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地域のニーズを汲み取り、あらゆる利害関係者と良好な関係を築く『愛し愛される病院』経営とは

栃木県

医療法人社団福田会 福田記念病院

福田 晴美 院長

関東

地域に根ざし、必要とされる『愛し愛される病院』になるという理念を掲げ、地域住民や近隣病院などと実際の触れ合いを通じて良好な関係を築かれている福田記念病院様。触れ合いを大切にすると共に、人口動態の変化から社会的なニーズを把握される福田晴美院長に病院経営に関するお考えを伺いました。

あらゆる利害関係者と良好な関係を築き『愛し愛される病院』を目指す。

当院はケアミックス型の病院で、父の開業した病院を私が継承しております。女医である私が院長であるということも特徴の一つだとは思いますが、大きな特徴としては医師同士の仲が良く非常に人間関係が近い病院であると自負しております。

当院では院内での人間関係をより良いものにするために、毎年職員は無料で参加できる懇親会を忘年会として行っており、出し物やイベントに力を入れるという文化があります。コロナ禍になるまで、過去一度も忘年会を中止したことがないほど力を入れていたのですが、この2年間は開催ができておりません。今年はその代わりではないですが、ささやかながら私から職員への感謝の意を示したいなと考えております。

病院経営の状況や課題も積極的に職員へ共有していることもあり、職員から接遇教育や人材配置のアイデアが上がってくることも、院内のコミュニケーションが活発だからこそと考えております。

地域住民との関係も良好で、新型コロナウイルスの感染拡大前は、地域のお祭りに病院としてチームで盆踊りに参加するなど、医療領域に止まらず地域に根ざした病院でした。感染拡大のため現在はそのような取り組み自体は少なくなっているのですが、地域に根ざしたイメージは住民に受け継がれていますので、そのイメージを守っていきたいと思っております。

また、私は地域の医師会などの活動も行っているのですが、新型コロナウイルスの影響により行政や近隣病院との関係がより親密になりました。真岡市に存在する3つの病院では以前から懇親会を年に一度執り行い連携を深めておりましたが、より顔の見える地域連携の基盤が広がりつつあります。

病院経営の基盤である病床稼働率を高く維持するため、繰り返すPDCA

経営において重視している数値の中に病床稼働率があります。いかに近隣病院と連携し高い病床稼働率を維持できるかが病院経営の基盤を支える要素であるため、近隣病院に患者様の紹介をいただくための施策を数多く行っております。

以前は、近隣の病院が紹介状を書いていただいてから患者様が来院されるまでには数日のタイムラグがあり、当院にて主治医が患者様の情報を把握することにも時間がかかっておりました。こちらの課題を解決するため近隣の病院と執務者会議を設け、先方の主治医が紹介状を作成すると3営業日内に当院へ転院いただける体制を作成いたしました。幾度も病院間連携の順序や流れを議論した結果、連携は以前と比較にならないほどスムーズに執り行えるようになりました。

また、救急対応を行っている中核病院との連携も非常に重視しております。救急対応を行う病院では満床が続くと救急の患者様を受けることができないという事態が発生しますので、病床の回転率が非常に重視されます。当院では毎日このような病院へ男女ごとの空床状況を報告しております。当院への転院可能な患者数を把握いただくことで、救急病院が安心して救急の患者様を受け入れていただけるようにサポートを行っております。

また、病床稼働率を高めるための議論ができる会として「PDCA委員会」という委員会を院内に設けて、月に一度の頻度で計画→実行→評価→改善を行いながらベッド稼働率の計測をしております。施策実行に必要な人材を都度、参加者として招待しながら病院全体で施策を継続的に取り組むことで、改善を繰り返しております。今後はベッド稼働率以外の課題に関しても委員会の取り組みを広げていきたいと考えております。

経営基盤を強化するため、地域の需要を汲み取り価値提供を行う

現在、当院では様々な取り組みによって病床稼働率の維持ができておりますが、今後も盤石な経営基盤を作っていくためには、人口動態の変化を把握し、より地域の需要を汲み取った価値提供を行っていく必要があると考えております。

当院の属する地域では、今後20年間ほどは高齢化が進み65歳以上人口がさらに増えていくことが予想されております。同様に75歳以上の人口も今後25年間は増加傾向にあるようです。こちらの統計から、今後20年間は泌尿器科や整形外科、内視鏡オペの患者様が増加していくことが予想できるため、これらの需要に対応できる体制を維持していくことが必要です。

また高齢社会においては通院できる方自体が減ってくると想定されますので、訪問看護ステーションを新たに設置し、往診や訪問介護の体制も強めていきたいと思っています。

医療職員にとってより良い職場環境を整えるために、進める働き方改革

3年前から県の事業として、半年ごとに病院へコンサルタントを派遣し働き方改革の推進とチェックが行われているのですが、今年は当院にコンサルタントを派遣いただいております。以前からも働き方改革を進めていたのですが、これにより自信を持って働き方改革を推進することができました。結果的にコメディカルに関しては働き方改革後の水準はクリアしており、残る課題は医師における労働環境の整備となっております。

医師の勤務時間は原則9時から18時としておりますが、重症の患者様が多い時期などは止むなく医師が時間外労働を選択することがありました。これを受けて、日当直をした医師に関しては、翌日もしくは1週間以内に半日の代休を付与するという体制の見直しを行いました。また、6年ほど前から医師事務スタッフを導入しております。望まない医師以外には基本的に医療事務スタッフをつけて保険や診断書作成などの業務をタスクシフトしております。

今後も医療職員にとってより良い職場環境を提供するため、新たな体制やツールの導入を積極的に行っていきたいと思っております。

『愛し愛される病院』であるために必要なことは地域住民の健康寿命を伸ばすこと

手狭になってきたこともあり、当院では現在地から2キロほど離れた場所への移転を検討しております。一方この土地に通い慣れた患者様もいらっしゃいますので、こちらには現在の分院である診療所を移転させると同時に、福祉法人を設立し福祉施設としても利用できるようにしていこうと考えております。

介護保険の通所リハビリ機能を現在の土地に残し、医療のリハビリ機能は移転先に移すことで医療と介護の両輪から、今後の高齢化社会における地域への貢献を行っていこうと思っています。

逆説的に聞こえるかもしれませんが、病院が持続的な経営を行っていくには地域住民の健康寿命を伸ばすことが大きな問題だと思っております。往診や訪問看護の体制は強めていくつもりですが、やはり高齢化社会において通院可能な人口が減ってしまえば病院経営は縮小してしまいます。

現在、当院では通所介護を行っており、地域住民のニーズを感じているものの、この地域の統計では、男性は通所介護を敬遠する傾向があるようです。一方で、健康のために半日運動をするための集まりなどへの参加意欲は高いことがわかっております。地域住民との良好な関係を維持し『愛し愛される病院』であるためにも、訪問看護に力を入れていくと同時に、通院可能な地域住民を増やすべく、健康寿命の延長を促す取り組みを進めていきたいと思っております。