

監修者無所属 歯科衛生士
歯周病は糖尿病や心血管疾患などの生活習慣病と、互いに影響し合う関係にあると考えられています。生活習慣を見直すことが、歯周病の予防にもつながる可能性があります。
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歯周病と糖尿病の双方向の関係
歯周病と糖尿病は、どちらか一方が悪化すると、もう一方も悪化しやすいという関係にあると考えられています。複数の追跡調査を統合した分析では、歯周病がある方はない方に比べて、糖尿病を新たに発症するリスクが1.26倍高く、反対に糖尿病がある方はない方に比べて、歯周病を新たに発症するリスクが1.24倍高いことが報告されています[Sci Rep. 2021;11(1):13686.]。この結果は、歯周病と糖尿病が互いに影響を与え合う関係にあることを裏付けるものと考えられます。
歯周病ケアが血糖コントロールを助ける可能性
歯周病の治療が、血糖値の管理によい影響を与える可能性も報告されています。糖尿病がある方を対象に歯周病治療を行った研究を複数まとめた分析では、治療から3か月後に血糖の状態を示すHbA1c(過去1〜2か月の平均的な血糖値を反映する指標)の値が、治療を受けなかった場合と比べて平均0.36ポイント下がったことが確認されています[PLoS One. 2014;9(9):e108412.]。ただし、この効果は6か月後には統計的にはっきりとした差ではなくなったとも報告されており、歯周病治療だけで血糖値の管理が完結するわけではない点には注意が必要です[同上]。
歯周病は心血管疾患・メタボリックシンドロームとも関連
歯周病との関連が指摘されているのは糖尿病だけではありません。歯周病と心血管疾患(狭心症・心筋梗塞・脳卒中など)の関連を調べた複数のレビューをまとめた報告では、検討されたすべての研究で両者に関連が示されており、リスク比でみると研究により1.14〜2.88倍の幅で報告されています[BMC Oral Health. 2024;24(1):1308.]。また、内臓脂肪の蓄積や血圧・血糖・脂質の異常が重なるメタボリックシンドロームについても、歯周病がある方はメタボリックシンドロームを伴いやすいという関連が報告されており、その関連の強さは1.71倍(より厳密な歯周病の診断基準を用いた研究に絞ると2.09倍)とされています[J Clin Endocrinol Metab. 2013;98(3):913-920.]。
生活習慣病が気になる人が歯周病予防でできること
歯周病と生活習慣病の関連を踏まえると、生活習慣を見直すことが歯周病の予防にもつながる可能性があります。中でも喫煙は歯周病の代表的な危険因子とされており、喫煙を続けている方は、たばこを吸わない方に比べて歯周病になるリスクが1.82倍、すでに禁煙した方に比べて1.79倍高いことが報告されています[Nicotine Tob Res. 2019;21(12):1600-1608.]。同じ報告では、禁煙をした方のリスクは、たばこを吸わない方とほぼ同じ水準まで下がることも示されています[同上]。血糖値や体重の管理とあわせて、禁煙を検討することも、歯周病予防のうえで意味のある生活習慣の工夫のひとつと考えられます。
なお、毎日の歯みがきの具体的な方法(歯と歯ぐきの境目の磨き方・歯間ブラシの使い方など)については、「毎日の歯みがきで虫歯を予防するには、フッ素をどう使えばいいですか?」で詳しく解説しています。
歯周病予防のうえで日常生活の工夫として検討が推奨される点

ここだけは伝えたいメッセージ
歯周病は口の中だけの問題ではなく、糖尿病や心血管疾患といった生活習慣病とも関わりがあると考えられています。日々の血糖管理や禁煙など、生活習慣を整えることが、歯周病の予防にもつながる可能性があります。一方で、歯ぐきの腫れ・出血・口臭など気になる症状がある場合は、自己判断で様子を見続けず、歯科医師への相談をご検討ください。
まとめ:歯周病と生活習慣病の関係を知って予防に役立てる
- 糖尿病との双方向の関係:歯周病がある方は糖尿病発症リスクが1.26倍、糖尿病がある方は歯周病発症リスクが1.24倍高いと報告されています
- 血糖コントロールへの影響:歯周病治療によりHbA1cが3か月後に平均0.36ポイント改善したとの報告がある一方、6か月後には統計的にはっきりとした差ではなくなったとも報告されています
- 心血管疾患・メタボリックシンドロームとの関連:心血管疾患とはリスク比で1.14〜2.88倍、メタボリックシンドロームとは1.71〜2.09倍のリスク関連が報告されています
- 禁煙の意味:喫煙者は非喫煙者に比べ歯周病リスクが1.82倍、禁煙者に比べ1.79倍高く、禁煙によりリスクが下がる可能性が報告されています
- 具体的な歯みがき方法:「毎日の歯みがきで虫歯を予防するには、フッ素をどう使えばいいですか?」で詳しく解説しています
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(参考文献)
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Arbildo-Vega HI, Cruzado-Oliva FH, Coronel-Zubiate FT, Meza-Malaga JM, Lujan-Valencia SA, Lujan-Urviola E, Echevarria-Goche A, Farje-Gallardo CA, Castillo-Cornock TB, Serquen-Olano K, Padilla-Caceres T, Caballero-Apaza L, Aguirre-Ipenza R. Periodontal disease and cardiovascular disease: umbrella review. BMC Oral Health. 2024;24(1):1308.
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