「月経前症候群(PMS)」の解説
監修医師
概要
生理前になるといつも体調が悪いと感じることはありませんか?あるいは、抑うつ、イライラ、不安、疲れやすいなどの症状がひどい時期と、ましな時期がありませんか?月経前症候群 (PMS)とは、生理前に出現する精神的、身体的な症状のことで、生理が始まると改善します。生理がある年代の女性の多くは生理前に何らかの心身の変調を自覚すると言われており、約半数がPMSと診断されます。軽症では治療の必要はありませんが、症状が強い人は治療を行うと改善する可能性があります。また、抑うつなどの精神症状を伴う重症のPMSは、月経前不快気分障害(PMDD)と呼ばれることもあります。
原因
原因はよくわかっていません。月経周期に伴うホルモンの変化が関与していると考えられています。それにストレスや疲労などが合わさってPMSの症状が出現すると考えられています。
症状
日常生活に支障をきたすような下記の身体症状、精神症状が1つ以上、毎月月経前にあれば、PMSと診断します。特に検査等を受ける必要はありません。
(表) PMSの診断基準 (米国産婦人科学会)
治療
治療するほど困っていなければ、特に治療の必要はありません。ただ、それなりに症状があり、日常生活に支障をきたす(うつっぽくなる、イライラする、夫婦ケンカが増える、訳もなく不安になる、頭が痛い、仕事にも影響がある、など)のであれば、治療も考えてみて下さい。低用量ピル(LEP)や漢方薬、SSRIと呼ばれる抗うつ薬などがPMSに効果があると言われています。これらの中から、担当医の先生と相談して治療方法を決めてみてください。
予防
症状のある時期が月経前に集中していることに気付いていない方、うすうす気付いているが、月経が関与しているとは思っていない方も多いです。また「こういうものだから仕方ない」「生理はしんどくて当然だから我慢しなくちゃ」と思う必要はありません。症状がつらければ是非、婦人科で相談してみてください。また、一旦治療を始めたらずっと薬を続けなければいけないわけでもありません。症状がある時だけ薬を内服し、よくなれば治療を終了しても構いません。担当医の先生とよく話し合って治療方針を検討して下さい。
監修医師
診療科・専門領域
- 産婦人科