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胃炎」の解説

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監修医師

新潟大学大学院医歯学総合研究科消化器内科学分野医員
吉岡 藍子 先生

概要

なんらかの原因で胃が荒れること。ストレスで胃が痛くなるような急性のものと、主にピロリ菌感染が原因となる慢性のものとある。急性では胃痛などの症状が強く食事が取れなくなることもある。慢性では自覚症状がないこともあるが、放置すると胃がんの発生リスクが上がってしまう。

原因

急性胃炎は急性胃粘膜症候群という激しい胃炎を伴うものがある。主にストレスが関連しているが、成人で初めてピロリ菌に感染したときに発症することがある。また、内服している薬剤の副作用で起こることもある。本来ピロリ菌は幼少期に感染し無症状で経過するが、成人で初めて感染すると激しい胃痛症状が伴うことがある。慢性胃炎はピロリ菌が胃に住みつくことで胃粘膜が徐々に痩せて萎縮していく。ピロリ菌以外でも、胃粘膜を萎縮させる自己抗体によって慢性胃炎となることが稀にあり、その場合は貧血を合併することがある。

症状

急性胃炎は、胃痛、腹痛、灼熱感食事が取れないなどの強い症状が伴うことが多い。数日から1週間程度で症状は和らぐ。慢性胃炎は基本的には自覚症状はないことが多く、健診の胃カメラなどで指摘される。中には、心窩部の違和感、胃痛や腹部膨満感などいわゆるディスペプシアといった症状が現れることがある。

検査・診断

胃カメラ検査で、粘膜障害(急性の変化)や萎縮(慢性の変化)があるか確認する。自覚症状と合わせて診断する。

治療

急性胃炎は、胃酸を抑える薬を数週間継続して内服する。急性胃炎を起こした原因が薬剤であればその薬剤を中止する必要がある。症状が強く食事が取れないときは入院治療(点滴)が必要になることもある。慢性胃炎は、まずはピロリ菌感染を証明し、除菌療法を行う。

予防

急性胃炎がピロリ菌の初感染だった場合は、慢性胃炎へ移行しないよう、症状が落ち着いた後に除菌を行う必要がある。すでに慢性胃炎の場合はなるべく早く除菌療法を行い、潰瘍リスクや発癌リスクをなるべく少なくする。除菌後も定期的な胃カメラ検査を行い、万が一、発癌した場合に早期発見早期治療ができるように心がける。

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監修医師

新潟大学大学院医歯学総合研究科消化器内科学分野医員
吉岡 藍子 先生

診療科・専門領域

  • 消化器内科
新潟大学医学部卒。 済生会新潟病院、新潟大学医歯学総合病院に消化器内科医として勤務。 その後、新潟大学大学院病理学教室にて博士取得。 県内市中病院である燕労災病院、長岡赤十字病院消化器内科副部長を経て、2018年4月から埼玉県済生会川口総合病院消化器内科医長として勤務。 2022年4月から新潟大学大学院医歯学総合研究科 消化器内科学分野所属。
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