高齢の親を室内熱中症から守るにはどうすればよい?家族ができる予防策を教えてください。
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高齢の親を室内熱中症から守るにはどうすればよい?家族ができる予防策を教えてください。

阿河 光治監修者

真生会富山病院 耳鼻咽喉科

阿河 光治

エアコンの使用をすすめるだけでなく、温湿度計の設置や定期的な水分補給の声かけ、服薬中の薬の確認など、複数の対策を組み合わせることが推奨されています。

高齢者の熱中症は、自宅の居間や寝室など「室内」で発生するケースが多く報告されています。「うちの親はエアコンをつけたがらない」「水分をあまり摂らない」と心配されるご家族も多いのではないでしょうか。ここでは、離れて暮らす場合も含めて、家族ができる予防策を紹介します。

高齢者が室内熱中症になりやすい理由

高齢者は以下の理由から、室内でも熱中症になるリスクが高いとされています[Gerontol Geriatr Med. 2020;6:2333721420932432.]。

  • 暑さを感じにくい: 加齢により皮膚の温度センサーの感度が低下し、室温が30℃を超えていても「暑い」と感じにくくなる
  • 汗をかきにくい: 発汗量が減り、体から熱を逃がす機能が低下している
  • のどの渇きを感じにくい: 脱水が進んでも渇きを自覚しにくく、水分摂取量が減る傾向がある
  • エアコンを使いたがらない: 「もったいない」「冷えるから」と感じ、暑い室内で過ごしてしまうことがある

服薬中の薬が熱中症リスクを高める場合がある

一部の薬は体温調節に影響を与え、熱中症のリスクを高める可能性が指摘されています。たとえば以下のような薬が該当します[J Clin Pharm Ther. 2015;40(4):363-7.]。

  • 利尿薬(高血圧・心不全の治療薬): 尿の量が増えるため脱水が進みやすくなる
  • 抗コリン薬(過活動膀胱・パーキンソン病の治療薬など): 汗の分泌を抑える作用があり、体温が上がりやすくなる場合がある
  • β遮断薬(高血圧・不整脈の治療薬): 皮膚の血流調整に影響し、体から熱を逃がしにくくなる可能性がある

服薬中の薬が気になる場合は、主治医や薬剤師に「夏場の注意点」を確認しておくことが推奨されます。薬を自己判断で中止することは避けてください。

家族ができる具体的な予防策

離れて暮らしている場合も、以下のような工夫で室内熱中症のリスクを下げることが期待できます。

  • 温湿度計をプレゼントする: リビングや寝室に設置し、「28℃を超えたらエアコンをつけてね」と伝える。数値で見える化することで判断がしやすくなる
  • エアコンの設定をあらかじめ調整しておく: 帰省時にリモコンの操作方法を確認し、冷房28℃に設定しておく。「冷えすぎる」と感じる場合は扇風機と併用する方法を提案する
  • 水分補給の声かけを習慣にする: 電話やメッセージで「今日暑いからお茶飲んでね」と声をかける。1〜2時間ごとにコップ1杯の水分を摂る習慣を一緒に決める
  • 訪問や見守りの仕組みを活用する: 地域の見守りサービスや定期訪問を活用し、暑い日にひとりで過ごしていないか確認する

水分・ミネラル補給の工夫|あくまで補助的な手段として

高齢者の水分補給では「飲みやすさ」が大切です。冷たすぎる飲み物は敬遠される場合があるため、常温のミネラル入り麦茶やうすめたスポーツドリンクを手の届く場所に置いておくと、自然に手に取りやすくなります。

経口補水液は脱水が進んだときの補給に適していますが、日常の水分補給としては塩分が多い場合があるため、医師や薬剤師に相談のうえ活用するのが安心です。ただし、いずれの飲料もあくまで熱中症予防の補助手段であり、エアコンの使用や室温管理と組み合わせることが前提です。なお、効果には個人差があります。

高齢の親を室内熱中症から守るうえで日常生活の工夫として検討が推奨される点

特に重要とされるのは、「本人任せにせず、環境を整える仕組みを家族が作ること」と考えられています。

高齢の親を室内熱中症から守る上での日常生活の工夫について、5つのコツとその内容、理由をまとめた表です。1つ目は「温湿度計の設置」で、大きな文字で見やすい温湿度計をリビングと寝室に置くことです。理由は「体感ではなく数値で判断できるようにするため」です。2つ目は「エアコンの「自動化」」で、タイマー設定や自動運転モードを活用し、本人が操作しなくても涼しい環境を保つことです。理由は「「つけ忘れ」「つけたがらない」を仕組みで解決する」ためです。3つ目は「飲み物を手の届く場所に」で、常温のお茶やミネラル入り麦茶をテーブルの上に常備することです。理由は「「台所まで取りに行く」手間を減らすと摂取量が増える傾向がある」からです。4つ目は「定期的な声かけ」で、電話やメッセージで「お茶飲んだ?エアコンつけた?」と確認することです。理由は「本人が暑さを自覚していない場合でも、外部からの声かけが行動につながる」ためです。5つ目は「服薬リストの確認」で、帰省時に薬手帳を一緒に確認し、夏に注意が必要な薬がないか薬剤師に相談することです。理由は「一部の薬は体温調節に影響する可能性がある」からです。

ここだけは伝えたいメッセージ

高齢者の室内熱中症は、「暑さを感じにくい」「エアコンを使いたがらない」「水分を摂る量が減っている」といった複数の要因が重なって起こります。本人に注意を促すだけでなく、温湿度計の設置やエアコンの自動設定、飲み物の配置など「環境を整える仕組み」を家族が一緒に作ることが、もっとも実効性のある予防策です。

服薬中の薬に不安がある場合は、主治医や薬剤師への相談をご検討ください。「いつもと様子が違う」「ぐったりしている」「呼びかけへの反応が鈍い」といった場合は、速やかに医療機関への受診をご検討ください。

まとめ:高齢の親を室内熱中症から守るポイント

  • リスクが高い理由:暑さを感じにくい・汗をかきにくい・のどの渇きを感じにくい
  • 薬の影響:利尿薬・抗コリン薬・β遮断薬などが体温調節に影響する場合がある
  • エアコン対策:28℃超でON。タイマーや自動運転を活用して「つけ忘れ」を防ぐ
  • 水分補給:常温の麦茶やスポーツドリンクを手の届く場所に常備。声かけも大切
  • 見守り:電話やメッセージでの声かけ、地域の見守りサービスの活用
  • 危険サイン:ぐったりしている・呼びかけへの反応が鈍い→すぐに医療機関へ

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(参考文献)

Millyard A, Layden JD, Sheridan HF, et al. Gerontol Geriatr Med. 2020;6:2333721420932432.

Westaway K, Frank O, Husband A, et al. J Clin Pharm Ther. 2015;40(4):363-7.

Epstein Y, Yanovich R. N Engl J Med. 2019;380(25):2449-59.

環境省. 熱中症環境保健マニュアル2022.

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最終更新日:

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