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夏の汗・ニオイが気になります。制汗剤・デオドラントの成分で選ぶケア方法を教えてください。
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夏の汗・ニオイが気になります。制汗剤・デオドラントの成分で選ぶケア方法を教えてください。

齊藤 由佳監修者

無所属 薬剤師

齊藤 由佳

制汗剤はアルミニウム塩が汗を抑え、デオドラントは殺菌成分でニオイのもとに働きかけます。悩みが「汗の量」か「ニオイ」かによって、選ぶ成分が異なります。

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制汗剤とデオドラントの違い|成分で選ぶポイントは?

汗やニオイの悩みに対応する製品には、大きく分けて「制汗剤」と「デオドラント」の2種類があります。制汗剤はアルミニウム塩を主成分とし、汗の出口をふさぐことで汗そのものの量を減らす製品です。一方、デオドラントはニオイの原因となる菌の増殖を抑える殺菌成分を主成分とし、汗のニオイを軽減します。制汗剤は汗腺にゲル状の栓を形成して汗の流出を防ぎ、デオドラントは菌の増殖を抑制してニオイの発生を抑えると報告されています[Int J Cosmet Sci. 2023;45(4):426-443.]。

日本では、これらの製品は「医薬部外品」に分類されています。効能効果の範囲は「わきが(腋臭)」「皮膚汗臭」「制汗」と定められており、有効成分は厚生労働省の承認を受けたものが使用されています。製品の成分表示を確認することで、自分の悩みに合った製品を見つけやすくなります。悩みが「汗の量が多い」ことなのか「ニオイが気になる」ことなのかを整理することが、適切な製品選びの出発点になると考えられます。

汗のニオイの原因|なぜ皮膚の常在菌が関係するの?

汗そのものには、実はほとんどニオイがありません。体臭が生じるのは、皮膚にもともと住んでいる常在菌が汗に含まれる成分を分解し、揮発性のニオイ物質に変えるためです。特に脇の下では、アポクリン腺という汗腺から分泌される汗を常在菌(主にコリネバクテリウム属という種類の菌)が分解することで、独特のニオイが発生すると報告されています[FEMS Microbiol Ecol. 2013;83(3):527-40.]。

つまり、体臭の直接の原因は「汗」ではなく「菌による分解産物」であるといえます。この知見は、ニオイ対策において殺菌成分を含むデオドラント製品が有効な理由を裏付けています。汗腺から分泌される成分と常在菌の酵素が出合うことでニオイが生まれるため、この反応を抑えるアプローチが効果的と考えられます[Chimia (Aarau). 2015;69(7-8):414-20.]。ニオイが気になる方は、殺菌成分を含むデオドラント製品を選ぶことで、菌の働きを抑えるケアが期待できます。

制汗剤の成分|アルミニウム塩はどうやって汗を抑えるの?

制汗剤の主成分として広く使われているのが、クロルヒドロキシアルミニウム(ACH)などのアルミニウム塩です。アルミニウム塩が肌に塗布されると、汗に含まれるタンパク質と反応してゲル状の膜をつくり、汗の出口(汗孔)をふさぐことで汗の分泌を抑えます。この仕組みは、核形成とそこからの成長という2段階のプロセスで進むことが確認されています[Soft Matter. 2017;13(20):3812-3821.]。

国内の研究では、ACHは酸性度が低い環境では溶けた状態を保ちますが、汗と反応して酸性度が変化するとゲル化し、汗孔を物理的にふさぐことが示されています。さらに、処方の工夫によりゲル化を促進し、制汗効果を高められる可能性も報告されています[日本化粧品技術者会誌. 2021;55(1):45-51.]。これらの知見は、アルミニウム塩を含む制汗剤が「汗の量を減らしたい」という悩みに対して有効な選択肢であることを裏付けるものと考えられます。

デオドラント成分の種類|殺菌・消臭にはどんなアプローチがあるの?

デオドラント成分にはいくつかの種類があり、ニオイを抑える仕組みがそれぞれ異なります。主なアプローチとしては、ニオイの原因菌を殺菌するもの、ニオイ物質そのものを化学的に中和するもの、菌のエサとなる汗成分に作用するものがあります。体臭は汗腺・汗中の成分・常在菌の酵素という3つの要素が関わって生じるため、どの要素に働きかけるかによって成分の選び方が変わります[Chimia (Aarau). 2015;69(7-8):414-20.]。

日本で広く使われている殺菌成分としては、イソプロピルメチルフェノール(IPMP)やベンザルコニウム塩化物などがあります。また、近年はアルコールを使わない処方や、天然由来の消臭成分を活用した製品の研究も進んでいます[Int J Cosmet Sci. 2023;45(4):426-443.]。肌が敏感な方はアルコールフリーの製品を選ぶ、ニオイが強く気になる方は殺菌力の高い成分を含む製品を選ぶなど、自分の肌質や悩みの程度に合わせた成分選びが推奨されます。

制汗剤・デオドラントを使ううえで日常生活の工夫として検討が推奨される点

制汗剤・デオドラントを使ううえでの3つのコツと理由をまとめた表です。1つ目は「清潔な肌に塗る」で、入浴後や汗を拭き取った後など、肌が清潔な状態で塗布することです。理由は汗や菌がない状態で塗ることで、成分が肌に密着しやすくなる可能性があるためです。2つ目は「悩みに合った成分を選ぶ」で、汗の量が気になるならアルミニウム塩を含む制汗剤、ニオイが気になるなら殺菌成分を含むデオドラントを選ぶことです。理由は制汗剤とデオドラントでは有効成分の働きが異なるため、目的に合った製品を選ぶことが重要と考えられているためです。3つ目は「こまめに塗り直す」で、汗をかいた後は拭き取ってから塗り直すことです。理由は汗で成分が流れると効果が低下する可能性があるためです。

特に重要とされるのは、自分の悩みが「汗の量」なのか「ニオイ」なのかを整理したうえで、それに合った成分の製品を選ぶことと考えられています。

ここだけは伝えたいメッセージ

汗やニオイの悩みは、制汗剤やデオドラントの成分を理解して選ぶことで、日々のケアに取り入れやすくなります。自分の悩みの種類を整理し、それに合った成分を含む製品を試してみることが、快適に過ごすための一歩になると考えられます。

なお、セルフケアを続けても汗の量やニオイの悩みが改善しない場合は、多汗症腋臭症などの疾患が背景にある可能性もあります。気になる場合は、医療機関への相談をご検討ください。

まとめ:制汗剤・デオドラントの成分と選び方

  • 制汗剤とデオドラントの違い: 制汗剤はアルミニウム塩で汗の量を抑え、デオドラントは殺菌成分でニオイのもとに働きかける
  • 汗のニオイの原因: 汗そのものではなく、皮膚の常在菌が汗の成分を分解してニオイ物質をつくることが原因
  • 制汗成分の仕組み: アルミニウム塩が汗のタンパク質と反応してゲル状の膜をつくり、汗孔をふさぐことで汗を抑える
  • デオドラント成分の種類: 殺菌型・消臭型など複数のアプローチがあり、悩みに合わせて選ぶことが推奨される
  • 日常の工夫: 清潔な肌に塗る、悩みに合った成分を選ぶ、こまめに塗り直すことが効果的なケアにつながる可能性がある

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(参考文献)

Bretagne A, Cotot F, Arnaud-Roux M, Sztucki M, Cabane B, Galey JB. The mechanism of eccrine sweat pore plugging by aluminium salts using microfluidics combined with small angle X-ray scattering. Soft Matter. 2017;13(20):3812-3821.
Teerasumran P, Velliou E, Bai S, Cai Q. Deodorants and antiperspirants: New trends in their active agents and testing methods. Int J Cosmet Sci. 2023;45(4):426-443.
James AG, Austin CJ, Cox DS, Taylor D, Calvert R. Microbiological and biochemical origins of human axillary odour. FEMS Microbiol Ecol. 2013;83(3):527-40.
Natsch A. What Makes Us Smell: The Biochemistry of Body Odour and the Design of New Deodorant Ingredients. Chimia (Aarau). 2015;69(7-8):414-20.
佐野里緒, 白江亘, 大元百合子, 永島慎一, 森垣敦則, 柿澤恭史, 池西巧成. クロルヒドロキシアルミニウムの制汗効果に及ぼす共存成分の影響. 日本化粧品技術者会誌. 2021;55(1):45-51.
厚生労働省. 医薬部外品等の取扱いについて(昭和37年9月6日 薬発第464号).

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