アマンタジン塩酸塩（シンメトレルⓇ️）の作用機序を教えてください。

アマンタジン塩酸塩は、A型インフルエンザウイルスの増殖を抑える薬です。
ウイルスは自分で増殖することができないため、宿主細胞の仕組みを利用して増殖します。通常、ウイルスが細胞の表面に吸着し、細胞の仕組みによって細胞内に取り込まれると、次にウイルスの遺伝情報が放出（脱穀）されます。この遺伝情報を宿主細胞にコピーさせ、ウイルスタンパクを合成させることで増殖し、最終的に宿主細胞から放出されます。
アマンタジン塩酸塩は、主に感染初期に脱穀（ウイルスの遺伝情報が細胞内に放出されるプロセス）を阻害し、遺伝情報をコピーさせないことによってウイルスが増殖していくのを抑えます。

アマンタジン塩酸塩は、A型以外のインフルエンザウイルス感染症には効果がありません。
また、2008年ごろから流行している季節性インフルエンザは高率に耐性化したことから、インフルエンザ治療目的で使用しないよう米国CDC（疾病予防管理センター）が勧告しました。それ以降は、臨床現場でインフルエンザの治療には使用されなくなっています。