糖尿病黄斑浮腫で見え方はどうなる?糖尿病黄斑浮腫と症状の関連性をAIで無料でチェック
監修医師山口 知暁東北大学病院 眼科
- 更新日
- 2026/10/27
- 公開日
- 2022/08/10
糖尿病黄斑浮腫とは
糖尿病により血液の流れが悪くなり、毛細血管が詰まったり、血管に瘤(こぶ)などができたりすることで、血液中の成分がしみ出しむくみが起こります。糖尿病黄斑浮腫では、網膜の中心部にあたり、もっとも解像度の高い「黄斑」という場所で血液の滲み出しやむくみが起こることで、霞む・歪む・解像度が落ちる原因となり、ものが見えづらくなります。
「糖尿病黄斑浮腫」とはどのような病気ですか?
糖尿病で黄斑にむくみが生じ視力が低下します。
糖尿病黄斑浮腫は、糖尿病によって網膜の血管が傷み、視野の中心を見る役割のある黄斑部に液体が漏れ出して、むくみ(浮腫)が生じる病気です。
黄斑は物を見る中心の部分であり、ここが腫れることで視界がぼやけたり、ゆがんで見えたり、視力が低下したりします。糖尿病網膜症の合併症として発生しやすく、糖尿病歴が長い人や血糖コントロールが不良な人に多くみられます。
治療には抗血管新生薬の硝子体注射、レーザー治療、ステロイド薬の注射などがあります。
糖尿病黄斑浮腫の症状
糖尿病黄斑浮腫には初期症状はありますか?
初期は自覚症状が乏しく気づきにくいです。
糖尿病黄斑浮腫の初期には、ほとんど自覚症状がない場合が多く、病気が進行してから視力の低下や物のゆがみといった症状に気づくことがよくあります。特に片眼のみに発症している場合、もう一方の目が補ってしまうため異常に気づきにくくなります。
早期には軽いかすみや、視界の一部がぼやける程度であることが多く、放置すると不可逆的な視力障害に至る可能性があります。そのため、糖尿病患者さんは自覚症状がなくても定期的な眼科検診が重要です。
糖尿病黄斑浮腫ではどのような症状がありますか?
視力低下や物がゆがんで見える症状が出ます。
糖尿病黄斑浮腫では、視力の中心である黄斑にむくみが生じるため、視力低下が主な症状として現れます。特に「物がかすんで見える」「真ん中だけぼやける」「線が波打って見える」といった中心視野の異常が特徴です。
進行すると日常生活に支障が出るほど視力が落ちることもありますが、進行が緩徐であり初期には気づきにくいこともあります。両眼で見ていると異常に気づかない場合もあるため、定期的な片眼ずつの視力確認が大切です。
糖尿病黄斑浮腫の原因
糖尿病黄斑浮腫の原因は何がありますか?
血糖管理不良により網膜血管が障害されることです。
糖尿病黄斑浮腫の主な原因は、長期間にわたる高血糖によって網膜の毛細血管が障害され、血液成分が漏れ出すことです。これにより網膜内に液体が溜まり、特に視力の中心である黄斑部に浮腫が生じます。
高血圧などの内科の合併症も、血管透過性を悪化させ、発症リスクを高めます。また、糖尿病網膜症が進行する過程で、新生血管や毛細血管瘤の形成が見られることも浮腫の一因となります。
血糖コントロールの不良が最も大きな原因ですので、内科の治療もしっかりと行うことが大切です。
糖尿病黄斑浮腫の検査・診断
糖尿病黄斑浮腫のセルフチェックはできますか?
解説欄のチェック項目をご確認いただくか、症状検索エンジン「ユビー」で質問に答えるだけでセルフチェックもできます。
症状が軽いことが多く、セルフチェックは困難です。糖尿病黄斑浮腫になりやすい人の特徴に、以下が挙げられます。
- 糖尿病の数値が悪い期間が長かった方
- 眼科診察を最近受けていない方
この病気は、目の奥にある「黄斑(おうはん)」という部分にむくみが起きて、見えにくくなる状態です。ただし、初期には自覚症状がほとんどないことも多く、自分で気づくのは難しいです。
また、症状検索エンジン「ユビー」で質問に沿って回答を進めるだけで、糖尿病黄斑浮腫かどうかのセルフチェックができます。ぜひご活用ください。
糖尿病黄斑浮腫の診断方法はどのようなものですか?
眼底検査やOCTで黄斑のむくみを確認します。
糖尿病黄斑浮腫の診断には、視力検査などの一般的な検査のほかに、眼底検査で網膜や黄斑の状態を観察します。
さらに、光干渉断層計(OCT)という画像検査を用いて、網膜の断層画像を詳細に確認し、黄斑にどの程度の浮腫があるかを正確に評価します。複数の画像の撮り方を組み合わせて診断を行うことが多いです。
また、必要に応じて、蛍光眼底造影を行い、血管からの漏れや循環不良の有無を調べることもあります。これらの検査を通じて、黄斑浮腫の有無や治療の効果判定まで行うことができます。
糖尿病黄斑浮腫の治療・対処法
糖尿病黄斑浮腫への対処法は?
糖尿病黄斑浮腫の治療には、薬、レーザー治療、硝子体手術などがあります。早い方では2週間ほどで、視力が改善します。また、原疾患である糖尿病の治療をしっかり行うことも大切です。よりよい血糖コントロールを維持することで、糖尿病黄斑浮腫の治療にも繋がります。
糖尿病黄斑浮腫で手術を行うことはありますか?
一部の症例では硝子体手術を行います。
糖尿病黄斑浮腫の治療は主に注射やレーザーですが、薬剤で効果が得られない場合や、硝子体出血・網膜前膜・牽引(網膜を引っ張る力)などが合併している場合には、硝子体手術が検討されます。
手術によって牽引を解除したり、混濁を除去したりすることで、黄斑のむくみを改善し、視力回復を目指します。
ただし、すべての糖尿病黄斑浮腫に手術が必要なわけではなく、多くは注射治療が基本です。
手術適応は限られたケースであり、眼科医による詳細な評価と判断が重要です。
糖尿病黄斑浮腫は完治しますか?
完治は難しく、長期管理が必要なことが多いです。
糖尿病黄斑浮腫は一時的に改善しても、再発することが多く、完全に治る(完治する)というより「うまくコントロールしていく」病気です。
抗VEGF薬の注射やレーザー治療によって視力が回復することはありますが、糖尿病そのものの影響が続く限り、再発のリスクは常に存在します。
また、治療効果には個人差があり、長期間にわたって定期的な検査と治療を続ける必要があります。
完治よりも、「視力をできるだけ保ち、生活の質を維持する」ことが目標となる病気です。
糖尿病黄斑浮腫の治療で目に注射をすることはありますか?
抗VEGF薬の注射を目に行います。
糖尿病黄斑浮腫の主な治療法の一つが、抗VEGF薬の硝子体注射です。
これは目の奥の黄斑部に起きたむくみを抑えるため、目の中(硝子体)に直接薬を注射します。
使用される薬は、血管の異常な透過性を抑えることで浮腫を軽減し、視力の改善が期待できます。
注射は通常、外来で点眼麻酔のもとに行われ、痛みは最小限です。
効果を維持するには複数回の注射が必要なことが多く、長期にわたる通院治療になりますが、視力を極力落とさないために非常に有効な手段です。
糖尿病黄斑浮腫の場合、主にどのような治療をしますか?
注射やレーザーで黄斑のむくみを抑えます。
糖尿病黄斑浮腫の治療は、主に黄斑部のむくみを軽減し視力を守ることを目的とします。
第一選択は抗血管新生薬の硝子体内注射で、漏れを引き起こす血管の異常な働きを抑えることで浮腫を改善します。これに反応しにくい場合は、ステロイド薬の注射を使用することもあります。
また、漏出点を封じる網膜光凝固術(レーザー治療)も有効です。場合によってはこれらを併用することもあります。眼科の治療に加えて、血糖・血圧・脂質などの全身状態のコントロールも非常に重要です。
受診の目安・何科を受診するべきか
糖尿病黄斑浮腫が疑われる場合、病院を受診する目安はありますか?
視力の低下や見え方の異常を感じたら受診しましょう。糖尿病患者さんは症状がなくても定期的な眼科診察を受けましょう。
糖尿病黄斑浮腫が疑われる場合、視力が落ちた、物がかすんで見える、線がゆがんで見えるなどの見え方の異常を感じたときには速やかな眼科の受診が必要です。特に片眼のみの異常は気づきにくいため、日常的に片目ずつ視力を確認することが大切です。
また、糖尿病を患っている人は、自覚症状がなくても発症することがあるため、年1回以上の定期的な眼科検診が推奨されます。
見え方に少しでも違和感があれば、早期発見・治療のため早めに眼科受診を検討しましょう。症状がなくても定期的に眼科を受診しましょう。
糖尿病黄斑浮腫が疑われる場合、何科を受診したらよいですか?
眼科を早めに受診し精密検査を受けましょう。
糖尿病黄斑浮腫が疑われる場合は、できるだけ早く眼科を受診することが重要です。視力低下や見え方のゆがみなどの症状がある場合は、眼底検査や光干渉断層計などの精密検査が必要になります。
糖尿病黄斑浮腫では、初期の症状を自覚することが少ないため、糖尿病を治療中の方は、自覚症状がなくても眼科での定期的なチェックが推奨されています。これによって糖尿病網膜症や黄斑浮腫の早期発見が可能になっています。
眼科の定期的な診察を受けていない場合には、一度内科のかかりつけの先生と相談するとよいでしょう。
糖尿病黄斑浮腫の専門医がいる近くの病院はありますか?
糖尿病黄斑浮腫の専門医がいる病院を見る糖尿病黄斑浮腫の薬
ブロルシズマブ(遺伝子組換え)(ベオビュⓇ)には、どのような効果がありますか?
眼内の過剰な血管の増殖や水分の漏れを抑え、加齢黄斑変性や糖尿病に伴う目の病気の視力低下を改善します。
ブロルシズマブ(遺伝子組換え)(ベオビュⓇ)は、「VEGF(血管内皮増殖因子)阻害剤」と呼ばれる眼科用の注射薬です。 主に以下の病気の治療に使われます。
これらの病気では、目の中で「VEGF」という物質が過剰に作られ、不要な新しい血管ができたり、血管から水分が漏れ出して黄斑(ものを見るための重要な部分)がむくんだりします。その結果、視力が低下したり、ものがゆがんで見えたりします。 このお薬は、VEGFの働きを直接邪魔することで、新しい血管の発生や水分の漏れを抑え込み、視力を維持したり改善したりする効果があります。
参考文献
.“ベオビュⓇ 添付文書 2025年11月改訂”..https://www.pmda.go.jp/PmdaSearch/iyakuDetail/ResultDataSetPDF/3002421319406G10241_06,(参照 2026-06-17).
.“ベオビュⓇ 患者向医薬品ガイド 2025 年 11月更新”..https://www.info.pmda.go.jp/downfiles/ph/GUI/3002421319406G10241_00G.pdf,(参照 2026-06-17).
.“ベオビュⓇ 医薬品インタビューフォーム 2025年11月改訂”..https://www.info.pmda.go.jp/go/interview/1/300242_1319406G1024_1_BEO_1F.pdf,(参照 2026-06-17).
ブロルシズマブ(遺伝子組換え)(ベオビュⓇ)には、飲み合わせてはいけないもの(禁忌)はありますか?
現在のところ、他の薬と一緒に使用することが完全に禁止されているもの(併用禁忌)は設定されていません。
現在のところ、ブロルシズマブ(遺伝子組換え)(ベオビュⓇ)と併用禁忌のお薬は設定されていません。また、併用注意のお薬についても、特に設定されていません。
しかし、どんなお薬でも飲み合わせによって予期せぬ影響が出る可能性はあります。特にこのお薬は目に直接注射するため、安全性を確保することが大切です。 他にお薬をもらっている場合や、新しく市販薬やサプリメントを使い始める場合は、念のため必ず事前に医師や薬剤師に伝えてください。
参考文献
.“ベオビュⓇ 添付文書 2025年11月改訂”..https://www.pmda.go.jp/PmdaSearch/iyakuDetail/ResultDataSetPDF/3002421319406G10241_06,(参照 2026-06-17).
.“ベオビュⓇ 患者向医薬品ガイド 2025 年 11月更新”..https://www.info.pmda.go.jp/downfiles/ph/GUI/3002421319406G10241_00G.pdf,(参照 2026-06-17).
.“ベオビュⓇ 医薬品インタビューフォーム 2025年11月改訂”..https://www.info.pmda.go.jp/go/interview/1/300242_1319406G1024_1_BEO_1F.pdf,(参照 2026-06-17).
ブロルシズマブ(遺伝子組換え)(ベオビュⓇ)では、どのような副作用がみられますか?
結膜出血や眼痛などのほか、重大な副作用として眼の障害などがあらわれます。
ブロルシズマブ(遺伝子組換え)(ベオビュⓇ)では、比較的よくみられる副作用として、結膜出血(白目が赤くなる)、眼痛(目の痛み)、硝子体浮遊物(目の前にゴミのようなものが飛んで見える)などが報告されています。重い副作用として眼の障害などが挙げられていますので、以下の症状に特に注意してください。
【重大な副作用】
・ 眼障害
目の痛み、視力の低下、まぶしい、視界に黒幕が見えるなどの症状が見られます。
・動脈血栓塞栓症
激しい胸や手足の痛み、息切れ、意識の低下や消失、まひなどの症状が見られます。
【その他報告されている副作用(頻度:1~5%未満のもの)】
・結膜出血、眼痛、硝子体浮遊物、眼圧上昇、硝子体剥離
参考文献
.“ベオビュⓇ 添付文書 2025年11月改訂”..https://www.pmda.go.jp/PmdaSearch/iyakuDetail/ResultDataSetPDF/3002421319406G10241_06,(参照 2026-06-17).
.“ベオビュⓇ 患者向医薬品ガイド 2025 年 11月更新”..https://www.info.pmda.go.jp/downfiles/ph/GUI/3002421319406G10241_00G.pdf,(参照 2026-06-17).
.“ベオビュⓇ 医薬品インタビューフォーム 2025年11月改訂”..https://www.info.pmda.go.jp/go/interview/1/300242_1319406G1024_1_BEO_1F.pdf,(参照 2026-06-17).
糖尿病黄斑浮腫は主にどのような薬で治療しますか?副作用はありますか?
抗VEGF薬やステロイド薬が使われます。薬の種類によってさまざまな副作用が生じる可能性があります。
糖尿病黄斑浮腫の治療では、主に抗VEGF薬やステロイド薬が硝子体内に注射されます。
抗VEGF薬は血管からの漏れを抑える働きがあり、黄斑のむくみを改善します。抗VEGF薬では、まれに眼内炎や眼圧上昇、白内障といった副作用や、脳梗塞や心筋梗塞が起こることがあります。
一方、ステロイド薬は炎症を抑え、浮腫の改善に効果がありますが、白内障や眼圧上昇などの副作用を伴うことがあります。治療効果と副作用を慎重に見極めながら継続的に管理する必要があります。
対処法・セルフケア
糖尿病黄斑浮腫の場合、日常生活で気をつけることはありますか?
血糖管理と定期的な眼科受診が最も重要です。
糖尿病黄斑浮腫では、日常生活での血糖コントロールが最も重要です。血糖値が高い状態が続くと網膜血管へのダメージが進み、浮腫が悪化しやすくなります。
加えて、高血圧や脂質異常症などの他の内科疾患がある場合はそれらの管理も必要です。喫煙や過度の飲酒は控えるなど、生活習慣に気をつけましょう。
また、症状がなくても眼科での定期検査を受けることで、早期発見と治療が可能になります。見え方に少しでも違和感があれば、すぐに眼科を受診することが大切です。
ブロルシズマブ(遺伝子組換え)(ベオビュⓇ)注射後の過ごし方を教えてください。
注射後は一時的に目が見えにくくなることがあるため、回復するまで車の運転や機械の操作は避けてください
ブロルシズマブ(遺伝子組換え)(ベオビュⓇ)を目に注射した後の過ごし方として、以下の点に注意してください。
お薬を注射した後は、一時的に文字や形が見えにくくなったり、視野に異常があらわれたりすることがあります。そのため、目の見え方が十分に元の状態に回復するまでの間は、危険を伴う機械の操作や、自動車などの運転は絶対にしないでください。
また、注射部位の感染を防ぐために、お薬を注射する前に抗菌剤の目薬を使うよう指示されることがあります。その場合は、必ず医師の指示通りに目薬を使用してください。
注射後に目の痛み、目の異物感、見え方の急激な悪化などを感じた場合は、重い副作用(感染症や炎症など)のサインかもしれないため、ただちに医師に連絡してください。
参考文献
.“ベオビュⓇ 添付文書 2025年11月改訂”..https://www.pmda.go.jp/PmdaSearch/iyakuDetail/ResultDataSetPDF/3002421319406G10241_06,(参照 2026-06-17).
.“ベオビュⓇ 患者向医薬品ガイド 2025 年 11月更新”..https://www.info.pmda.go.jp/downfiles/ph/GUI/3002421319406G10241_00G.pdf,(参照 2026-06-17).
.“ベオビュⓇ 医薬品インタビューフォーム 2025年11月改訂”..https://www.info.pmda.go.jp/go/interview/1/300242_1319406G1024_1_BEO_1F.pdf,(参照 2026-06-17).
糖尿病黄斑浮腫で薬が効かない場合、どうしたらよいですか?
他の薬やレーザー、手術などを検討します。
糖尿病黄斑浮腫で薬の効果が不十分な場合は、治療の変更や追加が検討されます。現在は複数の抗VEGF薬が承認されているため、薬が効かなければ他の種類の薬を試すことがあります。
抗VEGF薬に反応しない場合には、ステロイド薬への切り替えや併用が行われることがあります。さらに、黄斑周囲に液漏れが確認される場合には、網膜光凝固術(レーザー治療)で漏れを抑える処置が行われます。
難治性の場合には、硝子体手術を検討することもあります。薬が効かないからといって諦めず、個々の病態に応じた治療戦略を立てることが大切です。
糖尿病黄斑浮腫に関連するその他の質問
糖尿病黄斑浮腫の場合、見え方はどうなりますか?
視界の中心がぼやけたり、ゆがんで見えます。
糖尿病黄斑浮腫では、網膜の中心にある黄斑がむくみ、視力に影響します。
特に中心視力が低下し、物がはっきり見えなくなったり、直線が波打って見えるなどの「ゆがみ」が出ます。
進行すると文字が読みにくくなったり、人の顔の判別が難しくなることもあります。
視野の周辺よりも比較的中心に近い部分がぼやけることが多く、視界のかすみや色の感覚が鈍くなる場合もあります。
初期は自覚症状が少なく、気づかぬうちに進行するため、糖尿病患者は定期的な眼科検診が重要です。
糖尿病黄斑浮腫にはどのような目薬を使いますか?
点眼は補助的で、注射治療が主な方法です。
糖尿病黄斑浮腫の治療では、目薬(点眼薬)はあまり主役にはなりません。
状況によってはステロイド系や非ステロイド系の抗炎症点眼薬が使われることもありますが、その効果は限定的で、むくみ(浮腫)を大きく改善することは難しいとされています。
現在の標準治療は、抗VEGF薬の硝子体注射で、これにより黄斑の腫れを効果的に抑えることができます。
点眼薬は軽症例や注射治療後の補助的な使い方にとどまることが多く、基本的には注射治療が中心となるのが実情です。
糖尿病黄斑浮腫と嚢胞様黄斑浮腫の違いを教えてください。
糖尿病黄斑浮腫は糖尿病による黄斑浮腫です。嚢胞様黄斑浮腫は黄斑浮腫の状態を表す用語です。
黄斑浮腫にはいくつかの原因があり、その一つが糖尿病性黄斑浮腫です。
これは糖尿病により網膜の血管が障害され、液体が黄斑部に漏れ出すことで起こります。
一方、嚢胞様黄斑浮腫は病名ではなく、黄斑に嚢胞のような液体のたまりができる「状態」を指します。
糖尿病性黄斑浮腫も嚢胞様の形をとることも多く、その場合には嚢胞様黄斑浮腫の一つと考えられます。
他にも、白内障手術後やぶどう膜炎、網膜静脈閉塞などさまざまな病気が原因で嚢胞様黄斑浮腫は起こります。
治療や経過が異なるため、原因に基づいた診断と対応が重要です。
ブロルシズマブ(遺伝子組換え)(ベオビュⓇ)の特徴を教えてください。
これまでの薬より分子のサイズが小さく、1回に高濃度の成分を目に届けることができる注射薬です。
ブロルシズマブ(遺伝子組換え)(ベオビュⓇ)は、遺伝子組換え技術を使って作られた新しいタイプのお薬です。 主な特徴として、以下の点が挙げられます。
分子のサイズが小さい
これまでの同じ働きをするお薬(VEGF阻害薬)に比べて成分の分子が小さいため、1回の注射で10〜20倍も高い濃度のお薬を目の中に届けることができます。
効果が長く続く
高濃度で投与できるため、病気の原因となる水分の漏れなどを速やかに抑え込み、効果が長期間続くと期待されています。これにより、病院に通って注射を受ける間隔を長くできる可能性があります。
準備が簡単
あらかじめ注射器にお薬が詰められた「プレフィルドシリンジ」という形になっており、医療現場での準備の手間が減り、より安全に治療が行えるよう工夫されています。
参考文献
.“ベオビュⓇ 添付文書 2025年11月改訂”..https://www.pmda.go.jp/PmdaSearch/iyakuDetail/ResultDataSetPDF/3002421319406G10241_06,(参照 2026-06-17).
.“ベオビュⓇ 患者向医薬品ガイド 2025 年 11月更新”..https://www.info.pmda.go.jp/downfiles/ph/GUI/3002421319406G10241_00G.pdf,(参照 2026-06-17).
.“ベオビュⓇ 医薬品インタビューフォーム 2025年11月改訂”..https://www.info.pmda.go.jp/go/interview/1/300242_1319406G1024_1_BEO_1F.pdf,(参照 2026-06-17).
糖尿病黄斑浮腫は見た目でわかりますか?
見た目ではわからず、眼科検査が必要です。
糖尿病黄斑浮腫は外見からはまったくわからず、鏡で見ても異常は確認できません。
目の奥の「黄斑」という小さな部分にむくみが生じる病気のため、自覚症状がないまま進行することも少なくありません。
視力の低下やもののゆがみなどで気づく場合もありますが、確実に診断するには眼底検査や光干渉断層計(OCT)といった専門的な検査が必要です。
糖尿病がある人は、たとえ見え方に問題がなくても、定期的な眼科検診を受けることがとても重要です。
糖尿病黄斑浮腫の患者さんはどのくらいいますか?
糖尿病黄斑浮腫の患者さんは日本には40万人程度いると考えられます。
ある研究によると、糖尿病性黄斑浮腫は糖尿病患者の約3.7%に見られると報告されています。
これは糖尿病網膜症全体の約25.7%と比べると少数ですが、視力に直接関わる病態であるため重要です。
2型糖尿病患者では年間0.4%程度が新たにDMEを発症するというデータもあり、時間とともに増加する傾向があります。
日本には、およそ1000万人の糖尿病が疑われる患者がいるとするデータがあります。
ここから計算すると、おおよそ40万人弱の患者で糖尿病黄斑浮腫が見られると考えられます。
参考文献
厚生労働省.“図表1-2-8 糖尿病患者数の状況”..https://www.mhlw.go.jp/stf/wp/hakusyo/kousei/18/backdata/01-01-02-08.html,(参照 2025-07-08).
Jeany Q Li et al.“Prevalence, incidence and future projection of diabetic eye disease in Europe: a systematic review and meta-analysis”.National Library of Medicine.https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/31515657/,(参照 2025-07-08).
糖尿病黄斑浮腫と糖尿病網膜症の違いを教えてください。
糖尿病網膜症は網膜全体の病気、黄斑浮腫は中心部のむくみです。
糖尿病網膜症は、糖尿病によって網膜の血管が徐々に障害され、出血や新生血管の形成、網膜剥離などを起こす進行性の疾患です。
一方、糖尿病黄斑浮腫はその中でも黄斑という「視力の中心部」にむくみが生じる状態で、視力低下の主な原因になります。
つまり、糖尿病黄斑浮腫は糖尿病網膜症の合併症または一部として起こることが多く、両者は密接に関連していますが、網膜症が「全体の変化」、黄斑浮腫が「中心のむくみ」という違いがあります。
治療法や視力への影響も異なります。
糖尿病黄斑浮腫による視力低下は回復しますか?
早期治療で回復の可能性はあります。
糖尿病黄斑浮腫による視力低下は、発見と治療のタイミングが重要です。
抗VEGF薬の眼内注射やレーザー治療により、むくみを軽減し視力の改善が期待できます。
特に早期に治療を開始した場合は、かなりの視力回復が見込めることもあります。
ただし、浮腫が長期間続いた場合や黄斑の細胞が損傷している場合は、視力が完全には戻らないこともあります。
また、糖尿病そのもののコントロールが不十分だと再発や悪化のリスクも高まります。
継続的な眼科フォローと血糖管理が視力回復の鍵です。
糖尿病黄斑浮腫は治るのでしょうか?
完治は難しいですが治療で改善は可能です。
糖尿病黄斑浮腫は、完全に治ることは難しい疾患ですが、適切な治療と血糖管理によって症状をコントロールし、視力を改善・安定させることは十分に可能です。
抗VEGF薬やステロイド薬の注射、レーザー治療などで黄斑のむくみを抑えることができ、視機能を保つことが目的となります。
ただし、治療効果には個人差があり、長期的な管理が必要です。再発することもあるため、薬の投与を繰り返す必要のあることも多いです。定期的な眼科通院と治療が不可欠です。
糖尿病黄斑浮腫に関連する病気・症状
この記事の監修医師
山口 知暁 先生
東北大学病院 眼科
【経歴】 金沢桜丘高校卒業 金沢医科大学卒業 東北大学卒後研修センター 臨床研修 東北大学病院 眼科
- 更新日
- 2026/10/27
- 公開日
- 2022/08/10