

監修者無所属 歯科衛生士
口臭の主な原因は舌の表面につく「舌苔」にあることが多く、歯みがきだけでは十分にケアできない場合があります。舌のケアを歯みがき習慣に加えると、2週目ごろから改善がみられ始め、続けるほど効果が期待できます。
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口臭の主な原因は舌苔
口臭のもとになる物質は「揮発性硫黄化合物(VSC)」と呼ばれ、口の中の細菌が作り出しています。舌苔と歯周ポケットのどちらがVSCの主な発生源かを調べた研究では、歯周状態がよくない人であっても、歯周ポケットから発生するVSCの割合は26〜36%程度にとどまり、残りの多くは舌苔に由来することが示されています[J Periodontol. 2003;74(1):32-7.]。この結果から、舌苔が口臭の主な原因になっていると考えられています。つまり、歯と歯ぐきだけを丁寧に磨いていても、舌のケアを怠っていると口臭が残りやすいということです。
歯みがきに舌ケアを加える効果
歯みがきに舌クリーニングを加えると、歯みがきだけの場合と比べてVSCも舌苔も大きく減少することが、複数のランダム化比較試験を統合した分析で報告されています[Nursing Res. 2013;62(6):422-429.]。
一方で、舌クリーニングだけを行った場合の効果については、2019年に複数の研究を集めて評価した報告(コクランレビュー)で、専門家がにおいを検査したスコアにわずかな改善がみられたものの、対象となった研究の規模が小さく、この結果がどこまで確かなことなのかはまだはっきりしていない、とされています[Cochrane Database Syst Rev. 2019;12:CD012213.]。舌ケアが無意味というわけではありませんが、現時点では効果の大きさを断定できるほど強い根拠が揃っているわけではない、という点は正直にお伝えしておきます。
朝の口臭が強くなる理由
大学生92人を対象とした研究では、朝に口臭を感じると答えた人は、感じないと答えた人に比べて、唾液の分泌量が少なく、舌苔の量も多い傾向がみられました[J Clin Med. 2025;14(17):6072.]。唾液には口の中の細菌の増殖を抑える働きがあるため、就寝中に分泌量が減ることで、舌苔にたまった細菌が増え、口臭の原因物質が発生しやすくなると考えられています。ただしこの研究はひとつの調査結果であり、他の年代にもそのまま当てはまるかどうかは今後の研究で確認が必要です。
歯みがき習慣の見直しポイントと効果が出るまでの目安
歯みがきに舌クリーニングやマウスウォッシュを加えていく試験では、歯みがきだけを行っていた最初の1週間では、口臭の原因物質(VSC)に目立った減少はみられませんでした。2週目以降、舌クリーニングまたはマウスウォッシュのいずれかを加えたところ、それぞれで有意な減少がみられ、5週目に舌クリーニングとマウスウォッシュを組み合わせたところ、多くの参加者で口臭がほとんど気にならない水準まで下がったことが報告されています[Trials. 2015;16:31.]。この結果から、歯みがき習慣に新しいケアを加えても、はっきりとした効果を感じるまでに数週間程度かかる可能性があることがわかります。
歯みがき習慣を見直すうえで日常生活の工夫として検討が推奨される点

特に重要なのは、舌クリーニングを歯みがき習慣に加え、数週間続けることです。
ここだけは伝えたいメッセージ
口臭が気になるときは、歯みがきに加えて舌のケアを取り入れ、しばらく続けてみることが対策の第一歩になります。ただし、口臭が急に強くなる、歯ぐきの腫れや出血を伴う、といった場合は、舌苔や生活習慣以外の原因が隠れていることもあります。気になる症状が続く場合は、歯科医師への相談をご検討ください。
まとめ:口臭対策としての歯みがき習慣の見直しポイント
- 口臭の主な原因は舌苔:歯周状態がよくない人でも、歯周ポケット由来のVSCは全体の26〜36%程度にとどまり、多くは舌苔に由来すると考えられています
- 舌クリーニングを追加する効果:歯みがきに舌クリーニングを加えるとVSC・舌苔とも大きく減少することが報告されていますが、舌クリーニング単体の効果についてはエビデンスの確実性が非常に低いとされています
- 朝に口臭が強くなる理由:唾液分泌量の低下と舌苔の増加が関連することが、大学生92人を対象とした研究で示されています
- 効果が出るまでの期間:歯みがきだけの期間では目立った改善がみられず、舌クリーニングやマウスウォッシュを加えて数週間続けることで、徐々に効果が現れると報告されています
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(参考文献)
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Kuo YW, Yen M, Fetzer S, Lee JD. Toothbrushing versus toothbrushing plus tongue cleaning in reducing halitosis and tongue coating: a systematic review and meta-analysis. Nursing Research. 2013;62(6):422-429.
Kumbargere Nagraj S, Eachempati P, Uma E, Singh VP, Ismail NM, Varghese E. Interventions for managing halitosis. Cochrane Database Syst Rev. 2019;12:CD012213.
Popa M, Dinu S, Luca MM, Bumbu BA, Talpos S. Salivary Flow, Tongue-Coating Burden, and Morning Breath Odor: A Cross-Sectional Study. J Clin Med. 2025;14(17):6072.
Aung EE, Ueno M, Zaitsu T, Furukawa S, Kawaguchi Y. Effectiveness of three oral hygiene regimens on oral malodor reduction: a randomized clinical trial. Trials. 2015;16:31.







