なぜ夏になると漠然とした不安を感じやすいのか、暑さとメンタルの関係や食事での対策を教えてください。
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なぜ夏になると漠然とした不安を感じやすいのか、暑さとメンタルの関係や食事での対策を教えてください。

山﨑 龍一監修者

こころの港クリニック 京橋・東京駅前 精神科・心療内科

山﨑 龍一

暑さによる自律神経の乱れや睡眠の質の低下が、漠然とした不安感を引き起こしやすくする可能性があります。

夏に漠然とした不安を感じやすい理由|暑さとメンタルの関係

「特に理由はないのに不安になる」「夏になるとなんとなく気持ちが落ち着かない」と感じる方は少なくありません。気温の上昇は、体温調節を担う自律神経(じりつしんけい=内臓や血管のはたらきを無意識に調整する神経)に大きな負荷をかけます。自律神経のバランスが崩れると、不安感やそわそわ感が現れやすくなることが知られています。複数の研究を統合した分析では、暑さとメンタルヘルスの悪化(うつ症状、不安、自殺リスクの上昇)との間に関連があることが報告されています[Lancet Planet Health. 2023;7(7):e580-e589.]。

日照時間とセロトニンの関係|夏特有の気分の変動

夏は日照時間が長いため、セロトニン(気分を安定させる働きを持つ脳内の伝達物質)の分泌は比較的保たれやすい季節です。しかし、猛暑で外出を控えて室内にこもる生活が続くと、十分な日光を浴びられず、セロトニンの分泌が低下する可能性があります。脳内のセロトニン代謝は日光を浴びる時間に影響を受けることが報告されており[Lancet. 2002;360(9348):1840-2.]、日光不足が不安感の一因となる場合があります。また、暑さそのものが精神的な不調と関連することも複数の研究で示されています[Environ Int. 2021;153:106533.]。

暑さによる不安への対策|生活習慣と食事の工夫

漠然とした不安への対策としては、まず暑さによるストレスを減らすことが基本です。室内の温度管理を適切に行い、可能であれば朝夕の涼しい時間帯に短時間の散歩をして日光を浴びることが推奨されます。食事面では、セロトニンの材料となるトリプトファン(必須アミノ酸の一種)を含む食品(バナナ、大豆製品、乳製品、ナッツ類など)を意識的に摂ることが、気分の安定に寄与する可能性があります[J Diet Suppl. 2021;18(3):316-333.]。また、暑さで食欲が落ちやすい夏は栄養バランスが偏りやすいため、3食をなるべく規則正しく摂ることも大切です。

GABAやトリプトファンを含む機能性表示食品の活用

日常の食事を整えたうえで、ストレスや不安の軽減を目的とした機能性表示食品を補助的に取り入れる方法もあります。GABA(ガンマアミノ酪酸=体内にも存在するアミノ酸の一種)の経口摂取がストレスや不安の軽減に寄与する可能性が複数の研究で報告されています[Front Neurosci. 2020;14:923.]。また、トリプトファンのサプリメントが気分の改善に関連する可能性も示されています[J Diet Suppl. 2021;18(3):316-333.]。ただし、これらはあくまで日常の生活習慣を整えたうえでの補助的な位置づけです。なお、効果には個人差があります。

暑さによる不安対策を考えるうえで日常生活の工夫として検討が推奨される点

暑さによる不安対策のための日常生活について、3つのコツと内容、理由をまとめた表です。1つ目は「朝夕に日光を浴びる」で、内容は「涼しい時間帯に15〜30分の散歩を取り入れる」ことです。理由は「セロトニンの分泌が日照時間の影響を受けることが報告されている」からです。2つ目は「室温を快適に保つ」で、内容は「エアコンで26〜28℃を目安に調整し、暑さによるストレスを軽減する」ことです。理由は「暑さの持続が自律神経に負担をかけ、不安感を増す可能性がある」からです。3つ目は「トリプトファンを含む食品を摂る」で、内容は「バナナ・大豆製品・乳製品・ナッツ類を朝食に取り入れる」ことです。理由は「セロトニンの材料となり、気分の安定に寄与する可能性がある」からです。

特に重要とされるのは、暑い日でも日光を浴びる機会を最低限確保し、セロトニンの分泌を維持することであると考えられています。

ここだけは伝えたいメッセージ

夏に漠然とした不安を感じるのは、暑さや日光不足がこころのバランスに影響を与えている可能性があります。室温管理、適度な日光浴、食事の工夫を組み合わせることで、不安感が和らいでいく場合があります。

ただし、不安感が2週間以上続く場合や、日常生活に支障をきたしている場合は、早めに医療機関への相談をご検討ください。

まとめ:暑さと漠然とした不安の関係と対策

暑さと漠然とした不安の関係と対策についてまとめた表です。暑さと不安の関係は、暑さで自律神経に負荷がかかり、不安感やそわそわ感が現れやすくなることです。日照時間とセロトニンの関係については、猛暑で室内にこもると日光不足になり、セロトニン分泌が低下する可能性があります。対策として、日光浴の工夫は、朝夕の涼しい時間帯に15〜30分の散歩をすることです。食事の工夫は、トリプトファンを含む食品(バナナ・大豆製品・乳製品)を朝食にとることです。機能性表示食品の補助活用については、GABAやトリプトファン含有食品は不安軽減の可能性がありますが、あくまで補助として活用します。

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