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なぜ日本人はカルシウムが「万年不足」なのか?食文化と骨の意外な関係を教えてください。
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なぜ日本人はカルシウムが「万年不足」なのか?食文化と骨の意外な関係を教えてください。

栗原 信吾監修者

北水会記念病院 整形外科

栗原 信吾

日本人のカルシウム不足は、乳製品の摂取量が欧米に比べて少ない食文化が大きく関係していると考えられています。

日本人のカルシウム摂取量はどれくらい不足しているのか

日本人の1日あたりのカルシウム摂取量は約480mgにとどまり、年々減少傾向にあることが報告されています[Osteoporos Sarcopenia. 2016;2(4):208-213.]。厚生労働省が示すカルシウムの推奨量は成人で1日あたり650〜800mgとされており、実際の摂取量との間には大きな開きがあります[厚生労働省 e-ヘルスネット「骨粗鬆症の予防のための食生活」]。この差は、日本人が慢性的にカルシウム不足の状態にあることを示しています。

カルシウム不足の背景にある食文化の違い

世界全体のカルシウム摂取量を調べた報告では、アジア地域の平均摂取量は1日500mg未満であるのに対し、北欧では1日1,000mgを超えていることがわかっています[Osteoporos Int. 2017;28(12):3315-3324.]。この違いには、乳製品の消費量が大きく関わっています。北欧ではチーズや牛乳が日常的な食事に組み込まれているのに対し、日本の伝統的な食文化では乳製品の利用が限られてきました。乳製品はほかの食品に比べてカルシウムの吸収率が高いとされており[厚生労働省 e-ヘルスネット「骨粗鬆症の予防のための食生活」]、この食文化の違いが摂取量の差につながっていると考えられます。

若い世代でもカルシウム不足は深刻

カルシウム不足は中高年だけの問題ではありません。日本人の女子大学生を対象にした調査では、1日あたりのカルシウム摂取量が約380mgと、推奨量を大きく下回っていました。この調査では、乳製品の摂取量が少ないほどカルシウム摂取量も低い傾向が確認されています[Tohoku J Exp Med. 2005;206(4):319-326.]。若い時期は骨量を蓄える大切な時期にあたるため、この段階でのカルシウム不足は将来の骨の健康にも影響を及ぼす可能性があります。

カルシウム不足が骨に与える影響

閉経後の日本人女性を対象にした研究では、カルシウム摂取量が少ないグループほど骨の分解(骨吸収)が進みやすいことが示されています[Public Health Nutr. 2009;12(12):2366-2370.]。骨は常に新しく作られる過程と古い骨が壊される過程を繰り返しており、カルシウムが不足すると、このバランスが崩れて骨がもろくなりやすくなります。

ビタミンDの不足もカルシウム吸収を妨げる要因に

カルシウムを体にしっかり取り込むためには、ビタミンDの働きが欠かせません。しかし、日本人にはビタミンDが不足している方が多く、特に若い女性では中高年よりもビタミンD不足の割合が高いことが報告されています[J Bone Miner Metab. 2006;24(1):1-6.]。また、日本ではカルシウムの摂取量の減少に加えて、ビタミンD不足の方も増えていることが指摘されています[Osteoporos Sarcopenia. 2016;2(4):208-213.]。ビタミンDが不足するとカルシウムの吸収効率が下がるため、食事からカルシウムをとっていても骨に届きにくくなる可能性があります。

カルシウム不足を補ううえで日常生活の工夫として検討が推奨される点

日本人のカルシウム不足を補うための3つのコツとその内容、理由をまとめた表です。1つ目は「乳製品を毎日の食事に取り入れる」で、内容は牛乳・ヨーグルト・チーズなどを1日1〜2回を目安にとることです。理由は「乳製品はほかの食品よりカルシウムの吸収率が高いとされている」からです(出典:厚生労働省 e-ヘルスネット 「骨粗鬆症の予防のための食生活」)。2つ目は「小魚や大豆製品も活用する」で、内容は乳製品が苦手な場合は、ししゃも・豆腐・納豆などを組み合わせることです。理由は「複数の食品を組み合わせることで、推奨量に近づきやすくなると考えられている」からです。3つ目は「ビタミンDを意識する」で、内容は日光浴や、きのこ類・魚類を食事に取り入れることです。理由は「ビタミンDが不足するとカルシウムの吸収効率が下がる可能性がある」からです(出典:J Bone Miner Metab. 2006;24(1):1-6.)。

ここだけは伝えたいメッセージ

日本人のカルシウム不足は食文化が関係しており、意識的な努力をしなければ推奨量に届きにくい状況にあります。まずは毎日の食事で乳製品や小魚を意識的に取り入れることが、骨の健康を守る第一歩になると考えられます。

骨密度が気になる方や、すでに骨がもろくなっている可能性が心配な方は、医療機関への相談をご検討ください。

まとめ:日本人のカルシウム不足と骨の健康を守るポイント

  • カルシウム摂取量の現状: 日本人の1日あたりのカルシウム摂取量は約480mgで、推奨量の650〜800mgを大きく下回っています
  • 食文化の影響: 乳製品の消費量が少ない食文化が、カルシウム不足の主な要因と考えられています
  • 若い世代も注意が必要: 女子大学生の摂取量は約380mgと、さらに低い水準にあります
  • 骨への影響: カルシウム不足は骨の分解を進めやすくし、骨密度の低下につながる可能性があります
  • ビタミンDも重要: カルシウムの吸収にはビタミンDが不可欠で、日本人にはビタミンD不足の方も多いことが報告されています
  • 日常の工夫: 乳製品・小魚・大豆製品を毎日の食事に取り入れ、ビタミンDを意識することが推奨されます

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(参考文献)

Ohta H, et al. Recent nutritional trends of calcium and vitamin D in East Asia. Osteoporos Sarcopenia. 2016;2(4):208-213.
Balk EM, et al. Global dietary calcium intake among adults: a systematic review. Osteoporos Int. 2017;28(12):3315-3324.
Nakamura K, et al. Low calcium intake is associated with increased bone resorption in postmenopausal Japanese women. Public Health Nutr. 2009;12(12):2366-2370.
Ueno K, et al. Intakes of calcium and other nutrients related to bone health in Japanese female college students. Tohoku J Exp Med. 2005;206(4):319-326.
Nakamura K. Vitamin D insufficiency in Japanese populations. J Bone Miner Metab. 2006;24(1):1-6.
厚生労働省 e-ヘルスネット「骨粗鬆症の予防のための食生活」

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