レボホリナートカルシウム(アイソボリンⓇ)の作用機序について教えてください。
体内で活性型葉酸に変換され、フルオロウラシルと協力して、がん細胞のDNA合成を阻害し増殖を抑えます
レボホリナートカルシウム(アイソボリンⓇ)は、それ自体が直接がん細胞に作用するわけではありません。このお薬は、フルオロウラシル(5-FU)という、別の抗がん剤の「抗腫瘍効果を強める」目的で使われる補助的な薬剤です。その詳しい仕組みは以下の通りです。
- まず、体内に取り込まれたレボホリナートは、代謝されて「5,10-メチレンテトラヒドロ葉酸(5,10-CH2-THF)」という活性型葉酸に変わります。
- がん細胞が増殖するためには、遺伝情報物質であるDNAを作る必要があります。このDNAの材料となる「チミジル酸」という物質を作るうえで、「チミジレートシンターゼ(TS)」という酵素が非常に重要な働きをしています。
- フルオロウラシルは、がん細胞の中で「FdUMP」という活性体に変化します。このFdUMPがTSに結合すると、TSの働きが邪魔され、チミジル酸が作られなくなります。
- レボホリナートから作られた活性型葉酸は、FdUMPとTSが結合したところに、さらに強く結合します。これにより、「三元複合体」と呼ばれる非常に安定した構造が作られ、TSがFdUMPから離れにくくなります。
この結果、TSの働きがより強力に、そして持続的に阻害されるため、がん細胞はDNAを合成できなくなり、増殖が抑えられると考えられています。
無所属 薬剤師
齊藤 由佳 監修
(参考文献)
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