ゲフィチニブ（イレッサⓇ）には、どのような効果がありますか？
このお薬は、EGFRチロシンキナーゼの働きを防ぎ、手術不能または再発非小細胞肺がんの治療に用いられます。
ゲフィチニブ（イレッサⓇ）は、分子標的治療薬と呼ばれる抗悪性腫瘍剤のひとつです。このお薬は、がん細胞の増殖に必要な「上皮成長因子受容体（EGFR）チロシンキナーゼ」というタンパク質の働きを選択的に妨げることで、がん細胞の増殖を抑える効果があります。
ゲフィチニブの作用機序は、次の通りです。
- がん細胞の増殖抑制： EGFRが持つ酵素の働きをブロックすることで、がん細胞が増えるための信号の伝達を妨げ、がん細胞の増殖を抑えます。
- がん細胞の自滅を促進： 細胞が自ら死んでいく「アポトーシス」という現象を促します。
- 血管新生の阻害：がん細胞に栄養を送る新しい血管が作られるのを邪魔する（血管内皮増殖因子（VEGF）の産生を抑える）効果も報告されています。
この薬は、特に「EGFR遺伝子変異」が陽性であると検査でわかった、手術が難しい、または再発した非小細胞肺がんの患者さんに処方されます。臨床試験では、EGFR遺伝子変異陽性の方において、病気が進行しない期間（無増悪生存期間）が延長し、がんが小さくなる割合（奏効率）も高いことが示されています。
無所属 薬剤師
齊藤 由佳 監修
(参考文献)
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