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便秘症」の解説

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監修医師

吉岡 藍子

概要

便秘とは、本来からだの外に出すべき便を十分量かつ快適に排出できない状態。便秘によって腹痛、努責(踏ん張ること)や残便感などの症状があり、検査や治療が必要な状態が便秘症と定義される。有病率は日本人の2~28%で定義や調査によって大きく幅があるが高齢になるほど増える傾向がある。

原因

大腸癌や腸炎で腸の内側が狭くなり物理的に便が通りづらくなって起きるもの、腸が拡張しすぎて便が降りてこないもの、腸の運動に関係する神経や筋肉、内臓などの病気が背景にあるもの、水分や食物繊維摂取不足によるもの、骨盤底筋群という排便に関係する筋力の低下によるもの、他の病気で飲んでいる薬の副作用で起こるものなど原因は多岐にわたる。

症状

排便回数の低下(3日に1回も出ていない、以前より便の出が悪くなったなど)、便がたまることでお腹が張ったり、食欲低下がおこる、腹痛、排便時の痛み、過度の努責が必要、排便までに時間がかかる(5分以上)、残便感がある、など程度や種類は人それぞれ異なる。

検査・診断

まずは問診を行い、排便習慣、食生活、常用薬や持病について確認する。50歳以上で3年以内に大腸内視鏡検査を行っていない場合は、大腸癌などの器質的狭窄をきたす病気も疑って大腸内視鏡検査を行う。お腹のレントゲンやCTは便秘となる背景に病気がある場合を疑って行うことがある。排便造影検査といって便の代わりに薬を大腸に注入して、排便時の腸の動きや便(薬)の流れを確認する検査もあるが、この検査は限られた施設でしか行えない。

治療

背景に病気があればそれに対する治療を行う。水分不足や食物繊維不足には食生活を見直して摂取不足を改善する。薬の治療としては、便を柔らかくするタイプ、腸の動きを促すタイプでそれぞれ何種類かあるため、単独で使用したり組み合わせて使用する。毎日内服する薬と屯用で使う薬を組み合わせて排便調節していく。また、漢方で便秘に使う薬も何種類もあるので、体質に合わせて使うことがある。

予防

水分摂取は便秘予防の基本。食物繊維は理想的には1日18~20gが適正といわれているため、なるべく摂取するように心がける。生活習慣の乱れも便秘につながることがあるので、なるべく規則正しい生活(特に食事のタイミングや睡眠)を送るようにする。また、排便は毎日出さないといけない、という思い込みから便秘に過度に悩まされてしまうことは生活の質を著しく低下させてしまう。排便習慣はその人それぞれにあった回数があるため、薬を調整してもらう先生とよく相談して治療することが重要。

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監修医師

吉岡 藍子

診療科・専門領域

  • 消化器内科
新潟大学医学部卒。 新潟県内外の市中病院、大学病院で勤務。 新潟大学大学院医歯学総合研究科消化器内科学分野にて博士取得。 2022年からユビーに入社し、横浜市で健診内視鏡診療を兼務。
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