

監修者福岡ハートネット病院、井林眼科・内科クリニック 糖尿病・内分泌科 福岡ハートネット病院 糖尿病内科部長
食事の見直しと適度な運動を組み合わせ、体重を少しずつ減らすことが脂肪肝の改善につながると報告されています。
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脂肪肝の改善に減量が重要とされる理由
脂肪肝(MASLD=代謝機能障害関連脂肪性肝疾患。以前はNAFLDと呼ばれていました)の改善では、食事と運動によって体重を減らすことが柱になります[日本消化器病学会・日本肝臓学会. 脂肪性肝疾患の日本語病名に関して. 2024.]。
体重をどれくらい減らすと効果が期待できるのでしょうか。52週間にわたる生活習慣改善の研究では、体重を5%減らした方では肝臓の脂肪が減少し、7〜10%減らした方では肝臓の炎症が改善し、10%以上減らした方では約90%に脂肪肝の改善がみられたと報告されています[Gastroenterology. 2015;149(2):367-78.e5.]。この結果は、まずは体重の5〜7%を目標に少しずつ減量することが、脂肪肝の改善に向けた現実的な一歩になり得ることを示しています。
また、食事改善と運動を組み合わせた別の研究でも、平均9.3%の減量に成功した方の多くで肝臓の組織が改善したことが確認されています[Hepatology. 2010;51(1):121-129.]。この知見からも、食事と運動の両面からアプローチすることの有用性がうかがえます。
脂肪肝の改善におすすめの食事のポイント
食事の内容を見直すことも、脂肪肝の改善に役立つ可能性があります。野菜・果物・魚・オリーブオイル・ナッツ類・全粒穀物を中心とした食事パターン(いわゆる地中海式の食事)は、体重が大きく変わらなくても肝臓の脂肪を減らす効果が報告されています[Liver Int. 2017;37(7):936-949.]。この知見は、「食べる量を減らす」だけでなく「何を食べるか」を意識することが、脂肪肝の改善においても重要であることを示唆しています。
具体的には、砂糖入り飲料や果糖の多い食品、肉類、飽和脂肪酸の多い食事を控えめにし、オリーブオイル・魚・ナッツ類・全粒穀物・果物・野菜を取り入れる形が、この食事パターンの特徴です[Liver Int. 2017;37(7):936-949.]。
脂肪肝を改善する運動の種類と頻度
運動も脂肪肝の改善に有効とされています。これまでの研究をまとめた報告では、脂肪肝に効果がみられた有酸素運動は「早歩き程度の強度で1回40分、週3回、12週間続ける」という内容が中心でした[J Hepatol. 2017;66(1):142-152.]。ウォーキングやジョギングなど、無理なく続けられる強度から始めるのがよいでしょう。
注目すべきは、体重が減らなくても運動だけで肝臓への効果が期待できる点です。運動を続けた方では、体重に大きな変化がなくてもALTやASTといった肝機能の数値が改善したと報告されています[Nutrients. 2021;13(9):3135.]。このことから、体重が思うように減らない場合でも、運動を続けること自体に意味があると考えられます。
脂肪肝の改善に筋トレも効果が期待できる理由
「有酸素運動が苦手」という方にとって心強い報告もあります。複数の研究を体系的にまとめた報告では、スクワットやダンベル運動などの筋力トレーニング(レジスタンス運動)は、有酸素運動と同程度に肝臓の脂肪を減らす効果があり、しかもより少ないエネルギー消費で達成できることが示されています[J Hepatol. 2017;66(1):142-152.]。効果がみられた内容は「1回45分、週3回、12週間続ける」というもので、有酸素運動と同じくらいの頻度と時間でした[J Hepatol. 2017;66(1):142-152.]。この知見は、ジョギングのような激しい運動が難しい方でも、筋トレによって脂肪肝の改善を目指せる可能性があることを意味しています。
自分に合った運動を選び、無理なく続けることが大切です。
脂肪肝の改善を目指すうえで日常生活の工夫として検討が推奨される点

特に重要とされるのは、食事と運動を組み合わせて、無理のない範囲で体重を5〜7%減らすことと考えられています。
ここだけは伝えたいメッセージ
脂肪肝は、食事と運動の工夫によって改善が期待できる状態です。「体重を少し減らす」「食べるものを見直す」「できる運動から始める」など、日々の小さな積み重ねが肝臓の健康につながる可能性があります。
ただし、肝機能の数値が大きく上昇している場合や、改善がみられない場合には、医療機関への受診をご検討ください。脂肪肝の中には炎症や線維化が進行しているケースもあるため、早めの対応が重要とされています。
まとめ:脂肪肝を改善する食事と運動のポイント
- 減量目標: 体重の5〜7%を目安に、食事と運動の両面から少しずつ取り組むことが推奨されています
- 食事の工夫: 野菜・魚・オリーブオイルを中心にし、砂糖入り飲料や脂質の多い食事を控えることで、体重が大きく変わらなくても肝臓の脂肪が減少する可能性があります
- 有酸素運動: ウォーキングやジョギングなどを1回40分程度、週3回続けることで、体重に変化がなくても肝機能の改善が期待できます
- 筋トレの活用: 筋力トレーニングも有酸素運動と同程度の効果が報告されており、運動の選択肢を広げられます
- 受診の目安: 肝機能の数値が大きく上昇している場合や改善がみられない場合は、医療機関への受診をご検討ください
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(参考文献)
Vilar-Gomez E, Martinez-Perez Y, Calzadilla-Bertot L, et al. Weight Loss Through Lifestyle Modification Significantly Reduces Features of Nonalcoholic Steatohepatitis. Gastroenterology. 2015;149(2):367-78.e5.
Promrat K, Kleiner DE, Niemeier HM, et al. Randomized controlled trial testing the effects of weight loss on nonalcoholic steatohepatitis. Hepatology. 2010;51(1):121-129.
Babu AF, Csader S, Lok J, et al. Positive Effects of Exercise Intervention without Weight Loss and Dietary Changes in NAFLD-Related Clinical Parameters. Nutrients. 2021;13(9):3135.
Hashida R, Kawaguchi T, Bekki M, et al. Aerobic vs. resistance exercise in non-alcoholic fatty liver disease: A systematic review. J Hepatol. 2017;66(1):142-152.
Zelber-Sagi S, Salomone F, Mlynarsky L. The Mediterranean dietary pattern as the diet of choice for non-alcoholic fatty liver disease: Evidence and plausible mechanisms. Liver Int. 2017;37(7):936-949.
日本消化器病学会・日本肝臓学会「脂肪性肝疾患の日本語病名に関して」2024年8月22日. https://www.jsge.or.jp/news/20240820-3/(参照 2026-09-01).







