

監修者無所属 薬剤師
紫外線吸収剤は有機系、紫外線散乱剤は無機系の成分で、それぞれ紫外線を防ぐ仕組みや肌への刺激性が異なります。肌質や使用シーンに合わせて成分を選ぶことが効果的なUVケアにつながります。
食事や市販のケアで届かないと感じたときは、医師に相談して処方を受けるという選択肢もあります。
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紫外線吸収剤と紫外線散乱剤はどんな仕組みで紫外線を防ぐの?
日焼け止めに含まれる紫外線防御成分は、大きく「紫外線吸収剤(有機系フィルター)」と「紫外線散乱剤(無機系フィルター)」の2種類に分かれます。
紫外線吸収剤は、紫外線のエネルギーを吸収し、熱などの別のエネルギーに変換することで肌への影響を防ぎます[J Clin Aesthet Dermatol. 2013;6(1):16-26.]。一方、紫外線散乱剤は酸化チタンや酸化亜鉛などの無機系成分で構成されています。従来、散乱剤は紫外線を「反射・散乱する」と説明されてきましたが、実際には紫外線を吸収する働きが防御の大部分を担っていることがわかっています。紫外線の反射率はUV領域全体で平均4〜5%にとどまり、防御の主な仕組みは成分自体による紫外線の吸収です[Photodermatol Photoimmunol Photomed. 2016;32(1):5-10.]。
このように、名前は「散乱剤」ですが、実際の働きは吸収剤と共通する部分があります。ただし、成分の化学的な性質や肌への影響は異なるため、目的に応じた使い分けが重要です。
紫外線散乱剤の酸化チタンと酸化亜鉛にはどんな違いがある?
紫外線散乱剤に使われる代表的な成分は酸化チタンと酸化亜鉛の2つですが、それぞれ得意とする紫外線の波長域が異なります。微粒子の酸化チタンは紫外線B波(UVB)の遮蔽に優れ、微粒子の酸化亜鉛は紫外線A波(UVA)の遮蔽に有効とされています[日本化粧品技術者会誌. 2021;55(2):129-135.]。UVBは日焼けによる肌の赤みや炎症の主な原因とされ、UVAは肌の奥まで届くといわれています[J Clin Aesthet Dermatol. 2013;6(1):16-26.]。そのため、多くの日焼け止めでは両方の成分を組み合わせて幅広い紫外線を防御しています。
また、散乱剤にはナノ粒子(非常に小さな粒子)にしたタイプもあります。ナノ粒子化により塗ったときの白浮きが軽減され使いやすくなります。ナノ粒子は肌の表面(角質層)にとどまり、健康な皮膚では奥の層まで入り込みにくいことが報告されています[Nanotechnol Sci Appl. 2011;4:95-112.]。こうした特徴を踏まえると、紫外線散乱剤を使った日焼け止めでは、酸化チタンと酸化亜鉛の両方が配合された製品を選ぶことで、UVBとUVAの両方をバランスよく防御できると考えられます。
敏感肌の人は日焼け止めの成分をどう選べばいい?
紫外線吸収剤はまれに肌にかぶれ(接触皮膚炎)を起こすことがあるとされています[環境省. 紫外線環境保健マニュアル2020.]。肌が敏感な方には、紫外線散乱剤のみで作られた「ノンケミカル」タイプの日焼け止めが推奨されています[日本皮膚科学会. 皮膚科Q&A「日焼け」Q11.]。ノンケミカルタイプとは、有機系の紫外線吸収剤を使わず、酸化チタンや酸化亜鉛などの無機系成分だけで紫外線を防ぐ製品のことです。パッケージに「紫外線吸収剤フリー」「ノンケミカル」と表記されていることが多いため、成分表示を確認すると選びやすくなります。
一方、紫外線吸収剤はUVBの吸収に優れ、軽い使用感の製品が多いという特徴があります。ただし、UVA防御に効果的な吸収剤は種類が限られるとされています[日本皮膚科学会. 皮膚科Q&A「日焼け」Q11.]。肌にかぶれなどの不調が出ていない方であれば、吸収剤と散乱剤の両方を組み合わせた製品も選択肢のひとつです。肌トラブルが気になる場合は、目立たない部分で少量を試してから使うのもひとつの方法です。
日焼け止めのSPF・PAの数値はどう選ぶのが効果的?
日焼け止めにはSPFとPAという2つの指標が表示されています。SPFはUVBを防ぐ効果の目安を数値で示したもの、PAはUVAを防ぐ効果の目安を「+」の数で示したものです[J Clin Aesthet Dermatol. 2013;6(1):16-26.]。
ただし、注意すべき点があります。SPFやPAの数値は、1平方センチメートルあたり2mgという量を塗ってテストされた結果です。実際の使用では、これより少ない量(研究では概ね0.5〜1.5mg/cm²程度と報告されている)しか塗れていないことが多く、表示値通りの効果が出ない場合があります[Petersen B, Wulf HC. Photodermatol Photoimmunol Photomed. 2014;30(2-3):96-101.]。そのため、こまめな塗り直しが大切です。
日常的な買い物や通勤ではSPFやPAが低めの製品でも対応できますが、長時間の屋外活動やレジャーではSPFやPAが高めの製品を選ぶことが推奨されています[環境省. 紫外線環境保健マニュアル2020.]。使用シーンに合わせてSPFとPAの数値を選び分けることが、効果的なUVケアにつながります。
日焼け止め成分を選ぶうえで日常生活の工夫として検討が推奨される点

ここだけは伝えたいメッセージ
日焼け止めは、自分の肌質に合った成分を選び、こまめに塗り直すことが紫外線対策の基本です。成分表示を確認する習慣をつけると、自分に合った製品を見つけやすくなります。
肌にかぶれや赤み、かゆみなどの異常が出た場合は、使用を中止し、医療機関への相談をご検討ください。
まとめ:日焼け止めの紫外線吸収剤と紫外線散乱剤の選び方
- 紫外線吸収剤(有機系): 紫外線エネルギーを化学的に変換して防ぐ成分。軽い使用感だが、まれにかぶれを起こすことがある
- 紫外線散乱剤(無機系): 酸化チタンや酸化亜鉛で構成される成分。肌への刺激が少なく、敏感肌にはノンケミカルタイプが推奨される
- 酸化チタンと酸化亜鉛の違い: 酸化チタンはUVB、酸化亜鉛はUVAの遮蔽に有効。両方配合の製品でバランスよく防御できる
- SPF・PAの選び方: 使用シーンに合わせて選び分け、こまめに塗り直すことが大切
- 成分表示の確認: パッケージの「紫外線吸収剤フリー」「ノンケミカル」の表記を参考に、自分の肌質に合った製品を選ぶ
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(参考文献)
Cole C, Shyr T, Ou-Yang H. Metal oxide sunscreens protect skin by absorption, not by reflection or scattering. Photodermatol Photoimmunol Photomed. 2016;32(1):5-10.
Smijs TG, Pavel S. Titanium dioxide and zinc oxide nanoparticles in sunscreens: focus on their safety and effectiveness. Nanotechnol Sci Appl. 2011;4:95-112.
Latha MS, Martis J, Shobha V, et al. Sunscreening agents: a review. J Clin Aesthet Dermatol. 2013;6(1):16-26.
環境省. 紫外線環境保健マニュアル2020(2020年3月改訂版).https://www.env.go.jp/chemi/matsigaisen2020/matsigaisen2020.pdf,(参照 2026-08-24).
日本皮膚科学会. 皮膚科Q&A「日焼け」Q11.https://qa.dermatol.or.jp/qa2/q11.html,(参照 2026-08-24).
江尻和正. 無機系紫外線散乱剤の特徴と最新動向. 日本化粧品技術者会誌. 2021;55(2):129-135.
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