見えないものが見えるのは病気?実在しないものが見えたり聞こえたりする
監修医師阿部 吉倫内科
- 更新日
- 2026/10/27
- 公開日
- 2021/01/18
概要
幻覚があるとは、実在しない音声・映像・感覚などを知覚する状態です。統合失調症では幻聴(他人の声が聞こえる)が最も多く、レビー小体型認知症では鮮明な幻視(小動物や人物が見える)が特徴的です。せん妄では急性の意識変容に伴い幻覚が出現し、薬物やアルコール離脱でも起きることがあります。幻覚が持続する場合は、精神科での評価を検討してください。
幻覚とは
「幻覚」とはどのような症状ですか?
実際にないものをあると感じることで、聴覚に起こると幻聴、視覚に起こると幻視と呼ばれます。
「幻覚」とは「対象なき知覚」と定義されます。現実には対象が存在しないにもかかわらず、本当に存在して知覚できるものと区別ができない体験を指します。さまざまな感覚で起こりうるため、どの感覚の幻覚かにより、幻聴、幻視、幻味、幻嗅、幻触、体感幻覚などがあります。
統合失調症やレビー小体型認知症などの病気の症状として現れることもあれば、病気でなくても一過性に経験することもあります。
身体の病気でも精神の病気でも起こることもありますので、脳神経内科や精神科への受診を検討しましょう。
幻覚の原因
幻覚の原因や考えられる病気には何がありますか?
認知症など脳や神経の病気、統合失調症など精神科の病気などがあります。
幻覚の原因としては、意識障害、脳や神経の病気、統合失調症、双極症、うつ病、中毒によるものなどがあります。
統合失調症では幻聴がみられることがありますが、耳からというよりも頭に聴こえるという体験をすることもあるようです。
幻視は、せん妄やレビー小体型認知症、アルコール症などでみられることが多いとされています。
病気でなくても、大きなストレスがかかった時や寝入りばななどに、一時的に幻覚を体験することはあります。
幻覚はストレスが原因で起こりますか?
幻覚は、ストレスが原因で起こることがあります。
幻覚はストレスが原因で起こることがあります。たとえば、強いストレス下に置かれたときに、幻聴や幻視を経験する人がいます。ストレスが原因で起こる幻覚は、原因となったストレスが取り除かれるとよくなることが多いでしょう。
ストレスに伴う一過性の幻覚であれば、大きな心配はいらないこともありますが、ストレスが少ない状況下でも幻覚が続く、繰り返し幻覚が起きる、意識の変容や記憶の障害、妄想など、幻覚以外の症状がある場合は、速やかに医療機関を受診しましょう。
受診の目安・何科を受診するべきか
幻覚の場合、何科を受診したらよいですか?また、病院を受診する目安はありますか?
脳神経内科や精神科を受診しましょう。幻覚以外の症状もある場合は、早めの受診をおすすめします。
幻覚の場合は、脳神経内科や精神科を受診しましょう。精神科の病気で幻覚がみられることは多いのですが、身体の病気による幻覚を鑑別するために、血液検査や画像検査などが必要になることがあります。急に起こった幻覚、発熱や興奮など、ほかの症状も伴う場合は、救急受診も検討しましょう。
可能であれば、精神科のある総合病院への受診が最も望ましいですが、お近くにない場合やすぐの受診が難しい場合は、まずは身体の検査を優先させ、問題がなければ精神科への受診を検討しましょう。
検査・診断
幻覚のセルフチェックはできますか?
解説欄のチェック項目をご確認いただくか、症状検索エンジン「ユビー」で質問に答えるだけでセルフチェックもできます。
幻覚はセルフチェックで病気の診断ができるものではありませんので、あくまでも目安として用い、当てはまる項目があれば医療機関で相談しましょう。
- ないものが見える
- 何も音がしていないのに、音や声が聞こえる
- 水の流れる音などに伴って、人の声が聞こえる
- 頭の中で声が聞こえる
- 2人以上の人物が自分のことを話し合っている声が聞こえる
- 自分の考えや行動を批判する声が聞こえる
- 実際にない匂いを感じる
- 実際にない味を感じる
- 体の内部に、説明できない感覚を体験する(例:内臓が針で刺される)
- 睡眠に入りかけるときや起きがけに、実際にない音を聞いたり物を見たりする
また、症状検索エンジン「ユビー」で質問に沿って回答を進めるだけで、幻覚かどうかのセルフチェックができます。ぜひご活用ください。
幻覚の治療
幻覚の治療や予防方法には何がありますか?
原因がわかればそれに対する治療をします。治療や予防のためには向精神薬が用いられることがあります。
幻覚の治療や予防方法としては、原因がある幻覚に対しては、原因を取り除くことです。たとえば、アルコール使用障害による幻覚であれば、お酒を避けることが大切です。それだけではよくならない場合で、生活に支障が出ているときは、抗精神病薬による薬物療法が行われることもあります。
また、統合失調症などの精神科の病気の症状として幻覚が起こる場合は、向精神薬等による治療が行われることもあります。治療は幻覚に対してのみではなく、疾病に対して行われます。
幻覚に関連するその他の質問
幻聴と幻覚の違いはなんですか?
幻聴は、幻覚のひとつです。幻覚は幻聴以外にも幻視や幻味など、ほかの感覚に現れることもあります。
幻聴は、幻覚のひとつです。実際には存在しない音が聞こえるという体験をします。幻聴は人の声の場合と、音楽や雑音など人の声以外の場合とがあります。
幻覚は、幻聴よりも広い概念で、何もないのに見える幻視や、匂いがしないのに匂いを感じる幻嗅なども幻覚のひとつです。
あるひとつの幻覚だけが現れる病態もあれば、幻聴と幻視のように、複数の幻覚が起こるご病気もあります。気になる場合は医療機関での相談をおすすめします。
幻覚と妄想の違いについて教えてください。
幻覚と妄想の違いは、幻覚は感覚の問題、妄想は思考の障害だということです。
幻覚と妄想の違いは、幻覚は感覚の問題、妄想は思考の障害だということです。ただ、精神のご病気においては、幻覚と妄想の区別が明瞭ではないこともあります。
また、幻覚と妄想の両方がみられる場合でも、常に関係が一致しているわけではありません。たとえば「お前を殺す」という幻聴があっても、それが幻聴であり真実ではないと判断できている場合もあれば、被害妄想に結び付く場合もあります。
統合失調症では、幻覚の中でも幻聴を伴うことが多く、妄想としては被害妄想や誇大妄想などがみられます。アルコールなどの物質に関連したご病気でも、幻聴や幻視、被害妄想など、両方の症状がみられることがあります。幻覚や妄想がみられる場合は、早めに医療機関で相談しましょう。
幻覚について、医師からのよくある質問
医師からよくある質問はありますか?
「実在しないものが見えたり聞こえたりする」について医師からよくある質問の例として次のようなものがあります。
- 意識を一時失いましたか?
- 頭痛がありますか?あるいは頭が重いですか?
- 体温は37.5℃以上ですか?
- 手足などに力の入らない部分はありますか?
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この記事の監修医師
阿部 吉倫
内科
2015年東京大学医学部医学科卒。東京大学医学部付属病院、東京都健康長寿医療センターで初期研修を修了。血便を放置し48歳で亡くなった患者との出会いをきっかけにデータサイエンスの世界へ。2017年5月にUbie株式会社を共同創業。2019年12月より日本救急医学会救急AI研究活性化特別委員会委員。2020年 Forbes 30 Under 30 Asia Healthcare & Science部門選出。
- 更新日
- 2026/10/27
- 公開日
- 2021/01/18