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【医師監修】成人の肺炎球菌ワクチンの種類と違い|PCV20・PCV21・PPSV23を比較

成人が接種できる肺炎球菌ワクチンは、プレベナー20(PCV20)・キャップバックス(PCV21)・ニューモバックスNP(PPSV23)の3種類があります。それぞれ対応する肺炎球菌の型の数やワクチンのタイプが異なり、接種区分(定期接種か任意接種か)も違います。この記事では、3種類のワクチンの特徴と違いを比較表付きで解説します。


この記事でわかること

  • 成人の肺炎球菌ワクチン3種類(プレベナー20・キャップバックス・ニューモバックスNP)の型数・タイプ・接種区分の違い
  • 各ワクチンの効果と、肺炎球菌感染症(IPD)の予防範囲
  • 年齢・接種歴・持病に応じたワクチンの選び方

肺炎球菌ワクチンにはどんな種類がある?

成人が接種できる肺炎球菌ワクチンは、プレベナー20(PCV20)・キャップバックス(PCV21)・ニューモバックスNP(PPSV23)の3種類です[肺炎球菌ワクチン接種に関する考え方 第8版. 2026.]。以下の表で主な違いを比較できます。

項目プレベナー20(PCV20)キャップバックス(PCV21)ニューモバックスNP(PPSV23)
ワクチンのタイプ結合型ワクチン結合型ワクチン多糖体ワクチン
対応する型の数20種類21種類23種類
効果が持続しやすいか持続しやすい持続しやすい数年で弱まりやすい
効果の持続期間約5年と推定約5年と推定3〜5年で低下
接種回数原則1回原則1回1回(再接種の選択肢あり)
接種区分(2026年4月〜)定期接種(B類疾病)任意接種定期接種は終了

※ 対応する型の数が多いほど予防できる範囲が広いとは限りません。ワクチンのタイプや、日本で実際に流行している肺炎球菌の型との一致率(カバー率)も重要です。どのワクチンが適しているかは、年齢や接種歴、持病などによって異なります。


プレベナーとニューモバックスは何が違う?

最も大きな違いはワクチンのタイプです。プレベナー20やキャップバックスは「結合型」、ニューモバックスNPは「多糖体」に分類されます。この違いが免疫の付き方や効果の持続に影響します。

結合型ワクチン(プレベナー20・キャップバックス)

肺炎球菌の成分に特殊なタンパク質を結合させたワクチンです。接種すると体が免疫を長く覚える仕組みが働くとされており、一度接種すると比較的長く効果が持続すると考えられています。

多糖体ワクチン(ニューモバックスNP)

肺炎球菌の表面にある糖の成分をそのまま使ったワクチンです。結合型とは免疫の付き方が異なり、体が免疫を長く覚えにくいとされています。そのため効果は接種後3〜5年で低下していく傾向が報告されています。


各ワクチンの効果はどのくらい?

各ワクチンについて、臨床試験や実臨床での有効性データが報告されています。以下、各ワクチンの特徴と効果をまとめます。

プレベナー20(PCV20)

  • 20種類の肺炎球菌の型に対応する結合型ワクチンです
  • 2026年4月から、高齢者の定期接種に使用されるワクチンとして採用されています
  • プレベナー20では、侵襲性肺炎球菌感染症(IPD:菌が血液や髄液に入る重症感染症)の発症を25%、肺炎を15%減らすことが示されています[Lancet Infect Dis. 2026.]

キャップバックス(PCV21)

  • 21種類の肺炎球菌の型に対応する結合型ワクチンです
  • 2025年10月に日本で成人向けに発売が開始された比較的新しいワクチンです
  • 現時点では任意接種(自費)です
  • 臨床試験では、プレベナー20と共通する10の型について同等の免疫の反応が確認され、キャップバックス固有の11の型のうち10の型でより高い免疫の反応が報告されています[Lancet Infect Dis. 2024.]

ニューモバックスNP(PPSV23)

  • 23種類の肺炎球菌の型に対応する多糖体ワクチンです
  • 長年にわたり高齢者の定期接種に使用されてきましたが、2026年3月末をもって定期接種での使用は終了しています
  • 日本からの報告では、高齢者の肺炎による入院を26%減らす効果が報告されています[Clin Microbiol Infect. 2023.]
  • 体が免疫を長く覚えにくく、効果は3〜5年で低下する傾向があるとされています

どのワクチンを選べばいい?

どのワクチンが適しているかは、年齢・接種歴・持病によって異なります。以下のポイントを踏まえて、かかりつけ医へのご相談をご検討ください。

  • 年齢:65歳の方は定期接種(PCV20)の対象となる場合があります
  • 過去の接種歴:過去にニューモバックスNPやプレベナー13などを接種したことがある場合、次に接種するワクチンの選択肢が変わります
  • 持病の有無:慢性疾患や免疫機能の低下がある方は、接種の優先度が高いとされています

ご注意:過去にニューモバックスを接種した方も、前回の接種から1年以上の間隔をあけることで、より効果が長続きしやすい結合型ワクチン(PCV20・PCV21)を追加接種することが可能です[肺炎球菌ワクチン接種に関する考え方 第8版. 2026.]。

最終的にどのワクチンが適切かは、ご自身の年齢・接種歴・健康状態を踏まえて判断する必要があります。かかりつけ医や接種を行っている医療機関へのご相談をご検討ください。


よくある疑問

Q.対応する型の数が多い方がよいワクチンですか?

一概にそうとは言えません。対応する型の数だけでなく、ワクチンのタイプ(効果が長続きしやすい結合型か、数年で弱まりやすい多糖体か)や、日本で実際に流行している型をどれだけカバーしているかも重要な要素です。3種類のワクチンにはそれぞれ異なる特徴があり、どれが適しているかは個人の状況によって異なります。

Q.定期接種と任意接種は何が違いますか?

定期接種は国が推奨し自治体が実施するもので、対象者は公費助成を受けられます(自己負担は自治体によって異なります)。任意接種は自己判断で受けるもので、費用は全額自費となります。定期接種・任意接種ともに、ワクチンとしての効果に違いはありません。費用や対象者の詳細については、関連記事「成人の肺炎球菌ワクチンの費用と対象|定期接種・任意接種の違い」もあわせてご覧ください。

Q.一度接種すれば一生有効ですか?

いいえ、一生有効ではありません。結合型ワクチン(PCV20・PCV21)の効果持続期間は約5年程度と推定されています[肺炎球菌ワクチン接種に関する考え方 第8版. 2026.]。ただし、再接種に関する安全性や有効性のデータは現在収集中であり、今後の研究結果により推奨が更新される可能性があります。


まとめ

  • 成人の肺炎球菌ワクチンには、プレベナー20(PCV20)・キャップバックス(PCV21)・ニューモバックスNP(PPSV23)の3種類があります
  • プレベナー20とキャップバックスは「結合型」で効果が長続きしやすく、ニューモバックスNPは「多糖体」で数年で効果が弱まりやすいという違いがあります
  • 2026年4月からの定期接種にはプレベナー20が採用されており、キャップバックスは任意接種です
  • どのワクチンが適しているかは、年齢・接種歴・持病によって異なります
  • どのワクチンを接種するかは、かかりつけ医や医療機関へのご相談をご検討ください

出典

日本感染症学会・日本呼吸器学会・日本ワクチン学会「65歳以上の成人に対する肺炎球菌ワクチン接種に関する考え方(第8版 一部修正)」(2026年6月15日)

Miles AC, et al. "Real-world effectiveness of 20-valent pneumococcal conjugate vaccine among adults ≥65 years of age in the United States: a retrospective cohort study." Lancet Infect Dis. 2026.

Platt HL, et al. "A Phase 3 Trial of Safety, Tolerability, and Immunogenicity of V116, a 21-Valent Pneumococcal Conjugate Vaccine, in Pneumococcal Vaccine-Naive Adults." Lancet Infect Dis. 2024; 24(10):1141-1150.(STRIDE-3試験)

Yamana H, et al. "Effect of the 23-valent pneumococcal polysaccharide vaccine on the incidence of hospitalization with pneumonia in adults aged ≥65 years." Clin Microbiol Infect. 2023; 29(7):904-910.

CDC. "Use of 21-Valent Pneumococcal Conjugate Vaccine Among U.S. Adults: Recommendations of the ACIP." MMWR. 2024; 73(36).

本記事は 2026年6月25日 の情報に基づいて作成されています。最新の情報は各出典元でご確認ください

※ この記事は医療情報の提供を目的としており、医学的アドバイス、診断、治療を目的としたものではありません。症状や治療については、医師へのご相談をご検討ください。


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