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夏の制汗剤の選び方と肌への影響を教えてください。タイプ別の特徴も知りたいです。
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夏の制汗剤の選び方と肌への影響を教えてください。タイプ別の特徴も知りたいです。

髙岡 真梨子監修者

平塚市民病院 皮膚科

髙岡 真梨子

制汗剤とデオドラントは作用の仕組みが異なるため、汗の量や肌の状態に合わせて自分に合った製品を選ぶことが大切です。

食事や市販のケアで届かないと感じたときは、医師に相談して処方を受けるという選択肢もあります。

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制汗剤とデオドラントの違い|汗を抑える仕組みとニオイを防ぐ仕組み

夏に使われる汗対策の製品には、大きく分けて「制汗剤」と「デオドラント」の2種類があります。それぞれに、作用の仕組みが異なります。

制汗剤の有効成分はアルミニウム塩です。この成分が汗腺(かんせん=汗の出口)の開口部にゲル状の栓を作り、汗の量を抑える働きがあります[Int J Cosmet Sci. 2023;45(4):426-443.]。汗に含まれるタンパク質がアルミニウムの成分と結びつき、汗の通り道に膜のような栓が作られます。この仕組みによって発汗が抑えられると報告されています[Soft Matter. 2017;13(20):3812-3821.]。

一方、デオドラントは抗菌成分によってニオイの原因となる細菌の増殖を抑える製品です[Int J Cosmet Sci. 2023;45(4):426-443.]。汗自体を減らすのではなく、汗が細菌に分解されてニオイが発生するのを防ぐ仕組みです。そのため、汗の量が気になる方は制汗剤、ニオイが気になる方はデオドラントというように、目的に応じて使い分けることが推奨されます。

制汗剤に含まれるアルミニウムの安全性|皮膚からの吸収はごくわずか

制汗剤の主な有効成分であるアルミニウム塩について、「肌から体内に吸収されるのでは」と心配される方もいるかもしれません。

健康な女性12名を対象とした研究では、制汗剤を皮膚に塗布した際のアルミニウムの経皮吸収率(皮膚を通じて体内に入る割合)は0.00052%と極めて低い値でした。さらに、血液中のアルミニウム濃度は測定できるレベルを下回っていました。アルミニウムは皮膚の外側の層にとどまり、深い層への浸透はほとんど見られなかったとされています[Toxicol Res (Camb). 2022;11(3):511-519.]。この結果は、通常の使用条件において制汗剤からのアルミニウムの体内への取り込みが非常に少ないことを示しています。

制汗剤・デオドラントと肌トラブル|香料が接触皮膚炎の主な原因

制汗剤やデオドラントを使って肌がかゆくなったり赤くなったりした経験がある方もいるかもしれません。肌トラブルの原因として特に注意が必要なのが、製品に含まれる香料(フレグランス)です。

デンマークで湿疹(しっしん=肌のかゆみ・赤みなどの症状)の患者17,716名を対象に調査が行われました。その結果、香料によるアレルギー性接触皮膚炎(アレルギー反応で起きる肌荒れ)の原因として、デオドラントが化粧品の中で最も高い割合(25%)を占めていたことが報告されています。また、男性は女性と比べてデオドラントによる香料アレルギーのリスクが高い傾向にあることも示されています[Contact Dermatitis. 2011;64(5):258-264.]。この知見を踏まえると、肌が敏感な方や過去に肌トラブルを経験した方は、無香料タイプの製品を選ぶことが肌への負担を減らすうえで有効と考えられます。

制汗剤と肌の常在菌バランス|製品の急な変更に注意

肌には多くの常在菌(じょうざいきん=もともと皮膚にいる細菌)がバランスを保って存在しています。制汗剤やデオドラントの使用は、このバランスに影響を与える可能性があります。

健康な方9名を対象に、1か月間制汗剤やデオドラントの使用を中止して脇の細菌を調べた研究があります。その結果、制汗剤の使用は脇の細菌の種類のバランスに変化をもたらし、特にニオイの原因菌の割合に影響することが確認されました。また、使用習慣を急に変えると細菌のバランスが大きく変動することも観察されています[Arch Dermatol Res. 2014;306(8):701-710.]。この結果から、制汗剤やデオドラントの種類を変える際には、急に切り替えるのではなく徐々に移行することが望ましいと考えられます。

制汗剤のタイプ別の特徴|自分の肌や用途に合わせた選び方

制汗剤やデオドラントにはスプレー・ロールオン・スティック・クリームなど、さまざまなタイプがあります。タイプごとに使い心地や塗布のしやすさに違いがありますが、タイプ間で制汗効果の優劣を示す十分な研究データは現時点では限られています[Int J Cosmet Sci. 2023;45(4):426-443.]。

一般的な傾向として、ロールオンやスティックタイプは有効成分が肌に密着しやすく、局所的に使いやすいとされています。スプレータイプは広い範囲に手軽に塗布できる点が特徴です[Int J Cosmet Sci. 2023;45(4):426-443.]。ただし、効果の感じ方には個人差があるため、自分の肌質や使用場面に合わせて選ぶことが大切です。また、近年ではアルコールフリーやパラベンフリーなど、肌への刺激を抑えた処方の製品も開発されています[Int J Cosmet Sci. 2023;45(4):426-443.]。

制汗剤選びのうえで日常生活の工夫として検討が推奨される点

制汗剤選びで日常生活の工夫として検討される点について、3つのコツと理由をまとめた表です。1つ目は「目的に合わせて制汗剤とデオドラントを使い分ける」で、汗の量を抑えたい場合は制汗剤、臭いを抑えたい場合はデオドラントを選ぶことです。理由は制汗剤とデオドラントは作用の仕組みが異なるため、目的に合った製品を選ぶことで効果を得やすくなる可能性があるためです。2つ目は「肌が敏感な方は無香料タイプを選ぶ」で、香料を含まない製品を優先的に検討することです。理由は香料はデオドラント・制汗剤による肌トラブルの主な原因の一つとされているため、肌への負担を減らせる可能性があるためです。3つ目は「製品の種類を変える際は徐々に移行する」で、急に別のタイプに切り替えず段階的に移行することです。理由は使用習慣の急な変更は肌の常在菌バランスの大きな変動を招く可能性があると報告されているためです。

特に重要とされるのは、自分の肌の状態を観察しながら製品を選ぶことと考えられています。

ここだけは伝えたいメッセージ

制汗剤やデオドラントは、夏の汗やニオイの悩みを和らげる身近なアイテムです。自分の肌質や目的に合った製品を選び、快適に夏を過ごしましょう。

汗の量が日常生活に支障をきたすほど多い場合や、制汗剤の使用後に肌の赤みやかゆみが続く場合は、医療機関への相談をご検討ください。

まとめ:夏の制汗剤選びのポイント

  • 制汗剤とデオドラントの違い: 制汗剤はアルミニウム塩が汗腺に栓を作り汗を抑える製品、デオドラントは抗菌成分でニオイの原因菌を抑える製品で、作用の仕組みが異なる
  • アルミニウムの安全性: 制汗剤からのアルミニウムの経皮吸収率は0.00052%と極めて低く、通常の使用では体内への取り込みは非常に少ないと報告されている
  • 肌トラブルへの注意: 制汗剤・デオドラントによる肌トラブルの主な原因は香料であり、肌が敏感な方は無香料タイプの選択が推奨される
  • 常在菌への影響: 制汗剤は肌の常在菌バランスに影響を与える可能性があるため、製品の種類を変える際は徐々に移行することが望ましい
  • タイプ選び: スプレー・ロールオン・スティックなどタイプ別の効果の優劣を示す十分な研究データは限られているため、自分の肌質や使用場面に合わせて選ぶことが大切

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(参考文献)

Teerasumran P, Velliou E, Bai S, Cai Q. Deodorants and antiperspirants: New trends in their active agents and testing methods. Int J Cosmet Sci. 2023;45(4):426-443.
Bretagne A, Cotot F, Arnaud-Roux M, Sztucki M, Cabane B, Galey JB. The mechanism of eccrine sweat pore plugging by aluminium salts using microfluidics combined with small angle X-ray scattering. Soft Matter. 2017;13(20):3812-3821.
Heisterberg MV, Menné T, Andersen KE, et al. Deodorants are the leading cause of allergic contact dermatitis to fragrance ingredients. Contact Dermatitis. 2011;64(5):258-264.
de Ligt R, Westerhout J, Grossouw D, et al. Assessment of dermal absorption of aluminium from a representative antiperspirant formulation using a (26Al)Al microtracer approach: a follow-up study in humans. Toxicol Res (Camb). 2022;11(3):511-519.
Callewaert C, Hutapea P, Van de Wiele T, Boon N. Deodorants and antiperspirants affect the axillary bacterial community. Arch Dermatol Res. 2014;306(8):701-710.

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