鼓膜が破れた場合、主にどのような治療をしますか?

まずは経過観察を行い、鼓膜が再生するのを待ちます。

解説

鼓膜が破れた場合の治療方針は、大きく「自然治癒が期待できる小さな穴の場合」と「手術が必要な大きな穴や合併症がある場合」とで異なります。
それぞれ以下のような対応をとります。

自然治癒が期待できる小さな穴の場合

経過観察

鼓膜が破れた場合、自然治癒を待ち、耳を清潔に保ちながら経過を観察します。 怪我によってできた小さな穴であれば自然治癒することが多いです。

抗生物質の使用

上記の経過観察の際に、鼓膜に感染が起こると自然治癒の妨げになります。このため、感染のリスクが高い場合は、オフロキサシン(タリビッドⓇ︎)やレボフロキサシン(コムレクスⓇ︎)などの抗生物質の入った点耳薬を使用して感染の予防をします。

手術が必要な大きな穴や合併症がある場合

鼓膜が経過観察の後自然治癒しない場合、もしくは鼓膜の穿孔が大きい場合には、以下のような手術を行います。術式は、穿孔の大きさや穿孔の原因により、主治医により総合的に選択されます。

鼓膜穿孔閉鎖術

鼓膜の再生を促すために破れた鼓膜の縁を新鮮化(古い傷を除去してきれいな傷とすること)し、パッチを穿孔した場所に当てます。場合によっては、トラフェルミン(リティンパⓇ︎)といった鼓膜の再生を手助けするお薬を浸したスポンジを当てることもあります(鼓膜再生療法)。

鼓膜形成術

鼓膜の再生を促すために破れた鼓膜の縁を新鮮化し、自己組織を穿孔した場所に当てます。自己組織は、主に耳の後ろを切って採取します。

鼓室形成術

鼓膜の穿孔が大きい場合や、中耳を掃除したり形態を整える必要がある場合には、耳の後ろを大きく切って、鼓膜やその奥の空間にアプローチする手術を行います。

公開日

最終更新日

真生会富山病院 耳鼻咽喉科

阿河 光治 監修

(参考文献)

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