
監修者精神科・心療内科
体のだるさは脱水や暑さによる疲労、心のだるさは睡眠不足や自律神経の乱れが主な原因と考えられます。ただ、心と身体はつながっているため、完全に原因が分けられないこともあります。
夏の体のだるさとは|暑さ・脱水が引き起こす疲労
夏に感じる体のだるさの多くは、暑さによる発汗で体内の水分や電解質(ナトリウムなどのミネラル)が失われることが主な原因と考えられています。身体の機能を一定に保つために自律神経(じりつしんけい=体の働きを自動で調整する神経)が働き続けますが、そのバランスがうまく取れないと、疲労感につながります。室温や湿度の管理、水分補給、栄養に富んだ食事が基本的な対策とされています。
夏の心のだるさとは|セロトニンと自律神経の乱れ
一方、「やる気が出ない」「気分が沈む」といった心のだるさは、体のだるさとは別のしくみが関わっている可能性があります。たとえば、暑さが続くと血流やセロトニンレベルなどの生理学的変化が起きたり、睡眠が妨げられたり、アルコール摂取量が増えるなど、メンタル不調につながる要因が報告されています[Lancet Planet Health. 2023;7(7):e580-e589.]。気温が1℃上がるごとに心の不調が引き起こす病気や命に関わるという研究報告もあります[Environ Int. 2021;153:106533.]。
セルフケアの使い分け|体と心で対処法が異なることもある
体のだるさには空調や扇風機などの適切な活用や水分・電解質の補給が有効とされています。心のだるさには、規則正しい生活リズム、十分な睡眠、適度な運動が推奨されています。
GABAやテアニンなど機能性成分は効果があるの?
近年、ストレスや疲労感の軽減を目的として、GABA(ギャバ=リラックスに関わるアミノ酸の一種)やテアニン(=お茶に含まれるリラックスに関わる可能性がある成分)を含む機能性表示食品が注目されています。経口GABA摂取のストレス軽減効果については、有効性を示す報告はありますが、さらなる研究が必要です(Front Neurosci. 2020;14:923.)。あくまで生活習慣の改善が基本であり、機能性成分を含んだ食品やサプリメントは補助的な位置づけであり、効果には個人差があります。
夏のだるさへのセルフケアを考えるうえで日常生活の工夫として検討が推奨される点

ここだけは伝えたいメッセージ
夏のだるさは、体と心で原因が異なる場合がありますが、完全に原因を分けることは難しいこともあります。「水分補給や栄養バランスのよい食事」「十分な睡眠」「生活リズムの見直し」や「朝に日の光を浴びる」ことを取り入れてみてください。なお、2週間以上にわたって意欲の低下や食欲不振が続く場合は、うつ病などの可能性も考えられます。医療機関への相談をご検討ください。
まとめ:夏の体と心のだるさの違いとセルフケア
- 体のだるさの主な原因:暑さによる脱水・電解質不足・自律神経がうまく働かない
- 心のだるさの主な原因:睡眠不足や交感神経の過剰な働き
- 体のだるさへの対策:室温や湿度の管理、水分・電解質補給、バランスのよい食事
- 心のだるさへの対策:規則正しい生活リズム、適度な運動、朝の日光浴
- 機能性成分の活用:GABAやテアニンを含む機能性表示食品は補助的に活用(効果には個人差あり)
- 受診を検討する目安:2週間以上続く気分の落ち込みや意欲低下、睡眠障害がある場合
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(参考文献)
Liu J, et al. Is there an association between hot weather and poor mental health outcomes? A systematic review and meta-analysis. Environ Int. 2021;153:106533.
Thompson R, et al. Ambient temperature and mental health: a systematic review and meta-analysis. Lancet Planet Health. 2023;7(7):e580-e589.
Lambert GW, et al. Effect of sunlight and season on serotonin turnover in the brain. Lancet. 2002;360(9348):1840-2.
Hepsomali P, et al. Effects of Oral Gamma-Aminobutyric Acid (GABA) Administration on Stress and Sleep in Humans: A Systematic Review. Front Neurosci. 2020;14:923.


