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最新の手術器具とITサービスを利用し患者にも職員にも魅力的な環境を目指す

大阪府

医療法人伯鳳会 大阪中央病院

根津 理一郎 院長

近畿

大阪の中心にあるビジネス街に位置する医療法人 伯鳳会 大阪中央病院様。市街地に位置する立地の傾向を深く理解し、時代のニーズにあった先進的な低侵襲治療と健診部門に力を入れることによって成長を続ける病院経営について、根津理一郎院長にお伺いしました。

現場で働く職員からの意見を反映することによって、職員のモチベーションを健全に高める

当院では、職員の意見をしっかりと汲み取り反映させることによって、積極性を持って業務に取り組む職員のモチベーション向上に取り組んでいます。私自身、若い頃に自分の意見が反映される職場で精力的に働きたいと考えていたため、職員にはそのような環境を提供できるように尽力しています。私自身の経験もありますが、何より職員が業務に取り組む姿勢や、モチベーションはそのまま患者様への貢献度を高めることにつながると考えているからです。

そのために、診療科の長とコミュニケーションする際には、現場の職員はどのような意見を持っているのかということを折に触れて聞き、現場の職員の意見を汲むことを促しています。

たとえば、外科系の医師からの意見としてよく出てくるものは機材の購入に関する提案があります。それらの機材購入の意見が、コメディカルスタッフを含めたチーム医療を推進するものであれば積極的に反映し、推奨する体制を整えています。医師をはじめ、職員からの提案が実際に受け入れられた事例を作っていくことこそが、積極性を持って働く職員のモチベーションをさらに高めることができ、現時点ではやや消極的な職員のモチベーションをも喚起することができるのではないかと考えています。

一方で、全ての意見を反映することは健全ではありません。意見の中には時に利己的なものが出てくることもあります。実はチーム医療を意識していない意見を採用したことで組織全体として望ましくない結果を招いてしまったことも過去にありました。そのため、あくまで全体にとってどのような効果があるものか、チーム医療の推進を前提とした意見であるかどうかを見極めつつ、看護師や技師の意向も汲み取った上であれば実施に向けて動くという線引きは設けています。職員からの意見や提案を採用する姿勢もそうですが、採用された時の理由を明確化することで、我々がチーム医療を意識した病院であることや、職員全体に対して病院への親近感を持ってもらうことにも繋がると思っています。

ビジネス街の中央に位置し最先端医療を施す、プロフェッショナルが集う病院文化

当院は立地における特徴を持っている病院です。大阪の都心から数100メートルほどの場所に位置するため、ビジネス街が近くにあり、居住区が少ないという特徴があります。徒歩圏内がビジネス街のため、当院では企業で働く方々を診る勤労者医療に力を入れています。

企業や市町村と連携しているため一日300人規模のビジネスマンが健診に来院されます。そのため、今まであった病棟を2つ改修し健診センターへとしました。250あった病床数は143となってしまいましたが、当院の在院日数は昨年のデータで平均5. 1日と非常に短いため、ゆとりを持った病床の管理ができます。

週末に開院していても来院数はそこまで伸びないという状況があるものの、企業に関する健診には圧倒的に有利な立地を加味し、全国でも珍しい規模である3フロアを健診センターとする判断を行いました。

現在、健診センターでは年間で7万人ほどにご利用いただいています。健診センターとしての機能だけでなく、二次検査や精密検査、その後の治療までを当院で行うことで、患者様にとっての利便性を提供しながら、速やかに検査や治療を受けられる体制を整えています。実際に健診を受けられる方だけでなく、その後の検査や治療を受ける方の数を含めると、とても大規模な患者数となります。

もう一つの特徴として前病院長の影響もあり、新しい医療器具の導入に関して積極的という特徴があります。低侵襲医療(手術・検査などに伴う痛みや発熱、出血などをできるだけ少なくする医療)という時代のニーズがあることからも、内視鏡手術、ロボット手術に必要な医療器具の導入が積極的に行われる文化があります。この文化によって、優秀な中堅医師にとって、魅力的な環境を整えることができていると感じています。

実は当院の医師数は51人と規模からすると少なく、診療科の多様性には少々欠ける点はあります。しかし、当院の患者様の多くは都心部にお勤めされているビジネスパーソンが大半です。最先端の機器や手術によって処置にかかる時間を短縮し、入院日数を抑えることができるという特徴は、立地におけるニーズにとてもマッチしています。

治療内容を絞ることによって、無理のない職場環境を構築

当院は前述のとおり近隣に居住区のないエリアのため、救急で搬送される患者様は少なく、年間で40件ほどとなっています。原則、夜間緊急においては当院で治療を受けた患者様のご希望があった場合に対応をしているため、当直はありますが負担の少ない体制を取ることができています。基本的には6時間以上の睡眠は担保されており、翌日は通常通り勤務することが可能です。

医師の数が少ない状態でも治療の内容を絞ることによって、働く環境を整備しています。特に、クリニカルパスの利用率は90%と高く、通常手術を終えて手術記録をしっかりと記載すれば、基本的には17時には帰ることが可能です。

例外としては、低侵襲医療を実施しているため、かなりご高齢の患者様を手術することもあります。そのような患者様の術後の対応が発生した際には、医師が急遽対応することはあります。しかし基本的に遅くまで残っている医師は、自己研鑽や学会活動の資料集めなどが主となっています。現在は中堅医師が多く、若い研修医なども少ないため、良し悪しはあると思いますが、教育のために時間が遅くまで取られてしまうということはありません。

一方で患者の希望を優先して短い入院期間をとっているため、看護必要度が常に50%と高い状況にあり、看護師としては忙しい職場ではあるかと思いますが、医師の働き方改革には比較的取り組むことができている病院だと自負しています。

低侵襲医療ならではの課題。診療部門での赤字は健診部門で補う、収益バランスの構築体制とは

市民病院などでは入院、手術をして100万円ほどの収益を得るためには人件費を含めて120万ほどかかるということはよくあります。入院が長引けば収益性は高まりますが、当院の在院日数が少ないという特徴は病院の収益の観点では弱点ともなります。

大阪の市街地に立地する当院に来院される方には、低侵襲の最新医療を求めて早く退院することを望まれる方が多いため、在院日数を無理やり長引かせることもできません。そのため、診療部門の頑張りにも関わらず大幅な赤字になってしまう構造となっています。

一方、健診部門は病院からの持ち出しが少ないため、収益性が高いという特徴があります。診療部門を健診部門がうまく補完することでバランスを取り、収益バランスを構築することができています。適切な収益バランスを見極めること、またそれを継続することが非常に難しい部分でもありますが、それぞれの部門が補完しあって収益の最大化を目指しています。

持続性のある病院経営を行うために、変わり続けることを恐れない。

今後の病院としてはよりテクノロジーによる業務効率化を推進していきたいと考えています。患者様の目を見てコミュニケーションをするためには、カルテが自動で作成されることが理想的です。

以前在籍していた病院では、若い医師は電子カルテばかりを注視しながら患者様とのコミュニケーションをしている状況も散見されました。そのような状況を当院では発生させないためにもテクノロジーの導入を積極的に実施していきたいと思っています。

効率面だけではなく、コスト面においても今後テクノロジーは有用だと考えています。当院は非常勤の医師など、さまざまな方に助けていただき病院として機能しているのですが、その分の支出が膨らんでしまっています。病院の持続性を考え、より高い収益性を求めるのであれば、積極的に新しい技術を導入しインテリジェントホスピタルへと近づく意識を持っていなければいけません。

具体的には、継続的に医療機器や手術で使用する医療器具のアップデートをしていくつもりです。また、AIなどの機械学習によって医療の質を高めることができる機器やサービスがあれば、他の病院に先駆けて導入していきたいと思っています。民間病院であるため市販される前段階の医療機器を導入する敷居は高い状況ではありますが、大学との共同研究を実施するなど、いち早く最新鋭パイプ作りにも力を入れていきたいと思っています。都心にある当院のような病院は、そのような努力を怠るとすぐに置いていかれてしまうという危機感がありますね。

持続可能な病院の成長のため、医師の目に留まるアップデートを繰り返す。

当院は、比較的軽症の方を診る病院です。低侵襲医療を実施していますが、癌末期の患者様や寝たきりの患者様などはおられません。これらの特徴と立地条件がマッチして現状の病院経営はうまくいっていますが、患者様にも医師にとっても魅力ある病院づくりを継続していくことが必要です。特に特定領域の優秀な医師にとって、働きがいのある病院づくりが大事だと考えています。
具体的には、当院の強みの一つとして肛門外科に特化した医師の存在があります。肛門に関する病気はとても多い一方で、それらを診察する体制がしっかりと整っている病院は多くはありません。

肛門外科領域においては、一般病院で手術は必要と診断されたものの、命に関わるものではないため手術の期間が先延ばしになってしまう患者様がいるケースが少なくありません。そのため、入院施設を持っており年間で1500もの肛門の手術をする常勤医が4人もいるという当院の受診を希望され、県外からも特定の医師の処置を求めて来院されるケースが多くあります。

このような状況を維持していくためには、医師を惹きつける魅力的なトピックを供給し続けていかなければなりません。それが、近隣の方々や職員に喜んでもらえることにもつながるかと思います。引き続き、最先端のITネットワークと医療機器を取り入れ、かつ患者様との信頼関係を大切にするようなモチベーションの高い職員が揃った病院にしていきたいですね。繰り返しになりますが、医師だけではなくコメディカルスタッフも含めたチーム医療を強く意識しながら、職員にとっても、患者様にとっても満足度の高い病院経営に今後も努めて参ります。