
監修者精神科・心療内科
就寝前のぬるめの入浴やエアコンの適切な設定に加え、グリシンやGABAなどの睡眠サポート成分の活用が注目されています。
熱帯夜に眠れなくなる原因|深部体温と睡眠の関係
人の体は、深部体温(しんぶたいおん=体の中心部の温度)が下がるときに眠気を感じるしくみになっています。しかし、熱帯夜(最低気温が25℃以上の夜)では室温が高いまま保たれるため、深部体温が下がりにくく、寝つきが悪くなったり、途中で目が覚めたりしやすくなります。暑さによる発汗や不快感も、睡眠の質を低下させる一因と考えられています。
エアコンの使い方|つけっぱなしが推奨される理由
「エアコンをつけっぱなしにしてよいのか」と迷う方も多いですが、タイマーで切ると室温が上昇し、夜中に目が覚めるリスクが高まることが報告されています。室温26〜28℃を目安に、一晩中エアコンを稼働させることが推奨されています。高齢者を対象とした研究では、室温20〜25℃の範囲で睡眠効率が最も高く、25℃を超えると睡眠効率が5〜10%低下することが示されています(Sci Total Environ. 2023;899:165623.)。
入浴と寝具の工夫|深部体温を効率よく下げる方法
就寝1〜2時間前に38〜40℃程度のぬるめのお湯に入浴すると、一時的に深部体温が上がったあとに反動で下がり、スムーズな入眠につながると考えられています。寝具は吸湿速乾素材のシーツやひんやり素材の枕カバーを選ぶと、体表面の熱がこもりにくくなります。就寝30分前からはスマートフォンの画面を見ることを避け、照明を落とすことも有効とされています。
グリシンなど睡眠を助けるサプリメントは補助的に
生活習慣の改善に加え、睡眠をサポートする機能性成分にも注目が集まっています。グリシン(=体内にあるアミノ酸の一種)は、就寝前に摂取すると深部体温の低下を促し、睡眠の質を改善する可能性が報告されています(Front Neurol. 2012;3:61.)。そのしくみとして、脳の体内時計に関わる部位に作用して体温を下げる経路が示されています[Neuropsychopharmacology. 2015;40(6):1405-16.]。他にも、GABAやテアニンを含む機能性表示食品も市販されていますが、これらはあくまで生活習慣の改善を基本とした補助的な位置づけです。効果には個人差があります。
熱帯夜の快眠を目指すうえで日常生活の工夫として検討が推奨される点

ここだけは伝えたいメッセージ
熱帯夜の睡眠は、エアコンや寝具の工夫で改善できることが少なくありません。「今夜から試せること」として、エアコンのつけっぱなしとぬるめの入浴から始めてみてください。なお、2週間以上にわたって眠れない日が続く場合は、睡眠障害や睡眠時無呼吸症候群などの可能性も考えられます。医療機関への相談をご検討ください。
まとめ:熱帯夜の快眠のために押さえたいポイント
- 眠れなくなる原因:室温が高いと深部体温が下がりにくく、入眠や睡眠維持が妨げられる
- エアコンの設定:26〜28℃で一晩中つけっぱなしが推奨される
- 入浴のタイミング:就寝1〜2時間前にぬるめ(38〜40℃)の入浴
- 寝具の工夫:吸湿速乾素材・ひんやり素材で体表面の熱を逃がす
- 機能性成分の活用:グリシンやGABAなどは補助的に活用(効果には個人差あり)
- 受診を検討する目安:2週間以上続く不眠がある場合
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(参考文献)
Baniassadi A, et al. Nighttime ambient temperature and sleep in community-dwelling older adults. Sci Total Environ. 2023;899:165623.
Bannai M, et al. The effects of glycine on subjective daytime performance in partially sleep-restricted healthy volunteers. Front Neurol. 2012;3:61.
Kawai N, et al. The sleep-promoting and hypothermic effects of glycine are mediated by NMDA receptors in the suprachiasmatic nucleus. Neuropsychopharmacology. 2015;40(6):1405-16.
Hepsomali P, et al. Effects of Oral Gamma-Aminobutyric Acid (GABA) Administration on Stress and Sleep in Humans: A Systematic Review. Front Neurosci. 2020;14:923.


