モルヒネ塩酸塩(オプソⓇ︎、アンペックⓇ︎)は呼吸困難・呼吸苦に効きますか?
モルヒネ塩酸塩はがん患者の呼吸困難・息苦しさに対する症状緩和の有効性が示されています。
モルヒネ塩酸塩は、がんによる呼吸困難・息苦しさの原因を改善させるのではなく、症状を緩和する効果があります。
通常、がんによる息苦しさは長く続くことが多いため、比較的長い時間効果のある徐放製剤(MSコンチンⓇ︎※、MSツワイスロンⓇ︎※など)を使用し、急な症状の悪化に速放製剤(オプソⓇ︎※など)を症状に応じて使用することが多いです。
しかし、以下のような場合にはモルヒネが使用できないことがあります。
血液中の酸素が少ない
残された時間が少ない可能性が高い
呼吸回数が少ない
呼吸回数をさらに低下させ、呼吸困難症状の緩和が難しい
痰が多い
咳反射を低下させるため、痰詰まりを起こしやすくなる
腎臓の機能が悪い
モルヒネの排せつが悪くなり、眠気などの副作用が強くあらわれやすい
※現時点(2024年6月)では、MSコンチンⓇ︎、MSツワイスロンⓇ︎、オプソⓇ︎、アンペックⓇ︎には、呼吸困難・呼吸苦に対する効能・効果は承認されていません。ただし、複数の臨床研究をもとに「がん患者の呼吸器症状の緩和に関するガイドライン(2016年版)」p.66-69において、がん患者さんの呼吸困難に対するモルヒネの全身投与は、推奨度1B(強い推奨、中程度のエビデンス)として記載されています。
公開日:
最終更新日:
亀田総合病院 腫瘍内科
瀬口 京介 監修
(参考文献)
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