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日焼け止めをしっかり塗っているとビタミンDが不足すると聞きました。夏でも意識すべきですか?
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日焼け止めをしっかり塗っているとビタミンDが不足すると聞きました。夏でも意識すべきですか?

栗原 信吾監修者

北水会記念病院 整形外科

栗原 信吾

日焼け止めを使用しても、それだけでビタミンD不足になる可能性は低いです。それよりも、食事からの摂取を意識することが大切です。

ビタミンDの役割と不足が気になる理由

ビタミンDは骨の健康を保つために欠かせない栄養素として知られています。それだけでなく、ビタミンDは体の免疫機能を幅広く調節する役割を担っていることが報告されています[Nutrients. 2020;12(5):1248.]。こうした多面的な働きがあるため、ビタミンDが不足しないよう日頃から意識しておくことが大切です。

ビタミンDは食事から摂る方法と、日光(紫外線)を浴びて皮膚で合成する方法の2つのルートで体に取り込まれます。日焼け止めは紫外線をカットするため、「塗ると皮膚でのビタミンD合成が妨げられ、不足につながるのでは」という心配の声があります。

日焼け止めでビタミンDは本当に不足するのか

結論から言えば、日常的に日焼け止めを使っていても、ビタミンDが不足する可能性は低いと考えられています。複数の研究を統合した分析では、日焼け止めの実際の使用において血中ビタミンD濃度が低下するという明確な根拠はほとんど見られないと報告されています[Br J Dermatol. 2019;181(5):907-915.]。

また、SPF17の日焼け止めを毎日使用したグループと使用しなかったグループを比較した厳密に計画された研究でも、ビタミンD濃度は正常範囲に保たれていたことが示されています[Arch Dermatol. 1995;131(4):415-421.]。

こうした結果の背景には、皮膚でのビタミンD合成と血中のビタミンD濃度が必ずしも連動しないという点があります。SPF50以上の日焼け止めを使った研究では、皮膚でのビタミンD合成は75〜93%抑えられたものの、血中のビタミンD濃度の低下は7〜13%にとどまったと報告されています[Arch Osteoporos. 2017;12(1):66.]。日焼け止めを塗り残した部分からの合成や食事からの摂取によって補われるためと考えられており、この研究結果は「日焼け止めを塗っていてもビタミンDは極端に減らない」ことを裏付けるものといえます。

日本人のビタミンD摂取目安量

日焼け止めの使用にかかわらず、そもそも日頃の食事でビタミンDを十分に摂れているかを知っておくことが重要です。日本人に推奨されるビタミンDの摂取目安量は、成人で1日あたり9.0マイクログラムです[日本人の食事摂取基準(2025年版)策定検討会報告書. 2024.]。この値は以前の基準である1日あたり8.5マイクログラムから引き上げられています[ビタミン. 2020;94(7):375-381.]。

日光を浴びる機会が少ない方や、魚をあまり食べない方は、食事だけでこの目安量に届いていない可能性があります。日焼け止めの使用よりも、日頃の食事内容を見直すことがビタミンD不足の予防において重要と考えられます。

ビタミンDを日常的に補う食事の工夫

ビタミンDは魚類やきのこ類、卵黄などに多く含まれています[日本人の食事摂取基準(2025年版)策定検討会報告書. 2024.]。特に鮭やさんまなどの魚類はビタミンDの含有量が多く、日常の食事に取り入れやすい食材です。きくらげや干ししいたけなどの乾燥きのこ類も手軽な補給源になります。

日焼け止めをしっかり塗って紫外線対策をしながらも、食事からビタミンDを摂る習慣をつけることで、不足を防ぐことが期待できます。先に紹介したとおり、日焼け止めで皮膚での合成が多少抑えられても血中のビタミンD濃度への影響は限定的です[Arch Osteoporos. 2017;12(1):66.]。紫外線対策と食事からの補給を組み合わせることが、ビタミンD不足を防ぐうえで無理のない方法といえるでしょう。

ビタミンDを十分に摂るうえで日常生活の工夫として検討が推奨される点

特に重要とされるのは、日頃の食事でビタミンDを意識して摂ることと考えられています。

ビタミンDを補うための3つのコツとその内容、理由をまとめた表です。1つ目は「魚類を食事に取り入れる」で、内容は鮭やさんまなどを週に数回食べることです。理由は「ビタミンDの含有量が多く、目安量に近づきやすくなる可能性がある」からです。2つ目は「きのこ類や卵も活用する」で、内容はきくらげ・干ししいたけ・卵黄などを副菜に加えることです。理由は「魚以外からもビタミンDを補える可能性がある」からです。3つ目は「日焼け止めは継続して使う」で、内容は紫外線対策として日焼け止めの使用をやめないことです。理由は「日焼け止めの使用だけでビタミンD不足になる可能性は低いと報告されている」からです。

ここだけは伝えたいメッセージ

日焼け止めは紫外線から肌を守る大切な習慣です。ビタミンD不足を心配して日焼け止めの使用をやめる必要はないと考えられています。食事からビタミンDを意識して摂ることで、紫外線対策とビタミンD補給を両立できます。

ただし、長期間にわたって食事が偏っている場合や体調に不安を感じる場合は、医療機関への相談をご検討ください。

まとめ:日焼け止めとビタミンD不足の心配にどう向き合うか

  • 日焼け止めとビタミンD: 日常的に日焼け止めを使用しても、それだけでビタミンDが不足する可能性は低いと報告されています
  • 皮膚での合成と血中濃度の関係: 日焼け止めで皮膚でのビタミンD合成は抑えられますが、血中濃度への影響は限定的です
  • ビタミンDの摂取目安量: 成人の1日あたりの目安量は9.0マイクログラムです
  • 食事からの補給が大切: 魚類やきのこ類、卵黄などビタミンDを多く含む食品を日頃の食事に取り入れることが重要です
  • 免疫機能との関わり: ビタミンDは免疫機能の調節にも関わっており、不足しないよう食事面で心がけることが大切です

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(参考文献)

Neale RE, Khan SR, Lucas RM, et al. The effect of sunscreen on vitamin D: a review. Br J Dermatol. 2019;181(5):907-915.
Marks R, Foley PA, Jolley D, et al. The effect of regular sunscreen use on vitamin D levels in an Australian population. Arch Dermatol. 1995;131(4):415-421.
Libon F, Courtois J, Le Goff C, et al. Sunscreens block cutaneous vitamin D production with only a minimal effect on circulating 25-hydroxyvitamin D. Arch Osteoporos. 2017;12(1):66.
Martens PJ, Gysemans C, Verstuyf A, Mathieu C. Vitamin D's Effect on Immune Function. Nutrients. 2020;12(5):1248.
田中清, 桒原晶子, 津川尚子. 日本人の食事摂取基準2020年版におけるビタミンD. ビタミン. 2020;94(7):375-381.
厚生労働省. 日本人の食事摂取基準(2025年版)策定検討会報告書. 2024.

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