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抗てんかん薬のラコサミド(ビムパットⓇ)とレベチラセタム(イーケプラⓇ)にはどのような違いがありますか?

東京頭痛クリニック 脳神経内科

越智 佳奈 監修

ともにてんかんの部分発作治療薬ですが、レベチラセタムは第一選択薬、ラコサミドは第二選択薬とされています。

解説

ラコサミド(ビムパットⓇ)とレベチラセタム(イーケプラⓇ)は、いずれも、てんかんの「部分発作(現在、てんかん発作型国際分類では焦点発作と分類されています)」治療で使われる薬、または、他の抗てんかん薬で十分な効果が認められないてんかんの患者さんの強直間代発作に対する抗てんかん薬との併用療法で使われる薬です。
「てんかん診療ガイドライン2018」では、新規発症の部分てんかんの選択薬として、レベチラセタム(イーケプラⓇ)は第一選択薬、ラコサミド(ビムパットⓇ)は第二選択薬とされています。

てんかんは、脳の神経細胞が過剰に興奮することによって、「けいれん・ひきつけ」「体がびくっとする」「ぼーとする」「意識を失ったまま動き回る」などの多彩な発作を繰り返す、慢性的な脳の病気です。
てんかんの発作には大きく、脳の一部が過剰に興奮することで起こる部分発作(焦点発作)と、脳の全体が過剰に興奮することで起こる全般発作があります。全般発作の中に強直間代発作も含まれます。
これに対し、抗てんかん薬は、てんかんの原因を取り除くことはできませんが、てんかん発作が起きないように脳の興奮を抑える効果があります。

ラコサミド(ビムパットⓇ)とレベチラセタム(イーケプラⓇ)には、それぞれ以下のような特徴があります。

ラコサミド(ビムパットⓇ)

分類

ナトリウムチャネル遮断薬

主な作用機序

神経細胞のナトリウムチャネルという部分に作用して、過剰な興奮状態にある神経細胞膜を安定化させます。これにより、てんかん発作の発生を減らします。

レベチラセタム(イーケプラⓇ)

分類

シナプス小胞タンパク質2A(SV2A)リガンド

主な作用機序

神経伝達物質の放出を調節しているシナプス小胞タンパク質2A(SV2A)に結合して、神経細胞の過剰な興奮を抑制します。これにより、てんかん発作の発生を減らします。

関連する病気と症状

(参考文献)

第一三共.“ビムパット錠50mg/ビムパット錠100mg 添付文書”.日本医薬情報センター.https://pins.japic.or.jp/pdf/newPINS/00066392.pdf,(参照 2024-06-19).
第一三共.“ビムパット点滴静注100mg/200mg 添付文書”.日本医薬情報センター.https://pins.japic.or.jp/pdf/newPINS/00068475.pdf,(参照 2024-06-19).
第一三共.“ビムパットドライシロップ10% 添付文書”.日本医薬情報センター.https://pins.japic.or.jp/pdf/newPINS/00067886.pdf,(参照 2024-06-19).
第一三共.“ビムパット錠・ビムパットドライシロップ インタビューフォーム”.第一三共.https://www.medicalcommunity.jp/filedsp/products$druginfo$vimpat50$if/field_file_pdf,(参照 2024-06-19).
くすりのしおり.“ビムパット錠50mg”.くすりのしおり.https://www.rad-ar.or.jp/siori/search/result?n=42770,(参照 2024-06-19).
くすりのしおり.“ビムパット錠100mg”.くすりのしおり.https://www.rad-ar.or.jp/siori/search/result?n=42759,(参照 2024-06-19).
くすりのしおり.“ビムパットドライシロップ10%”.くすりのしおり.https://www.rad-ar.or.jp/siori/search/result?n=46105,(参照 2024-06-19).
日本神経学会ほか.“てんかん診療ガイドライン2018”.日本神経学会.https://www.neurology-jp.org/guidelinem/tenkan_2018.html,(参照 2024-06-19).
重藤 寛史. 新規抗てんかん薬の特色と臨床的有用性. 日内会誌. 2018, 107, 1108-1114.
ユーシービージャパン.“イーケプラ錠250mg/イーケプラ錠500mg 添付文書”.日本医薬情報センター.https://pins.japic.or.jp/pdf/newPINS/00058813.pdf,(参照 2024-06-19).

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