
市販の睡眠導入剤はどう選ぶ?ロゼレムS・ドリエルの違いと選び方
市販の睡眠導入剤について3分でわかるまとめ
寝つきの悪さは、多くの人が一度は経験する身近な不調です。市販の睡眠導入剤・睡眠改善薬は、病院に行かずに試せる選択肢のひとつですが、「フルボキサミンを服用中の人は使えない」「2週間を超えて使い続けてはいけない」など、成分ごとに細かな注意点が定められています。この記事では、市販薬の種類と選び方・買える場所・使ってはいけないケース、そして病院に相談すべきタイミングまでを、公的なガイドラインと各製品の添付文書にもとづいて中立的に整理します。
必ず確認してください(重要な禁忌)
フルボキサミン(デプロメール、ルボックス等)を服用中の方は、ロゼレムSを使用できません。
服用後は車の運転や危険を伴う機械の操作をしないでください。お酒と一緒に飲んだり、他の催眠鎮静薬・かぜ薬・アレルギー用薬などと併用したりすることも避けてください。いずれの製品も「一時的な不眠の緩和」を目的とした薬です。2〜3回試してもよくならない場合は服用を中止し、医療機関への相談をご検討ください。改善していても、2週間を超えての継続使用は避けてください。
市販の睡眠導入剤・睡眠改善薬にはどんな種類がある?
市販の睡眠導入剤・睡眠改善薬には、大きく2つのタイプがあります。仕組みが違う「メラトニン受容体作動薬」と「抗ヒスタミン薬」です。
私たちの体には、約24時間周期でリズムを調整する体内時計が備わっており、脳の視交叉上核という神経細胞の集団がその中心になっています(厚生労働省 e-ヘルスネット)。睡眠と覚醒の切り替えも、この体内時計の働きによって調整されています。
- メラトニン受容体作動薬(ロゼレムS):体内時計に働きかけ、睡眠・覚醒のバランスを睡眠側に傾けることで自然な眠りに導くタイプです(添付文書の「特徴」記載に基づく)
- 抗ヒスタミン薬(ドリエル):本来はかゆみやアレルギー症状を抑える成分(ジフェンヒドラミン塩酸塩)が持つ「眠気を起こす」という作用を応用したタイプです(添付文書の「特徴」記載に基づく)
以下は、効きめの優劣を比べるものではなく、添付文書の記載にもとづいて仕組みの違いを整理したものです。
ドリエルとはどんな薬?
ドリエルは、抗ヒスタミン薬(ジフェンヒドラミン塩酸塩)を配合した市販の睡眠改善薬です。エスエス製薬が販売している指定第2類医薬品で、薬局・ドラッグストアはもちろん、ネット通販でも購入できます。
添付文書には、本来はかゆみやアレルギー症状を抑える目的で使われる成分(ジフェンヒドラミン塩酸塩)が持つ「眠くなる」作用を応用してつくられたと説明されています。効能・効果は「一時的な不眠の次の症状の緩和:寝つきが悪い,眠りが浅い」で、成人(15才以上)は2錠を就寝前に服用します(添付文書)。
ラメルテオン(ロゼレムSの成分)とはどんな成分?
ラメルテオンは、体内時計に働きかけるメラトニン受容体作動薬です。医療用医薬品(ロゼレム錠8mg)として2010年から処方されてきた成分で、2026年に市販薬「ロゼレムS」として初めて配合されました(アリナミン製薬プレスリリース)。
日本睡眠学会・厚生労働科学研究班のガイドラインでは、メラトニン受容体作動薬は体内時計に働きかけるため、従来のベンゾジアゼピン系・非ベンゾジアゼピン系の睡眠薬とは作用機序が異なるとされています。
ロゼレムSとドリエルは何が違う?
| ロゼレムS | ドリエル | |
|---|---|---|
| 有効成分 | ラメルテオン8mg(1錠) | ジフェンヒドラミン塩酸塩50mg(2錠) |
| 分類 | 要指導医薬品 | 指定第2類医薬品 |
| 販売元 | アリナミン製薬 | エスエス製薬 |
| 飲み方 | 1日1回1錠・就寝前30分以内 | 1日1回2錠・就寝前 |
| 効能・効果 | 一時的な不眠の次の症状の緩和:寝つきが悪い | 一時的な不眠の次の症状の緩和:寝つきが悪い,眠りが浅い |
| 希望小売価格 | 7錠1,650円/14錠3,080円(税込) | 6錠1,188円/12錠2,195円(税込) |
ロゼレムSは、医療用医薬品として2010年から使われている有効成分「ラメルテオン」を、市販薬として初めて配合した製品です(アリナミン製薬プレスリリース)。含量は医療用のロゼレム錠8mgと同じです。
ドリエルは、抗ヒスタミン薬が持つ「眠くなる」という作用を応用した製品です。添付文書には次のように説明されています。
脳の睡眠・覚醒に関係が深い視床下部の後部には,興奮性ニューロンといわれるヒスタミンニューロンが多く存在しています。…ドリエルは,その効きめ成分(ジフェンヒドラミン塩酸塩)が脳におけるヒスタミンの働きをおさえ,眠くなる作用をあらわします(ドリエル添付文書)
日本睡眠学会・厚生労働科学研究班のガイドラインでは、メラトニン受容体作動薬(ラメルテオン)は「もっとも安全性が高く、高齢者や基礎疾患がある患者など副作用・有害事象のハイリスク患者でも用いやすい」と説明されています(推奨グレードB=科学的根拠があり推奨される)。一方、抗ヒスタミン薬を使った市販の睡眠改善薬については、後述するように「連用しない」ことが添付文書上のルールになっています。
ロゼレムSはなぜ要指導医薬品?薬局でどう買う?
ロゼレムSは、医療用医薬品と同じ成分を配合した「スイッチOTC」のため、要指導医薬品に指定されており、薬局・ドラッグストアで薬剤師の説明を受けてから購入します。
要指導医薬品は、市販薬の中でも安全性の情報がまだ十分に蓄積していない薬に指定される区分です。ロゼレムSは、2026年5月20日に製造販売承認を取得し、同年7月28日に発売された新しい製品です(アリナミン製薬プレスリリース)。購入時には、薬剤師から効能・効果や使用上の注意についての説明を受ける必要があります。
要指導医薬品はネット通販で買える?
2026年5月1日に施行された改正薬機法により、要指導医薬品も、薬剤師によるオンライン服薬指導を条件に、制度上はネット販売(配送)が可能になりました。ただし、緊急避妊薬など「特定要指導医薬品」に指定された薬は対象外で、引き続き対面販売のみです。
ロゼレムSは特定要指導医薬品には該当しませんが、⚠️ 実際にオンライン服薬指導付きでの購入に対応している販売店があるかどうかは、本記事執筆時点(2026年8月)では確認できていません。発売直後のため、対応状況は今後変わる可能性があります。購入を検討する場合は、利用したい薬局・ドラッグストアに直接確認することをご検討ください。
なお、ドリエル(指定第2類医薬品)は要指導医薬品ではないため、通常のネット通販で購入できます。
漢方薬や睡眠サポート系のサプリメントも選択肢になる?
市販の睡眠改善薬には、加味帰脾湯などの漢方薬を配合した製品もあります。ただし、日本睡眠学会・厚生労働科学研究班による「睡眠薬の適正な使用と休薬のための診療ガイドライン」(2013年10月22日改訂・本記事執筆時点で参照可能な最新版)では、次のように述べられています(同ガイドラインの患者向け解説・勧告より)。
残念ながら不眠症に対する効果がしっかりと確認された漢方薬はありません。メラトニンも睡眠リズムの異常には効果がありますが、一般的な不眠症には効果が乏しいようです。…不眠症に対するメラトニンの効果は比較的弱く、主たる治療薬として推奨することは難しい。不眠症に対する漢方薬の有効性は確認されておらず、推奨されない(推奨グレードC2)
添付文書上は効能が認められている製品もありますが、学会ガイドラインでは不眠症への有効性が確認されていないとされているため(推奨グレードC2=科学的根拠がなく、行うよう勧められない、最も低い推奨度)、本記事では比較対象に含めていません。
また、グリシン・GABA・テアニンなどをうたう「睡眠サポート系」の製品には、機能性表示食品として販売されているものもあります。これらは医薬品ではないため、不眠症状の治療を目的とした製品ではありません。
こんな不眠は市販薬より先に受診を
次のような場合は、市販薬を使う前に医療機関への相談をご検討ください。
- 不眠が2週間以上続いている
- 気分の落ち込みや意欲の低下を伴う
- いびきが激しい・日中に強い眠気がある(睡眠時無呼吸症候群の可能性)
- 他の薬を服用中である
こうした症状の背景には、うつ病・不安障害・睡眠時無呼吸症候群など、市販薬では対応できない病気が隠れている場合があります。
使ってはいけない人・相談が必要な人は?
両製品とも、次の人は服用できません(添付文書にもとづく)。
- 15歳未満
- 妊婦または妊娠していると思われる人
そのほか、製品ごとに次の違いがあります。
ロゼレムSを服用できない人:
- 本剤の成分に対してアレルギー症状を起こしたことがある人
- 睡眠時無呼吸症候群等の睡眠障害、不眠を伴う精神疾患(うつ病・躁病・統合失調症・神経症・認知症等)、肝臓病の治療を受けている人
- フルボキサミンマレイン酸塩(デプロメール、ルボックス等)で治療を受けている人
- 授乳中の人は服用しないか、服用する場合は授乳を避ける
- 服用前後の飲酒
- 2週間を超える服用(2週間を超えて必要な場合は医師・薬剤師に相談)
ドリエルを服用できない人:
- 日常的に不眠の人、不眠症の診断を受けた人
- 授乳中の人は服用しないか、服用する場合は授乳を避ける
- 服用前後の飲酒
- 他の睡眠改善薬・催眠鎮静薬、かぜ薬、解熱鎮痛薬、抗ヒスタミン剤を含む内服薬(鼻炎用内服薬、乗物酔い薬、アレルギー用薬等)との併用
- 連用(添付文書上、繰り返しの使用は想定されていません)
いずれも、服用後は乗物または機械類の運転操作をしないこととされています。持病がある方、他の薬を服用中の方、高齢の方は、購入前に薬剤師への相談をご検討ください。
使っても改善しないときはどうすればいい?
2〜3回試してよくならなければ、服用を中止して医療機関への相談をご検討ください。改善していても、2週間を超えての継続使用は避けてください。 薬を使っている間も、生活習慣を整えることを並行して行うことが大切です。
ロゼレムS、ドリエルのいずれも、添付文書には次のように書かれています。
- ロゼレムS:「定められた用法・用量(1日1回1錠)を厳守した上で2~3回服用しても症状がよくならない場合は服用を中止し,この文書を持って医師または薬剤師に相談すること」
- ドリエル:「2~3回服用しても症状がよくならない場合は服用を中止し,この説明書を持って医師,薬剤師又は登録販売者に相談してください」
いずれも「一時的な」不眠の緩和を目的とした薬で、長く続く不眠への使用は想定されていません。ロゼレムSの添付文書には「寝つきが悪い時のみの服用にとどめること」「2週間を超えて服用しないこと」とも書かれています。日中の強い眠気・気分の落ち込み・記憶力の低下など、寝つきの悪さ以外の症状も伴う場合は、市販薬に頼る前に医療機関への相談をご検討ください。
個人輸入や海外製の睡眠薬には、どんな注意が必要?
海外では、日本で医療用医薬品として扱われている睡眠薬が、個人輸入代行サイトなどで販売されている場合があります。
これらは国内で承認された添付文書による情報提供がなく、品質や安全性の確認ができないまま服用することになります。市販薬として選ぶ場合は、国内で承認され、添付文書のある製品を選ぶことをご検討ください。
商品情報
ロゼレムSは要指導医薬品で、薬局・ドラッグストアで薬剤師の説明を受けてから購入します(オンライン服薬指導つきで購入できる店舗は本記事執筆時点では確認できていません)。ドリエルは指定第2類医薬品で、薬局・ドラッグストアのほかネット通販でも購入できます。いずれも、フルボキサミン併用や2週間を超える使用などの禁忌・注意点があるため、購入前に必ずご確認ください。
ロゼレムS
アリナミン製薬
7錠1,650円(税込)
情報に誤りがある場合は、こちらからご連絡をお願いいたします。
ドリエル
エスエス製薬
6錠1,188円(税込)
情報に誤りがある場合は、こちらからご連絡をお願いいたします。
掲載している市販薬は記載した効果・効能があることを保証したものではありません。ご購入にあたっては、各商品の公式サイトなどをご確認ください。
市販薬以外の選択肢・薬と併用したいこと
- 生活習慣を整える(薬を使う場合も並行して):就寝前の光刺激を控える、就寝・起床時間を一定にするなど、体内時計を整える生活習慣の見直しは、薬を使う場合でも併用して行うことが大切です(厚生労働省 e-ヘルスネット)
- 医療機関を受診する:不眠が長く続く場合や、日中の強い眠気・気分の落ち込みなど他の症状を伴う場合は、市販薬で対応を続けるより医療機関への相談をご検討ください。医療機関では、メラトニン受容体作動薬(医療用医薬品)やオレキシン受容体拮抗薬など、市販薬とは異なる選択肢での治療が行われることがあります(効果の優劣を示すものではなく、選択肢としての事実紹介です)
- 今は使わない:症状が軽い場合や、原因に心当たりがある場合は、市販薬を使わずに様子を見るという選択肢もあります
この記事の掲載基準
この記事で紹介した市販薬は、次の基準で選んでいます。
- 同一の有効成分は1製品まで(ジフェンヒドラミン塩酸塩を配合した製品は複数ありますが、代表として1製品のみ紹介しています)
- 同一メーカーの製品が重複しないようにしています
- 価格帯が偏らないようにしています
- 検索順位や広告の有無では選んでいません
- 有効成分と適応症の一致を、添付文書にもとづいて確認しています
漢方薬を含む製品は、上記の理由(学会ガイドラインで不眠症への有効性が確認されていないとされている)から、比較の対象には含めていません。医療用医薬品(処方薬)も、一般向けに効果を訴求できないため掲載していません。
記事の構成・掲載内容に、製薬企業からの広告費その他の対価は一切影響していません。
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(参考文献)
- アリナミン製薬株式会社. 市販薬初!医療用成分「ラメルテオン」を配合した睡眠改善薬「ロゼレム®S」が製造販売承認取得. news release, 2026年5月20日.
- アリナミン製薬株式会社. ロゼレムS 添付文書.
- エスエス製薬株式会社. ドリエル 添付文書(KEGG MEDICUS収載).
- 厚生労働科学研究・障害者対策総合研究事業「睡眠薬の適正使用及び減量・中止のための診療ガイドラインに関する研究班」・日本睡眠学会・睡眠薬使用ガイドライン作成ワーキンググループ編. 睡眠薬の適正な使用と休薬のための診療ガイドライン-出口を見据えた不眠医療マニュアル-. 2013年6月25日初版, 2013年10月22日改訂.
- 厚生労働省 e-ヘルスネット. 不眠症.
- 厚生労働省 e-ヘルスネット. 概日リズム睡眠・覚醒障害.
公開日:
最終更新日:
