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8つの診療科で幅広く救急医療を提供。できるだけ二次救急とコロナ患者受け入れを両立していきたい

東京都

町田市民病院

金崎 章 院長

関東

町田市の地域医療を支える中核病院として、二次救急の受け入れに力を入れ、8つもの診療科で救急対応している町田市民病院様。新型コロナウイルス患者様の受け入れに関しても、地域の重点病院として積極的に対応されています。病院として今後強化したい取り組みや現在の課題について、金崎 章院長にポストコロナも見据えお話しいただきました。

全職員が情報を共有し方向性を決定。コロナ禍でも職員からの情報で重点病院に

当院の特色は、地域の中核病院・支援病院として医療連携に力を入れている点と、8つの診療科で幅広く救急対応をおこなっている点です。また、最近の医療はスピードを求められていますので、当院では医師・看護師・事務を含め全職員が情報を早く入手し、共有して対応することを心がけています。コロナ禍においても情報を素早く共有し、迅速に方向性を決めて一丸となって進んでいく体制をとれるよう努めております。

実際にコロナ病床については、職員からの情報共有が大きな分岐点となりました。当院をコロナ重点病院にするにはワンフロアを潰さなくてはならない事情があり、流行当初の昨年2~3月時点では重点病院にしないつもりだったんです。しかし、職員がさまざまな情報を入れてくれた結果、早めに重点病院になって対応した方が良いのではないか、という方向に変わり、重点病院にするという決断に至りました。

コロナ患者、コロナ疑い患者、一般患者の受け入れ振り分けが課題

喫緊の課題は、コロナ禍における受け入れの振り分けです。コロナ陽性患者さん、コロナ疑いの患者さん、一般の患者さんをどう振り分け対応するか。当院は二次救急もやっているので、さまざまな問題や支障が出てきています。

コロナに関しては、まず感染対策をした環境を用意しなければなりませんし、医師も術衣を着て防護しなければなりません。そのうえで色々な情報を伺って検査もすると、医師や看護師がそこに縛られてしまい、他に一般の患者さんが来たり救急が入ったりした時に対応ができないケースがでてきます。

コロナ陽性患者さんは診てすぐに病室に入っていただくので、そこまで負担はないのですが、コロナ疑いの患者さんは検査などもあり、長時間かかることが多いです。肺炎がないかの確認のためレントゲンも撮りますし、終わった後に機器の消毒もあるため、どうしても時間がかかります。スタッフが慣れてくれてスムーズにはなっていますが、逆に言えばそうやって熟練度を上げる以外に解決策が現状見当たらず、難しい課題だと感じています。

経営面では設備の老朽化対策とコロナ禍における人件費のバランスが重要

今後の経営に関して重要なポイントは、1つはコロナ終息後の見通しです。先ほどお話ししたコロナ禍における患者さんの振り分けの問題は、コロナ禍がある程度終息に向かったとしても続く可能性があります。もう1つは、機器などの老朽化問題です。当院は設備全般が古くなってきているのですが、コロナ禍の状況も勘案しながら更新の予算などを考える必要があるため、非常に悩ましいところです。

一定以上の医療レベルを維持するためには設備面へ優先的に予算配分する必要がありますが、コロナ禍で感染症対策をやっている限り、人件費もコストカットできる状況ではありません。今はある程度助成金が出ているので何とかなっていますが、助成金がなくなった場合のことも考え、今後の経営を考えなくてはと思っています。

救急の連携を強化し、二次救急とコロナ患者の受け入れを両立したい

今後強化していきたいのは、日中の救急車・救急患者さんの受け入れです。コロナ禍でどうしても救急の受け入れ数が減っていますが、できるだけ二次救急とコロナ患者さんの受け入れを両立できるようにしたいと考えています。

救急強化の取り組みとして、各診療科の医師たちに連携強化をお願いしています。当院は救急診療が8科あるのですが、救急の看護師がトリアージしてどの診療科で対応するか割り振りをしてくれるんです。例えば、腹痛だから内科で、ではなくそれが外科的な処置が必要な腹痛であれば外科の医師にお願いしますし、頭が痛いというのでも内科か外科か脳外科かの判断をして、適した診療科・医師が対応します。そのためには救急の看護師はもちろん、各診療科同士、医師同士の連携が非常に重要になるため、お互いが情報共有しカバーし合って救急にあたるよう心がけてもらっています。

患者さんの満足度も職員の満足度も上げていきたい

患者さんの満足度を上げることも、今後の目標の一つです。そのための具体的な取り組みとして、外科手術時に患者さんの負担を少なくするために内視鏡手術を積極的に取り入れることや、褥瘡などの特定行為ができる看護師を増やし、その質を高めていくことなどを計画しています。

同時に、職員の満足度向上にも注力したいと考えています。これまで、職員満足度査票を実施して、満足している点や不満点などを吸い上げたり、また職場環境改善プロジェクトを立ち上げたりしてきました。職場環境改善プロジェクトでは、実際に職員同士で感謝を伝え合う「ありがとうカード」という企画をおこない、モチベーションアップを図ったり、交流会を催したりしました。ただ、昨年以降はコロナ禍の影響で交流会などの企画も止まっているため、再度取り組み直す見通しです。

ニュースレターで地域診療所と情報共有。市民向けの勉強会も

コロナ禍にあって密な地域連携の取り組みは難しいのですが、できるだけニュースレターなどで、地域の診療所や介護施設などに情報を提供するようにしています。ニュースレターに掲載しているのは、人事や診療科の変更の他、地域との連携会議の報告、各診療科から1項目ずつ情報共有、紹介や逆紹介に関する情報などです。特に紹介に関しては、コロナ禍でなかなか当院まで来られない患者さんも増えてしまったので、地域診療所としっかり連携をとり合うことがより重要になったと感じています。

他の取り組みとしては、市民の方向けの勉強会をオンラインで実施しています。最近では、お子さまのコロナ症状やRSウイルス症状など小児疾病に関する勉強会をおこないました。こうした勉強会から当院を身近に感じていただくことで、市民の方から「市民病院に紹介してほしい」という声も増えるのではないかと思いますので、こうした取り組みは今後も拡充していく予定です。

コロナ禍の受診控えには「電話再診」で対応

コロナの影響はさまざまありますが、最も大きいのは患者さんの受診控えです。「病院に行くと感染するんじゃないか」という不安から、救急も含めて色々な部分で患者さんが病院に来られなくなりました。ただ、ワクチン接種が進んでいることもあり、昨年末や今年の春先に比べると徐々に戻ってこられている印象はあります。
病院に来られない方向けに、当院ではお電話での再診をおこなっています。お電話で状況を伺ってお薬をお送りした上で、次回の来院について相談させていただいています。基本的には電話再診の次は実際にご来院いただくようにしているのですが、コロナやそれ以外のご事情で難しい場合もあるため、長期で診ていて慢性的な変化がない患者さんに限り、電話再診を続ける場合もあります。

地域から信頼される中核病院として、救急もコロナも受け入れられる取り組みを

今後も、公的医療機関であることを踏まえ、地域から信頼される安心安全な中核病院として、質の高い医療を提供することを目指していきます。そのためにはまず、さきほども述べた「二次救急の強化とコロナ患者さん受け入れの両立」が必要だと考えています。そこで重要になるのが、病床をどう編成するかと、コロナ患者さん・一般患者さんそれぞれの受け入れをスムーズにするための動線づくりです。病床の編成は感染状況も見ながら病院全体で計画していきますが、動線についてはすでに対策を実施しています。
通常の外来の他に、発熱がある方や感染の疑いがある方を受け入れる特別診察室を設置し、入られるルートも通常の外来とは別にしています。通常の外来に予約なしで来られる患者さんも、必ず病院に入る前にスタッフが熱を計るなどのチェックを行い、熱がある場合は必ず特別診察室に回っていただいています。
コロナ禍の状況ですが、こうした取り組みを積み重ね、コロナの患者さんも、それ以外の救急や外来の患者さんもできる限り受け入れ、地域のみなさまに少しでも安心していただけるよう、今後も努めていきたいと思います。