唱できるくらいになっていたと思います。コロナによって大人数で集まることができなくなり、今は残念ながら十分にできていませんが、落ち着いたら再開したいと考えています。また、各自の名札の裏に、経営理念やクレドが書かれたカードが入っています。
理念や目標をしっかりと浸透させることにより、職員が一体感を持って一緒に歩むようになりました。そのことが経営を支え、実績にもつながっていると考えています。

●DX化による負担軽減で、働き方改革の勤務時間制限の問題の解決へ

働き方改革の課題としては、勤務時間の制限の問題にどう対応するかが挙げられます。医師が休みを取ったり、当直の後は少し勤務時間減らすように働きかけるほかに、勤務時間をしっかり管理するために勤怠管理システムの導入を決めました。
ただ、実際に数字を取ってみると医師の残業時間はそれほど長くありません。看護師や事務の残業の方が多いため、事務の負担軽減につながる取り組みとして、DX化を目指しています。今年(2022年)中にあらゆるものをデジタル化し、経営や人事考課などの事務処理をグループウェアによって効率化する予定です。

●「再エネ100宣言 RE Action」に医療法人としていち早く参画。SDGsにも取り組む

当院では、DX化と連動してSDGs運動を行っており、なるべく紙を減らすことに取り組んでいます。コロナ禍の影響もあって会議がオンラインになり、会議時の資料も紙からPC上のファイルに変わりました。
また、使用電力を再生可能エネルギーに転換する活動にも積極的に取り組んでいます。企業が自社で使用する電力を全て再生可能エネルギーで賄うようにする、「RE100」という国際的な取り組みがありますが、条件が厳しく、参加できるのは巨大資本を持つ一部の大企業だけです。そこで、RE100には参加できないが、再生可能エネルギーへの転換には注力している中小企業・団体を中心としたイニシアチブ「再エネ100宣言 RE Action」に、伯鳳会グループとして参画しています。
その一環として、病院の中で購入する車両は、購入可能なものは全て電気自動車にしています。これは、「近い将来、こうした取り組みをしていない施設や会社は取り引きしてもらえなくなる世の中が絶対に来る」という理事長の信念によって行われています。

●地域の患者さんをできる限り引き受け、連携して地域医療を守っていく

地域医療連携で特に大事にしているのは、地域の開業医の先生からの紹介はできるだけ断らないことです。開業医の先生は地域の多くの患者さんをファーストタッチで診ています。そこで診れない患者さんを中核病院が引き受けないと、地域医療が円滑に回らなくなってしまいます。もちろん、当院で全ての患者さんを診れるわけではなく、重症の患者さんは尼崎市の拠点病院で診てもらいますが、できる限り地域の中で完結する医療を提供することが大切だと考えています。
救急車を断らないのも重要です。困っている患者さんをなるべく引き受けることが、地域医療を守ることにつながるからです。そして、患者さんを紹介されたら、紹介元の医療機関に診療結果を必ず報告するようにしています。現在のように対面での交流が難しい場合には、書面による連携が非常に重要です。当院では、地域医療室が担当することにより、ほぼ100%返信ができるようになりました。それによって信頼を得ることができるのではないかと思います。
また、現在はコロナ禍でなかなか難しいですが、顔が見える交流を大切にするため、地区の医師会の集まりにはなるべく参加し、そこで情報交換を行ったり、要望を伺ったりしています。

●コロナワクチンの集団接種の際に、SNSでの情報発信が大いに役に立った

地域医療室や広報委員会と連携して広報活動を行っています。最初は広報誌を年2回発行するところからスタートし、患者さんや地域の医療機関向けに広報を行ってきました。しかし、より多くの層の人たちに情報を伝えるため、インターネットも活用することにしました。
ホームページをこまめに更新し、常に最新の情報を載せるようにしています。また、SNSが得意な職員が中心となって、FacebookやLINEも運用しています。これらの活動は、バランス・スコアシートを作成し、目標や担当者を明確にして実行しています。
これらのホームページやSNSが役に立ったと感じたのは、コロナ対応の時です。当院では発熱外来を皮切りにコロナ診療を開始しました。その後、一般人向けのコロナワクチン接種を精力的に取り組んだところ、尼崎市保健所から市のコロナワクチンの集団接種を依頼されました。病院には普段、地域の方向けの講演会などの機会を除いて、病人やそのご家族の方しか来院されません。しかし、コロナワクチンの集団接種を機会に、普段は病院に来ることのない若い世代の健康な方たちが、ワクチン接種の情報を得るために当院のSNSを閲覧したり登録したり、ホームページで当院の場所を確認したりと、自ら当院のメディアにアクセスしていただきました。また、こられの方はその後当院へコロナワクチン接種を受けに来られました。
これらの方は今後元気で過ごされると思いますが、将来病気になった時には、「一度行ったことのある病院」として当院を受診する候補として考えていただけるかもしれません。ワクチン接種の目的はもちろんコロナ感染および重症化の予防ですが、病院のPRという意味でも有意義でした。

●プラスハートアクションや災害医療にも注力。困っている人に手を差し伸べる医療を

看護師や医師は、病院の中では医療を行っていますが、病院から一歩出ると患者さんを充分にサポートできていないと感じます。そこで、伯鳳会グループでは、一人ひとりが助け合える社会になることを目指して、プラスハートアクションという取り組みを行っています。
具体的には、マスクの隅に青いハートを描き、「困っている人がいたら手助けしたい」という思いを表明する活動です。外からは見えづらい障害や病気を抱えている人が、援助や配慮が必要であることを周囲に知らせるための「ヘルプマーク」というマークがありますが、その逆の形です。
もうひとつ、当法人で力を入れているのが、災害医療です。2021年には、CTや血液検査機器などを搭載し、災害現場で診療室になる車両「Medical-ConneX(メディカル・コネクス)」を導入しました。これはシーメンスヘルスケア株式会社と共同で作ったもので、まだ世界に1台しかありません。2021年12月に行われた近畿2府7県による合同防災訓練でこのメディカル・コネクスを紹介したところ、多くの方に興味を持っていただきました。災害医療に関しては今後も訓練をしっかりと続け、いざという時に備えたいと考えています。
これからも、皆でアイディアを出し合い、新しい医療にチャレンジしたり、新しいことを発見して、これらのことを積極的に発表するサイエンスマインドを大切にして、患者さんに満足していただける病院を目指します。

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