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目の疲れが気になる日の温熱ケアの目安を教えてください。
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目の疲れが気になる日の温熱ケアの目安を教えてください。

山口 知暁監修者

東北大学病院 眼科

山口 知暁

目を温めるケアは、40℃以上で10分以上が一般的な目安とされています。ただし多くの研究は「目の疲れ」そのものではなく、涙液層の安定性など関連する指標を調べたものです。

目を温めるケアで報告されている効果

VDT(パソコンなどのディスプレイ)を長時間使う人を対象に、約40℃のまぶた用温熱デバイスを1回10分使ってもらった研究では、使用直後に涙液層破壊時間(TBUT、目の表面の潤いがどれだけ安定して保たれるかを示す指標)が3.0秒から4.1秒に改善したことが報告されています[Sci Rep. 2020;10:16919.]。このデバイスを2週間毎日継続して使用したところ、生活の質(QOL)を示すスコアは、温熱デバイスを使ったグループでのみ有意に改善していました。ただし、涙液層の安定性(TBUT)自体は、温熱機能のないマスクを使った対照グループでも2週間後には同程度に改善していたため、涙液層の安定性への効果が温熱そのものによるものかどうかは、この研究だけでは判断しきれない部分もあります。

温める温度と時間の目安

目を温める際の温度・時間の目安としては、40℃以上を目標に、1回10分以上、製品の指示に従って使用することが推奨されています[Ophthalmol Ther. 2024;13(9):2481-2493.]。ただしこの推奨は、マイボーム腺機能不全(涙の質に関わる、まぶたの分泌腺の不調)という診断がついた患者さんを対象とした治療の文脈で示されたものであり、一般的な「目の疲れ」対策として、そのまま当てはまるとは限りません。温める際の一般的な目安として参考にする程度にとどめるのが適切です。

「目の疲れ」の研究としての限界

目を温めるケアに関する研究の多くは、「目の疲れ」そのものを直接測定したものではなく、涙液層の安定性やドライアイに関連する指標を調べたものです。目の疲れとドライアイは、VDTを長時間使う人では同時に起こりやすいことが知られていますが、両者は別の概念であり、涙液層の安定性が改善したことが、必ずしも「目の疲れが取れた」ことを意味するわけではありません。

目の疲れが気になる日の温熱ケアと日常生活の工夫として検討が推奨される点

目の疲れが気になる日の温熱ケアについて3つのコツと理由をまとめた表です。1つ目は「40℃以上を目安に温める」で、温熱シートや温めたタオルなどで目の周りをやさしく温めることです。理由は40℃以上・10分以上が関連する研究で目安として示されているためです。2つ目は「熱すぎない温度を守る」で、熱いと感じたら使用を中断することです。理由はまぶたの皮膚は薄く、熱さを感じにくい場合もあるため、無理に温度を上げないことが望ましいためです。3つ目は「目を休める時間も一緒に取り入れる」で、温めるだけでなく画面から目を離す時間も作ることです。理由は目の疲れには温熱ケア以外の要因(画面を見続ける時間等)も関わっていると考えられるためです。

温めすぎず、無理のない範囲で続けることが、特に重要と考えられます。

ここだけは伝えたいメッセージ

目の疲れが気になる日は、40℃以上を目安に、10分以上目を温めてみることから始めてみてください。ただし熱すぎるとまぶたの皮膚を傷めるおそれがあるため、心地よいと感じる温度を守ることが大切です。目のかすみ・痛み・視力の変化など気になる症状が続く場合は、医療機関への相談をご検討ください。

まとめ:目の疲れが気になる日の温熱ケアの目安

  • 報告されている効果:まぶたを温めるケアで、涙液層の安定性やQOLスコアの改善が報告されていますが、涙液層の安定性自体は温熱機能のない対照群でも改善がみられました
  • 温度・時間の目安:40℃以上を目標に、1回10分以上が一般的な目安とされていますが、これはマイボーム腺機能不全という診断がついた患者さんを対象とした治療研究に基づくものです
  • 研究の限界:多くの研究は「目の疲れ」そのものではなく、涙液層の安定性などの関連指標を調べたものであり、両者は厳密には異なる概念です

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(参考文献)

Sun CC, Lee CY, Hwang YS, Igaki M, Tagami K, Hsiao CH. Effect of warming eyelids on tear film stability and quality of life in visual display terminal users: a randomized controlled trial. Sci Rep. 2020;10:16919.
Lee G. Evidence-Based Strategies for Warm Compress Therapy in Meibomian Gland Dysfunction. Ophthalmol Ther. 2024;13(9):2481-2493.

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