
虫さされの市販薬・かゆみ止めの選び方【2026年7月】|医師監修
虫さされについて3分でわかるまとめ
虫さされ(虫刺症・ちゅうししょう)は、蚊・ブユ・ダニ・ノミ・毛虫・ムカデなどの虫に刺されたり咬まれたりすることで起こる皮膚の反応です。赤み・かゆみ・腫れといった症状が現れ、夏の時期に特に多くみられます。腕や足・首すじなど露出した部位にできやすく、多くの場合は数日〜2週間ほどで自然に治まります。かゆみが強い場合は市販のかゆみ止めやステロイド外用薬が活用できますが、腫れがひどい場合や膿が出る場合は医療機関への受診をご検討ください。
虫さされの原因
虫さされはなぜかゆくなるのですか?
虫が刺すときに注入する唾液や毒素に対して体がアレルギー反応を起こすことで、かゆみや腫れが生じます。
蚊やブユなどの虫は血を吸う際、唾液を皮膚に注入します。この唾液に含まれる成分を体が「異物」と認識すると、アレルギー反応が起こり、かゆみ・赤み・腫れなどの症状が現れます[Powers J et al. Insect Bites. StatPearls. 2026.]。
アレルギー反応には大きく2つのタイプがあります。刺された直後から数十分以内にかゆみや膨疹(ぼうしん=一時的な腫れ)が出るタイプを「即時型反応」といいます。一方、1〜2日後にしこりや水ぶくれなどが現れるタイプを「遅延型反応」といいます。子どもは遅延型反応が出やすく、大人は即時型反応が中心になる傾向があります。繰り返し刺されるうちに反応の出方が変わっていくことも知られています。
毛虫やムカデのように毒素そのものが皮膚を刺激して炎症を起こすタイプの虫もあります。この場合はアレルギー反応とは異なり、刺された直後から強い痛みや腫れが生じることがあります[Stibich AS et al. Dermatology. 2001;202(3):193-197.]。
虫さされの種類
虫さされは虫の種類によってどう違いますか?
刺す虫の種類によって、症状の出方・腫れの形・かゆみの強さ・持続期間が異なります。
虫さされの症状は、原因となる虫の種類によって特徴が異なります[Powers J et al. Insect Bites. StatPearls. 2026.]。
蚊に刺されると、刺された直後にプクッとした膨疹ができ、かゆみを感じます。多くの場合は数時間〜数日で治まりますが、体質によっては赤く硬いしこりが数日間残ることもあります。
ブユ(ブヨ)は、刺された直後よりも半日〜1日後に強いかゆみと腫れが出ることが多く、蚊よりも症状が長引く傾向があります。
ダニに刺されると、腹部や太ももなど衣類の下の柔らかい皮膚に小さな赤いぶつぶつが現れ、強いかゆみが特徴です。
ノミは足首やすね周りなど下半身を中心に刺すことが多く、赤い丘疹(きゅうしん=小さなぶつぶつ)の中心に出血点がみられることがあります。
毛虫の毒針毛(どくしんもう)に触れると、接触した部位に赤み・かゆみ・丘疹が広がります。直接触れなくても、風で飛んだ毒針毛が皮膚に刺さることがあります。
ムカデに咬まれると、2つの牙の跡に出血を伴う強い痛みと腫れが生じます[Stibich AS et al. Dermatology. 2001;202(3):193-197.]。
ハチに刺されると、刺された部位に強い痛み・赤み・腫れが現れます。多くは局所反応にとどまりますが、まれに全身にじんましんが出る、息苦しくなる、意識がもうろうとするなどの重いアレルギー反応が起こることがあります。このような症状がみられた場合は、直ちに救急医療機関への受診をご検討ください。
日常生活でできる虫さされ対策
虫さされを防ぐにはどうすればよいですか?
虫よけ剤の使用と肌の露出を減らす服装が、虫さされ予防の基本と考えられています。
虫さされ予防で最も基本となるのは、虫よけ剤(忌避剤)の使用です。有効成分には「ディート(DEET)」と「イカリジン(ピカリジン)」の2種類があります。ディートは濃度20%以上で蚊に対し最大10時間の防御効果が報告されています[Lupi E et al. Travel Med Infect Dis. 2013;11(6):374-411.]。イカリジンはダニに対して約8時間の防御効果を示したとの研究結果もあります[Büchel K et al. Ticks Tick Borne Dis. 2015;6(4):494-8.]。
日本で販売されているディート製剤(医薬部外品)は濃度5〜10%のものが多く、効果の持続は1〜2時間程度とされています。汗をかいたり水に濡れたりすると効果が弱まるため、屋外で長時間過ごす際はこまめな塗り直しが大切です。
ディートは6か月未満の乳児には使用できず、2歳未満は1日1回まで、12歳未満は1日3回までと使用回数に年齢制限があります[厚生労働省. ディート(忌避剤)の安全性について. 2010.]。イカリジンには年齢制限がないため、小さなお子さんにはイカリジン配合の虫よけ剤が選びやすい製品です。
服装では、長袖・長ズボンなど肌の露出を減らすことが虫さされの予防に役立ちます。明るい色の衣服は虫を見つけやすく、暗い色を好む蚊やブユを遠ざける効果も期待できます。
子どもは大人に比べて虫さされへの反応が強く出やすく、遅延型反応(1〜2日後に赤く腫れる反応)が起こりやすい傾向があります。掻きむしりによる「とびひ(伝染性膿痂疹)」などの二次感染にもつながりやすいため、爪を短く切っておくことや、かゆみ止めパッチを貼って掻き壊しを防ぐ工夫が大切です。虫よけ剤を選ぶ際は、ディートの年齢制限(6か月未満は使用不可、2歳未満は1日1回まで)に注意し、小さなお子さんにはイカリジン配合の製品が使いやすいとされています[Powers J et al. Insect Bites. StatPearls. 2026.]。
そのため日常生活の工夫として検討・推奨される点
| 対策 | 内容 | 理由 |
|---|---|---|
| 虫よけ剤を使う | ディートまたはイカリジン配合の製品を肌に塗る。汗をかいたら塗り直す | 蚊やダニへの忌避効果が複数の研究で報告されているため |
| 肌の露出を減らす | 長袖・長ズボン・靴下を着用する。明るい色の衣服を選ぶ | 虫が皮膚に接触する機会を物理的に減らせる可能性があるため |
| 室内の環境を整える | 網戸を閉める。布団やカーペットをこまめに掃除・乾燥させる | ダニ・ノミなど屋内で発生する虫の繁殖を抑えられると考えられているため |
| 草むら・水辺に注意する | やぶや水たまりの近くではとくに虫よけ対策を強化する | 蚊・ブユ・マダニなどが多い環境であるため |
| 子どもの掻き壊し対策 | 爪を短く切る。かゆみ止めパッチで患部を覆う。掻きむしる前に冷やす | 子どもは虫さされの反応が強く出やすく、掻き壊しから二次感染につながる可能性があるため |
虫さされの治療方法
虫さされはどのように治療しますか?
軽症は冷却と清潔で自然に治まることが多く、かゆみが強い場合は市販のかゆみ止めやステロイド外用薬を使います。
虫に刺されたら、まず患部を流水で洗い流し、清潔に保つことが基本です。冷たいタオルや保冷剤をあてると、かゆみや腫れが和らぐ場合があります。掻きむしると傷口から細菌が入り、「とびひ(伝染性膿痂疹)」などの二次感染を起こすリスクがあるため、掻かないよう注意が大切です[Powers J et al. Insect Bites. StatPearls. 2026.]。
かゆみが強い場合は、市販のステロイド外用薬や抗ヒスタミン成分を含むかゆみ止めが使われることがあります。ただし、これらの市販薬の有効性を厳密に検証した研究は限られており、使用にあたっては専門家の意見に基づく推奨が中心です[Drug Ther Bull. 2012;50(4):45-48.]。ステロイド外用薬は中程度の強さ(ミディアムクラス)のものが選ばれることが多く、5〜6日使用しても改善しない場合は使用を中止し、医療機関への受診をご検討ください。
かゆみが広範囲にわたる場合は、経口の抗ヒスタミン薬(飲むかゆみ止め)が活用できる場合もあります。
虫さされの腫れがひどいときは「大きな局所反応」と呼ばれることがあります。刺された部位を中心に直径10cm以上赤く腫れ上がる、2〜3日たっても腫れが引かない、熱を持って痛みがあるといった場合が該当します。蚊やブユ、ハチなどで起こることがあり、多くは数日〜1週間で自然に治まりますが、市販のステロイド外用薬(ミディアム〜ストロングクラス)を早めに塗ることで腫れの悪化を抑えられる場合があります。腫れが腕や足全体に広がる場合、リンパ節が腫れる場合、膿が出る場合は二次感染や全身性の反応が疑われるため、早めに医療機関への受診をご検討ください[Powers J et al. Insect Bites. StatPearls. 2026.]。
虫さされは多くの場合、患部を清潔に保ち適切にケアすることで1〜2週間以内に自然に改善します。ただし掻き壊しによる化膿のリスクがあります。かゆみが我慢できないときは市販薬をご検討ください。腫れがひどい場合、膿が出る場合、刺されてから急に息苦しさ・全身のじんましん・めまいなどが現れた場合は、早めに医療機関への受診をご検討ください。
虫さされのおすすめ市販薬
注意:以下は参考情報です。5〜6日使用しても改善しない場合は、医師・薬剤師への相談をご検討ください。
ムヒアルファEX 15g
池田模範堂
医師・薬剤師からのアドバイス
ステロイド配合(PVA/ミディアムクラス)+抗ヒスタミン成分(ジフェンヒドラミン)+かゆみ鎮静成分(クロタミトン)配合。ダニ・ノミ・毛虫・ムカデなど幅広い虫さされに対応。生後6か月から使用可。水ぼうそう・みずむし・化膿部位には使用できません。顔面には広範囲に使用しないでください。長期連用しないこと
情報に誤りがある場合は、こちらからご連絡をお願いいたします。
リンデロンVsプレミアムクリーム 8g
シオノギヘルスケア
医師・薬剤師からのアドバイス
ステロイド配合(ベタメタゾン吉草酸エステル/ストロングクラス)に皮膚修復成分(アラントイン)+殺菌成分を加えた処方です。水ぼうそう・みずむし・化膿部位には使用できません。目・目の周囲には使用できません。顔面には広範囲に使用しないでください。長期連用しないこと
情報に誤りがある場合は、こちらからご連絡をお願いいたします。
新ウナコーワクール 55mL
興和(興和新薬)
医師・薬剤師からのアドバイス
ノンステロイドの鎮痒剤。抗ヒスタミン成分(ジフェンヒドラミン)+局所麻酔成分(リドカイン)+清涼成分(l-メントール)配合。スポンジ付きで直接塗布できます。創傷面には使用できません。目の周囲・粘膜には使用できません
情報に誤りがある場合は、こちらからご連絡をお願いいたします。
掲載している市販薬は記載した効果・効能があることを保証したものではありません。ご購入にあたっては、各商品の公式サイトなどをご確認ください。
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(参考文献)
- Powers J, Syed HA, McDowell RH. Insect Bites. StatPearls. StatPearls Publishing; 2026.
- Stibich AS, Carbonaro PA, Schwartz RA. Insect bite reactions: an update. Dermatology. 2001;202(3):193-197.
- Lupi E, Hatz C, Schlagenhauf P. The efficacy of repellents against Aedes, Anopheles, Culex and Ixodes spp. - a literature review. Travel Med Infect Dis. 2013;11(6):374-411.
- Büchel K, Bendin J, Gharbi A, Rahlenbeck S, Dautel H. Repellent efficacy of DEET, Icaridin, and EBAAP against Ixodes ricinus and Ixodes scapularis nymphs (Acari, Ixodidae). Ticks Tick Borne Dis. 2015;6(4):494-8.
- Management of simple insect bites: where's the evidence? Drug Ther Bull. 2012;50(4):45-48.
- 厚生労働省. ディート(忌避剤)の安全性について. 薬事・食品衛生審議会医薬品等安全対策部会. 2010.
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最終更新日:

平塚市民病院 皮膚科
髙岡 真梨子 監修

東日本橋内科クリニック 一般内科
平松 由布季 監修