デスモプレシン酢酸塩(デスモプレシン静注)の作用機序について教えてください。
血管内皮細胞から血液凝固第Ⅷ因子やVWFを放出させる作用があり、これにより止血効果を発揮します。
デスモプレシン酢酸塩(デスモプレシン静注)は、血管内皮細胞(血管の一番内側にある膜の細胞)にあるバソプレシンV2受容体という部位に結合することで、血管内皮細胞の中に貯蔵されている「フォン・ヴィレブランド因子(von Willebrand factor:VWF)」の放出を促す作用があります。その結果、VWFと結合することで安定する「血液凝固第Ⅷ因子」の分解が抑制され、「血液凝固第Ⅷ因子」が増加します。
「血液凝固第Ⅷ因子」は、他の血液凝固因子などとともに血液凝固第Ⅹ因子を活性化することによって、最終的にフィブリンをつくり、血液を固め止血します。また、「VWF」には、血管の破損部分に血小板が集まるのを促す作用もあります。
これらの物質が不足すると、血友病Aやフォン・ヴィレブランド病(VWD : von Willebrand disease)といった出血性疾患を発症しますが、デスモプレシン酢酸塩(デスモプレシン静注)は上記の作用によって止血効果を発揮します。
公開日:
最終更新日:
兵庫医科大学病院 輸血・細胞治療センター 血液内科
山原 研一 監修
(参考文献)
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