
監修者おだかクリニック 循環器内科 副院長
内臓冷え型は冷たい飲食物で胃腸の働きが落ちるタイプ、自律神経疲弊型は室内外の温度差で全身が疲弊するタイプで、対処法が異なります。
内臓冷え型夏バテとは|冷たいものの摂りすぎで胃腸の動きが低下
内臓冷え型は、冷たい飲み物やアイスクリームを頻繁に摂ることで胃腸の温度が下がり、消化機能が低下するタイプの夏バテです。冷たい飲料(4℃)を摂取すると、胃の収縮波が抑制され、胃から十二指腸への内容物の流れが乱れることが報告されています[Gut. 1995;37(3):329-34.]。さらに暑さのストレスで消化管への血流が減少している状態に冷えが加わると、胃もたれ、腹部の張り、下痢や便秘といった症状が現れやすくなります。
主な特徴は、食後のお腹の冷え感、軟便や下痢が続く、冷房の効いた部屋で症状が悪化する、といった消化器中心の不調です。
自律神経疲弊型夏バテとは|室内外の温度差が自律神経を酷使
自律神経疲弊型は、暑い屋外と冷房の効いた室内を何度も行き来することで、体温調節を担う自律神経が酷使されるタイプです。暑さへの曝露が続くと、皮膚の血管拡張や発汗で循環のバランスが崩れ、めまいや立ちくらみが起こりやすくなります[Temperature. 2015;2(4):452.]。
こうした疲労時には、交感神経の活動が高まり副交感神経の活動が低下するパターンが確認されています[Behav Brain Funct. 2011;7:46.]。全身の倦怠感、頭痛、寝つきの悪さ、朝起きてもすっきりしないといった症状が中心で、消化器の不調よりも全身症状が目立つのが特徴です。
2つのタイプの違い|チェックポイント
「夏バテ対策をしているのに効かない」と感じている方は、自分のタイプを見極めることが対策の第一歩です。
内臓冷え型のサインは、冷たいものを飲食したあとにお腹の調子が悪くなる、冷房で手足やお腹が冷える、温かいものを摂ると楽になる、といった点です。一方、自律神経疲弊型のサインは、全身のだるさが抜けない、頭痛やめまいが起きやすい、室内外の移動で体調が変わる、夜中に何度も目が覚める、といった点です。両方の特徴を持つ方もいますが、より気になる症状が多いほうを中心にセルフケアを始めるのがよいと考えられます。
タイプ別の食事と生活習慣でのセルフケア
内臓冷え型の方は、冷たい飲食物を控え、温かい食事を基本にすることが推奨されます。味噌汁やスープで胃腸を温めながら水分・電解質・たんぱく質を補い、乳酸菌を含むヨーグルトは常温に近い状態で摂ることが検討されます。
自律神経疲弊型の方は、室内外の温度差を5〜7℃以内に保つ工夫に加え、ぬるめの入浴(38〜40℃)で副交感神経を優位にすることが検討されます。GABA(γ-アミノ酪酸)やテアニンを含む食品は、リラックスをサポートすると注目されています。ただし、これらは健康維持をサポートするものであり、病気を予防したり治したりするものではありません。
夏バテのタイプを理解するうえで日常生活の工夫として検討が推奨される点

特に重要とされるのは、自分の夏バテのタイプを見極めたうえで、それに合ったセルフケアを選ぶことと考えられています。
ここだけは伝えたいメッセージ
夏バテ対策は「万人に共通の正解」があるわけではなく、自分の体のサインを観察してタイプに合った方法を選ぶことが回復への近道です。冷えが気になるならまず温かい食事から、だるさが中心ならまず温度差の管理から始めてみてください。
ただし、胃腸の不調が2週間以上改善しない場合や、強い頭痛・めまい・動悸が繰り返される場合は、機能性ディスペプシアや甲状腺機能異常など別の疾患が隠れている可能性があります。自己判断で様子を見続けず、医療機関への受診をご検討ください。
まとめ:夏バテの2タイプを知り、自分に合ったセルフケアを
- 内臓冷え型:冷たい飲食物で胃腸の動きが低下するタイプ。温かい食事+常温の乳酸菌食品がポイント
- 自律神経疲弊型:室内外の温度差で自律神経が酷使されるタイプ。温度差管理+ぬるめの入浴がポイント
- 見分けのヒント:お腹の冷え・下痢が中心なら内臓冷え型、全身のだるさ・不眠が中心なら自律神経疲弊型
- 共通の対策:たんぱく質+ビタミンB群の摂取、乳酸菌食品で腸内環境を整える
- 注意:2週間以上改善しない胃腸症状や繰り返す頭痛・めまいは、医療機関への受診をご検討ください
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