
夏の疲れは「脳疲労」のせいなのか、中枢性疲労と末梢性疲労の違いや食事での対策を教えてください。
監修者文京小石川クリニック 脳神経内科、 東京女子医科大学附属病院 東洋医学研究所クリニック 脳神経内科
疲労には脳が原因の中枢性疲労と筋肉が原因の末梢性疲労があり、夏の疲れには両方が関与している可能性があります。
中枢性疲労と末梢性疲労の違い|「脳疲労」とは何か
「体は動かしていないのに疲れる」「頭がぼんやりして仕事がはかどらない」——夏に感じるこうした疲れは、筋肉の疲れとは異なる「脳疲労」が関係している可能性があります。疲労には大きく分けて中枢性疲労(ちゅうすうせいひろう=脳や神経系が原因の疲れ)と末梢性疲労(まっしょうせいひろう=筋肉が原因の疲れ)の2種類があることが報告されています[Int J Environ Res Public Health. 2022;19(7):3909.]。中枢性疲労は、脳の情報処理能力の低下やモチベーションの減退として現れ、特にデスクワーク中心の方に多い特徴があります。
夏に脳疲労が起こりやすい理由|暑さと自律神経の関係
夏は暑さによる体温調節のために自律神経(じりつしんけい=内臓や血管のはたらきを無意識に調整する神経)がフル稼働します。この状態が続くと、脳の処理能力に余裕がなくなり、集中力の低下や判断力の鈍りが生じやすくなると考えられています。さらに、暑さによる睡眠の質の低下や脱水も脳疲労を悪化させる要因です。中枢性疲労と末梢性疲労は相互に影響し合うため、体の疲れが脳の疲れを、脳の疲れが体の疲れを増幅する悪循環が生まれやすくなります。
脳疲労への対策|生活習慣と食事の工夫
脳疲労を軽減するためには、まず脳への負担を減らすことが重要です。室温を適切に管理し、自律神経への負荷を軽減しましょう。こまめな休憩を取り入れ、90分に1回程度は作業を中断して脳を休ませることも推奨されます。食事面では、リラックスに関わるアミノ酸であるテアニン(緑茶に多く含まれる成分)を意識的に摂取することが、ストレスや不安症状を調整する可能性があります[Plant Foods Hum Nutr. 2020;75(1):12-23.]。また、十分な水分補給も脳のパフォーマンス維持に重要です。
テアニンやGABAを含む機能性表示食品の活用
日常の食事に加え、脳疲労やストレスの軽減を目的とした機能性表示食品を補助的に活用する方法もあります。テアニンを含むサプリメントや飲料は、ストレスや不安症状を調整するために良い影響を与える可能性が報告されています[Plant Foods Hum Nutr. 2020;75(1):12-23.]。また、GABA(ガンマアミノ酪酸=体内にも存在するアミノ酸の一種)を含む食品も、ストレスの軽減の助けになる可能性があります[Front Neurosci. 2020;14:923.]。ただし、これらは、あくまでも日常の生活習慣を整えたうえでの補助的な位置づけです。なお、効果には個人差があります。
夏の脳疲労対策を考えるうえで日常生活の工夫として検討が推奨される点

特に重要とされるのは、定期的な休憩で脳を休ませることであると考えられています。
ここだけは伝えたいメッセージ
夏の疲れは体だけでなく脳にも及びます。暑さによる自律神経の負荷や睡眠の質の低下が、「頭がぼんやりする」「集中できない」といった脳疲労の原因になっている可能性があります。室温管理・定期的な休憩・十分な水分補給で、脳の疲れを和らげていきましょう。
ただし、強い疲労感が2週間以上改善しない場合や、記憶力の著しい低下がみられる場合は、早めに医療機関への相談をご検討ください。
まとめ:中枢性疲労と末梢性疲労の違いと夏の脳疲労対策

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