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ウイルス性胃腸炎」の解説

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監修医師

新潟大学大学院医歯学総合研究科消化器内科学分野医員
吉岡 藍子 先生

概要

ウィルス感染によって腹痛、嘔吐や下痢などの胃腸症状が引きおこる状態。代表的にはノロウィルスや小児ではロタウィルスが多い。ウィルスは未知のウィルスも含め多数種類がいるので、原因ウィルスが判定されない場合も多い。数日~1週間、長くても2週間程度の症状で改善する場合がほとんど。特別な薬は不要で、対症療法(痛いときは痛み止め、吐き気には吐き気止めなど)が治療の中心。

原因

食べ物などにウィルスがくっついて口から入ることで感染する。同じタイミングで同じものを食べても、胃腸炎症状が出る人と出ない人とがいる。ノロウィルスは、生ガキなどの魚介に含まれることが多く、1年中みられるが特に冬が多い。ノロウィルスは腸管の中で増えて、糞便中に排泄されるので、排泄物の接触で容易に感染してしまう。小児ではロタウィルスやアデノウィルス感染が多い。

症状

感染して1-2日程度で腹痛、下痢、嘔吐などの胃腸症状が出現する。発熱を伴うこともある。通常は症状出現してから3日以内に自然に改善するが、1週間程度症状が続く場合もある。また、糞便中のウィルスは長いと1か月近く残る場合がある。下痢が激しく脱水症状をきたしてしまうこともある。

検査・診断

基本的には、問診で心当たりのある食べ物や周囲に同様な症状の人がいないかを確認して、いわゆる食中毒に該当するか判断する。ノロウィルスの検査もあるが、一般的には行わない。但し、調理に携わる職や、保育職のような特別の場合(感染の証明が必要など)は行うこともある。血液検査や画像検査で細菌性胃腸炎やほかの腸炎を除外する場合もあるが、症状が典型的であったり、生ガキの生食をした、などのエピソードがあり、症状がひどくなければ検査を行わないこともある。

治療

ウィルスを除去する治療薬はないため、基本的には対症療法として、症状に対する治療を行う。腹痛があれば痛み止め、吐き気があれば吐き気止めを使用する。下痢は基本的には異物を排出させる生理現象なので、ウィルスを早く排泄させる目的では下痢止めは使用しない。脱水にならないように適宜水分補給を行うが、食事や水分が摂れない場合は入院して点滴を行う場合もある。

予防

ノロウィルスは特に感染力が強いため、排泄物、汚物の処理は十分気をつける。マスクや手袋を着用して直接触ったり吸い込んだりしないようにする。また、消毒は次亜塩素酸ナトリウムを使用する。衣類や食器は85度以上の熱湯に1分浸けることも効果的。

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監修医師

新潟大学大学院医歯学総合研究科消化器内科学分野医員
吉岡 藍子 先生

診療科・専門領域

  • 消化器内科
新潟大学医学部卒。 済生会新潟病院、新潟大学医歯学総合病院に消化器内科医として勤務。 その後、新潟大学大学院病理学教室にて博士取得。 県内市中病院である燕労災病院、長岡赤十字病院消化器内科副部長を経て、2018年4月から埼玉県済生会川口総合病院消化器内科医長として勤務。 2022年4月から新潟大学大学院医歯学総合研究科 消化器内科学分野所属。
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