喉のイガイガに使う市販薬の選び方|内服薬・漢方とのどスプレー・トローチ・うがい薬を解説
医師の監修は本記事の医学的内容に限られます。記事内で紹介する製品の選定は監修者によるものではなく、監修者が製品の効果・効能を保証するものではありません。本記事は一般的な情報提供を目的としたものであり、診断や治療を行うものではありません。また、特定の医薬品の効果を保証するものではありません。医薬品を使用する際は添付文書をよく読み、用法・用量を守ってください。症状がつらい場合や長引く場合は、医療機関への相談をご検討ください。本記事は2026年9月時点の情報に基づいて作成されています。

「喉がイガイガするから薬を使いたいけれど、どれがいいのか分からない」——そんなときに知っておきたいのが、市販薬のタイプ分けです。ここで扱うのは、強い痛みが出る前の、イガイガや違和感が気になる段階です。喉のイガイガに使える市販薬は、「体の内側から抑えるタイプ(内服薬・漢方)」と「患部に直接作用させるタイプ(のどスプレー・トローチ・うがい薬など)」の2つに大きく分けられます。この記事では、それぞれの特徴と選び方、受診を考える目安を解説します。
Q.喉のイガイガとはどんな状態?薬でケアできる?
「イガイガ」は病名ではなく、喉の乾燥感、刺激感、ざらつき、軽い違和感などを表す日常的な言葉です。市販薬の効能でいう「のどのあれ」「のどの不快感」に近い状態を指すことがあります。
市販ののどの薬には、「のどの炎症によるのどのあれ・のどの不快感・のどの痛み・のどのはれ・声がれ」といった効能が認められたものがあります。イガイガの原因がのどの炎症であり、製品の効能と症状が合っている場合は、こうした薬が選択肢になります。
ただし、イガイガの原因は炎症だけではありません。原因によっては、薬よりも加湿や水分摂取、原因となる刺激を避けることなどが適している場合があります。
Q.喉のイガイガの原因は?
喉のイガイガは、かぜなどの感染症だけでなく、さまざまな原因で起こります。
- かぜなどの感染による、のどの炎症(急性咽頭炎)
- 空気の乾燥や口呼吸
- 声の使いすぎ
- 花粉症などのアレルギーや、鼻水が喉へ流れる後鼻漏
- たばこ、受動喫煙、ほこり、排気ガスなどによる刺激
- 胃酸の逆流
- 薬の影響などによる口腔内・咽頭の乾燥
急性咽頭炎は、大部分がウイルスによるものとされています。かぜの症状は発症から3日目前後をピークに、7~10日間ほどで軽快していくとされています。多くは自然に回復に向かうため、市販薬は原因となる感染症そのものを治すのではなく、つらい症状をやわらげ、回復までの期間を過ごしやすくする目的で使います。
一方、乾燥が原因なら加湿や水分摂取、アレルギーや胃酸の逆流が原因ならそれぞれに応じた対処が必要です。症状が長引く場合や繰り返す場合は、原因を確認するために医療機関へ相談してください。
Q.喉のイガイガに使う市販薬にはどんなタイプがある?
喉のイガイガに使われる市販薬には、患部へ直接使用するのどスプレー・トローチなどがあります。痛みやはれを伴う場合には、添付文書上の効能に応じて内服薬や漢方薬が選択肢になることもあります。

「軽いうちは局所薬、悪化したら内服薬」という一律の使い分けではなく、症状、添付文書上の効能、持病、併用薬、使いやすさを踏まえて選びます。複数の薬を使う場合や選び方に迷う場合は、薬剤師・登録販売者に相談してください。
Q.痛みやはれを伴うときに検討する内服薬・漢方薬は?
イガイガに加えて、のどの痛みやはれを伴う場合は、トラネキサム酸を配合した内服薬や、漢方薬の桔梗湯が選択肢になることがあります。いずれも、イガイガという言葉だけで選ぶのではなく、添付文書上の効能と実際の症状が合っているかを確認してください。
トラネキサム酸配合の内服薬
トラネキサム酸は、かぜ薬にも配合が認められている抗炎症成分です。かぜ薬の効能には「のどの痛み」が含まれています。総合かぜ薬とは別に、トラネキサム酸を主な有効成分のひとつとして配合した、のどの痛み・はれ向けの内服薬もあります。イガイガだけでなく、添付文書上の効能に該当する痛みやはれを伴うときに検討する薬です。
のど用内服薬、かぜ薬、解熱鎮痛薬、鎮咳去痰薬、漢方薬などには、トラネキサム酸やカンゾウ(甘草)・グリチルリチンが重複して含まれることがあります。成分が重複する製品は併用しないでください。製品によって併用できない薬が異なるため、複数の内服薬を使う場合は添付文書を確認し、薬剤師・登録販売者に相談してください。
また、血栓のある方(脳血栓、心筋梗塞、血栓性静脈炎)や、血栓症を起こすおそれのある方は、使用前に医師・薬剤師・登録販売者へ相談してください。医師の治療を受けている方、妊娠中・授乳中の方も、購入前に相談してください。
漢方薬の桔梗湯
桔梗湯は、のどがはれて痛む場合に用いられる漢方薬です。一般用漢方製剤承認基準上の効能は、「体力に関わらず使用でき、のどがはれて痛み、ときにせきがでるもの」の「扁桃炎、扁桃周囲炎」です。イガイガ単独は効能に含まれていません。
服用を中止して相談する目安は、5~6回服用しても症状が良くならない場合です。1日3回服用する製品であれば、おおむね2日程度に相当しますが、実際の用法・用量は製品ごとに確認してください。アズレン配合の局所薬で示される「5~6日」と混同しないようにしましょう。
桔梗湯はカンゾウを含みます。高齢者、妊娠中の方、むくみがある方、高血圧・心臓病・腎臓病の診断を受けている方などは、製品の配合量により服用前の相談が必要です。長期連用する場合も、医師・薬剤師・登録販売者に相談してください。
まれに、偽アルドステロン症やミオパチーが起こることがあります。手足のだるさ、しびれ、つっぱり感やこわばりに加えて、脱力感や筋肉痛があらわれ、徐々に強くなる場合は、直ちに服用を中止して医師の診療を受けてください。
カンゾウまたはグリチルリチンを含むほかの薬と併用すると、副作用のリスクが高まる可能性があります。 かぜ薬、解熱鎮痛薬、のど用内服薬、ほかの漢方薬などにも含まれることがあるため、自己判断で併用せず、薬剤師・登録販売者に相談してください。
Q.患部に直接使用するのどスプレー・トローチ・うがい薬は?
「のどのあれ」「のどの不快感」を効能に含むアズレンスルホン酸ナトリウム配合ののどスプレー・トローチは、イガイガの局所ケアの代表的な選択肢のひとつです。
アズレン(水溶性アズレン)は、のどの粘膜の炎症をやわらげる目的で使われる成分です。アズレン配合の市販薬には、健栄製薬の「カバくんシリーズ」をはじめ、複数の製薬会社の製品があります。カバくんシリーズを例にとると、剤形ごとの違いは次のとおりです。
- のどスプレー(健栄のどスプレーアズレン/第3類医薬品):のどの炎症によるのどのあれ・不快感には、アズレン配合ののどスプレーが選択肢のひとつです。添付文書上の効能は「のどの炎症によるのどの痛み・のどのはれ・のどのあれ・のどの不快感・声がれ、口内炎」。1日数回、適量を患部に噴射します。息を吸いながらではなく、声を出しながら噴射するのが正しい使い方です。のどや口内の患部への塗布用なので内服せず、長期連用もしないでください。また、使用後しばらくの間は、呼気中から酒気帯び運転と判定される濃度以上のアルコールが検出される可能性があるため、運転中の使用はお控えください
- トローチ(アズレンEトローチ/第3類医薬品):添付文書上の効能は「のどの炎症による声がれ・のどのあれ・のどの不快感・のどの痛み・のどのはれ、口腔内の殺菌・消毒、口臭の除去」。口の中に含み、かまずにゆっくり溶かして使います。5歳から使用できます
- うがい薬(健栄うがい薬アズレンCPC/第3類医薬品):添付文書上の効能は「口腔・咽喉のはれ、口腔内及びのどの殺菌・消毒・洗浄、口臭の除去」で、「のどのあれ・のどの不快感」は含まれていません。イガイガにのどのはれを伴う場合や、口腔内・のどを洗浄したい場合の選択肢です。1回約10滴(約0.4mL)を水または微温水約100mLに薄めて、1日数回うがいします。原液のままは使いません
スプレーは患部へ噴射し、トローチは口の中で時間をかけて溶かし、うがい薬は水に薄めて口腔内・のどを洗浄します。効能の範囲は剤形ごとに異なり、イガイガ(のどのあれ・のどの不快感)を効能に含むのはスプレーとトローチです。生活場面だけでなく、対象年齢、添付文書上の効能、正しい使用方法を確認して選んでください。
Q.喉のイガイガで、直ちに救急要請を考えるサインは?
次の症状は、急性喉頭蓋炎や深頸部膿瘍などによって気道が狭くなっているサインの可能性があります。市販薬で様子を見ず、自分で運転せずに、直ちに119番へ連絡してください。
- 呼吸が苦しい、顔色が悪い、意識がもうろうとする
- 息を吸うときに、喉がつまった感じやヒューヒューという音がする
- 唾を飲み込むことも難しく、唾液が口からだらだら出る
- 横になると苦しく、前かがみの姿勢のほうが呼吸しやすい
Q.喉の症状で、その日のうちに受診したいサインは?
次の症状がある場合も、市販薬だけで様子を見ず、その日のうちに医療機関を受診してください。
- 今までに経験したことがないほど喉が痛い、または急速に悪化している
- のどの痛みで飲み込むのが難しく、食事や水分がとれない
- 痛み止めを適切に使っても痛みがやわらがない
- 口が十分に開けられない
- 声がこもった感じがする
- のどの片側だけに強い痛みや腫れがある
また、次のような場合は早めに医療機関へ相談してください。
- 4日以上たっても38℃以上の熱が続く
- いったん良くなりかけた後に、発熱や喉の痛みが再び悪化した
- 7~10日程度を超えて症状が改善しない、または経過に不安がある
次の方は一般的な経過と異なることがあるため、市販薬だけで様子を見ず、主治医へご連絡ください。
- 免疫を低下させる薬(ステロイド、免疫抑制薬、抗がん剤など)を使っている方、肺や心臓の病気がある方
- 抗甲状腺薬を服用している方:発熱や喉の痛みは、白血球が減る「無顆粒球症」という重い副作用の初期症状の可能性があります。薬を処方した医療機関へ速やかに連絡してください
Q.長引くイガイガや声がれで受診したいサインは?
イガイガが長引く場合は、かぜ以外の原因も考える必要があります。特に、次の症状がある場合は耳鼻咽喉科などへ相談してください。
- イガイガや声がれが2~3週間以上続く
- のどの片側だけに症状が続く
- 飲み込みにくさが続く
- 血の混じったたんが出る
- 首にしこりがある
- 理由の分からない体重減少がある
- 喫煙歴があり、声がれやのどの違和感が続く
Q.市販薬を使っても良くならないときは?
アズレン配合ののどスプレー・トローチ・うがい薬は、5〜6日間使用しても症状が良くならない場合は使用を中止し、医師・歯科医師・薬剤師・登録販売者に相談することとされています。
桔梗湯は基準が異なり、5~6回服用しても症状が良くならない場合は服用を中止して相談します。
花粉の時期に症状が続く、食後や横になったときに悪化するなど、かぜ以外の原因が考えられる場合も、医療機関へ相談してください。
Q.トローチとのど飴は何が違う?
医薬品のトローチには、承認された効能・効果を持つ有効成分が配合され、用法・用量や対象年齢が定められています。
アズレンEトローチは、かみ砕いたり飲み込んだりせず、口の中でゆっくり溶かして使います。
一方、一般的なのど飴は食品であり、医薬品と同じ効能・効果を示すものではありません。
Q.イガイガと痛みの両方があるときは?
局所薬と内服薬を組み合わせられる場合もありますが、内服薬どうしでは成分が重複することがあります。特に、トラネキサム酸配合ののど用内服薬にはカンゾウが配合された製品があり、桔梗湯もカンゾウを含みます。
トラネキサム酸配合薬と桔梗湯がすべて一律に併用禁止というわけではありませんが、カンゾウ、グリチルリチン、トラネキサム酸などの重複を確認する必要があります。自己判断で併用せず、使用する製品を薬剤師・登録販売者に示して相談してください。
Q.子どもにも使える?
製品ごとに使える年齢と用量が決まっています。たとえばアズレンEトローチは5歳から使用でき、5歳以上15歳未満と15歳以上で1日の使用回数が異なります。また、一般用の桔梗湯には生後3ヵ月未満の乳児が服用できない製品がありますが、製品によって対象年齢は異なります。
のどスプレーは、年齢だけでなく、指示どおりに声を出す、または息を吐きながら噴射できるかも重要です。薬液を吸い込むおそれがある場合は無理に使用させず、必ず各製品の添付文書を確認して、迷う場合は薬剤師・登録販売者に相談してください。
まとめ
- 喉のイガイガは病名ではなく、市販薬の効能でいう「のどのあれ・のどの不快感」に近い状態を指すことがある
- 原因には、かぜなどの感染症のほか、乾燥、声の使いすぎ、アレルギー・後鼻漏、たばこ等の刺激、胃酸の逆流などがある
- のどのあれ・不快感を効能に含むアズレン配合のスプレーやトローチは、局所ケアの選択肢のひとつ
- うがい薬は「口腔・咽喉のはれ」「口腔内及びのどの殺菌・消毒・洗浄」を効能に含み、のどのはれを伴う場合や口腔内・のどを洗浄したい場合の選択肢
- トラネキサム酸配合薬や桔梗湯は、イガイガ単独ではなく、添付文書上の効能に合う痛み・はれを伴う場合に検討する
- 複数の内服薬を使う場合は成分重複と、各製品の併用禁止事項を確認する
- アズレン配合の局所薬は5~6日、桔梗湯は5~6回使用しても改善しない場合に、使用を中止して相談する
- 呼吸困難、吸気時の異常音、唾液も飲み込めない、前かがみでないと呼吸しづらいなどの症状がある場合は、直ちに119番へ連絡する
- イガイガや声がれが2~3週間以上続く場合や、血の混じったたん、首のしこり、体重減少などがある場合は医療機関へ相談する
出典
・厚生労働省. 抗微生物薬適正使用の手引き 第四版 医科・外来編. 2026年1月16日.
https://www.mhlw.go.jp/content/10900000/001630903.pdf
・AMR臨床リファレンスセンター(国立健康危機管理研究機構). 患者のみなさまへ(感冒・急性鼻副鼻腔炎・急性咽頭炎・急性気管支炎). 2023年3月.
https://amr.jihs.go.jp/pdf/20230412_kanbo.pdf
・健栄のどスプレーアズレン 添付文書(PMDA掲載).
https://www.info.pmda.go.jp/downfiles/otc/PDF/J2301000174_01_A.pdf
・アズレンEトローチ 添付文書(PMDA掲載).
https://www.info.pmda.go.jp/downfiles/otc/PDF/J2301000089_01_A.pdf
・厚生労働省. かぜ薬等の添付文書等に記載する使用上の注意の一部改正について(令和3年6月16日 薬生薬審発0616第13号・薬生安発0616第1号).
https://www.mhlw.go.jp/web/t_doc?dataId=00tc5987&dataType=1&pageNo=1
・厚生労働省. かぜ薬の製造販売承認基準について(平成27年3月25日 薬食発0325第28号).
https://www.mhlw.go.jp/web/t_doc?dataId=00tc0821&dataType=1&pageNo=1
・厚生労働省. 一般用漢方製剤承認基準の制定について(平成20年9月30日 薬食審査発第930001号).
https://www.mhlw.go.jp/web/t_doc?dataId=00tb4640&dataType=1&pageNo=1
・厚生労働省. 一般用漢方製剤の添付文書等に記載する使用上の注意の一部改正について(令和3年5月13日 薬生安発0513第2号・薬生薬審発0513第1号).
https://www.mhlw.go.jp/web/t_doc?dataId=00tc5903&dataType=1&pageNo=10
・厚生労働省. 重篤副作用疾患別対応マニュアル 無顆粒球症(顆粒球減少症、好中球減少症). 平成19年6月(令和4年2月改定).
https://www.pmda.go.jp/files/000245257.pdf
・健栄うがい薬アズレンCPC 添付文書(PMDA掲載).
https://www.info.pmda.go.jp/downfiles/otc/PDF/J2301000172_01_A.pdf
本記事は 2026年9月28日 の情報に基づいて作成されています。最新の情報は各出典元でご確認ください

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