

監修者無所属 歯科衛生士
フッ素入りの歯みがき粉を1日2回以上使い、歯みがき後はすすぎすぎないことが、虫歯予防のポイントです。年齢に応じた適切な使用量を守ることも大切です。
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フッ素入り歯みがき粉が虫歯を防ぐ仕組みと濃度の目安
虫歯は、口の中の細菌が糖から酸を作り出し、歯の表面(エナメル質)を溶かすことで進行します。フッ素には、溶け出した歯の成分を歯に戻す働き(再石灰化)を助け、歯を酸に強い状態にする効果があるとされています。歯みがき粉に含まれるフッ素の濃度は「ppm」という単位で表され、数値が大きいほど含有量が多いことを示します。
フッ素入り歯みがき粉が、フッ素を含まない歯みがき粉と比べて虫歯を予防する効果があることは、複数の研究をまとめた分析で報告されています[Cochrane Database Syst Rev. 2019;3:CD007868.]。中でも、フッ素濃度1000〜1250ppmの歯みがき粉は、フッ素を含まない歯みがき粉と比べて虫歯予防効果があることが、十分な根拠を持って示されています。濃度を1450〜1500ppmまで上げると、1000〜1250ppmと比べてわずかに上乗せの効果があることも報告されていますが、それ以上濃度を上げても(2400ppm以上)、さらなる予防効果の上乗せは明確には示されていません。市販の歯みがき粉には1000ppm前後のものが多く、パッケージに記載されたフッ素濃度を確認することが、まず取り組みやすいポイントといえます。
歯みがきの回数が虫歯予防に与える影響
歯みがきの回数も、虫歯の進行に関わることが報告されています。思春期の青少年2,621人を対象とした3年間の試験では、歯みがきの頻度を「1日未満」「1日1回」「1日複数回」の3群に分けて虫歯の増加量が比較され、1日複数回歯みがきをした群でもっとも増加量が少なかったことが示されています[Community Dent Oral Epidemiol. 1998;26(6):406-11.]。1日2回、フッ素入り歯みがき粉で歯をみがく習慣が、虫歯予防の基本といえます。
歯みがき後のすすぎ方の考え方
歯みがき後に口をしっかりすすぐか、軽く1回吐き出す程度にとどめるかについては、意見が分かれることがあります。上記の思春期を対象とした試験では、しっかりすすぐ群と、軽く吐き出すだけの群を比較したところ、虫歯の増加量に統計的に有意な差は見られなかったと報告されています[Community Dent Oral Epidemiol. 1998;26(6):406-11.]。
一方で、モノフルオロリン酸ナトリウム(MFP)という成分を配合した歯みがき粉を使った研究では、歯みがき後にすすぎをしない場合、すすいだ場合と比べて、歯みがき後15分・30分・90分の時点で唾液中のフッ素濃度が高く保たれることが報告されています[BMC Oral Health. 2022;22:53.]。ただしこの傾向は、調べられた複数の種類の歯みがき粉のうちMFPを配合したものだけで確認されており、他の種類の歯みがき粉では明確な差が見られませんでした。使っている歯みがき粉の成分によって、すすぎ方の影響は変わる可能性があるといえます。
歯みがき粉の使用量の目安
歯みがき粉の使用量も、フッ素の効果に関わることが示されています。実際に人の口の中で行った研究では、歯みがき粉の使用量を0.5gから1.5gに増やすと、口の中に残るフッ素の量がおよそ90%増加することが報告されています[Int Dent J. 2013;63(Suppl 2):14-24.]。
ただし、使用量を増やすほどよいというわけではなく、年齢に応じた目安があります。6歳以下の子どもには、豆粒大(約0.25g)程度の使用が推奨されています。子どもが歯みがき粉を誤って飲み込んでしまうことを防ぐためです。しっかり吐き出せるようになった年齢からは、より多い使用量を検討してもよいとされています。
歯みがきによる虫歯予防で日常生活の工夫として検討が推奨される点

特に重要とされるのは、フッ素濃度を確認したうえで、1日2回の歯みがきを習慣にすることと考えられています。
ここだけは伝えたいメッセージ
虫歯予防の基本は、適切な濃度のフッ素入り歯みがき粉を使い、1日2回の歯みがきを習慣にすることです。すすぎ方や使用量など、細かい工夫を積み重ねることで、フッ素の効果をより活かせる可能性があります。歯の痛みや変色など気になる症状がある場合は、歯科医師への相談をご検討ください。
まとめ:毎日の歯みがきで虫歯を防ぐフッ素の使い方
- フッ素濃度の目安:1000〜1250ppmの歯みがき粉で虫歯予防効果がしっかりと確認されており、1450〜1500ppmでわずかに上乗せの効果もあるとされています
- 歯みがきの回数:1日複数回歯みがきをした群で、虫歯の増加量がもっとも少なかったことが報告されています
- すすぎ方の考え方:すすぎの強さによる虫歯増加量への統計的な有意差は報告されていませんが、歯みがき粉の種類によっては、すすがないほうが唾液中のフッ素濃度が高く保たれる傾向が示されています
- 歯みがき粉の使用量:使用量を増やすとフッ素の残留量が増える一方、6歳以下の子どもは豆粒大(約0.25g)が目安とされています
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(参考文献)
Walsh T, Worthington HV, Glenny AM, Marinho VCC, Jeroncic A. Fluoride toothpastes of different concentrations for preventing dental caries. Cochrane Database Syst Rev. 2019;3:CD007868.
Chestnutt IG, Schäfer F, Jacobson APM, Stephen KW. The influence of toothbrushing frequency and post-brushing rinsing on caries experience in a caries clinical trial. Community Dent Oral Epidemiol. 1998;26(6):406-11.
Albahrani MM, Alyahya A, Qudeimat MA, Toumba KJ. Salivary fluoride concentration following toothbrushing with and without rinsing: a randomised controlled trial. BMC Oral Health. 2022;22:53.
Creeth J, Zero D, Mau M, Bosma ML, Butler A. The effect of dentifrice quantity and toothbrushing behaviour on oral delivery and retention of fluoride in vivo. Int Dent J. 2013;63(Suppl 2):14-24.







