
北水会記念病院 整形外科
肉離れの復帰時期は重症度によって大きく異なり、軽度であれば1~2週間、重度では数か月かかる場合があります。
肉離れの重症度と復帰期間の目安
肉離れ(筋繊維の損傷)は、損傷の程度によって復帰までにかかる期間が大きく変わります。日本では、損傷の深さに応じて3つの段階に分ける考え方が広く用いられています。軽度の肉離れでは約1~2週間、中等度では約3~12週間、重度では16週間以上の離脱が必要になる場合があると報告されています[Rehabil Med. 2019;56(10):778-783.]。
海外のプロサッカー選手を対象とした調査でも、軽度の損傷で約8~17日、中等度で約22日、重度で約73日で復帰したというデータが示されています[Br J Sports Med. 2012;46(2):112-117.]。このように、損傷の程度を正しく把握することが、復帰時期を見通すうえで重要と考えられています。
肉離れの復帰期間に影響する要因
復帰期間は重症度だけでなく、損傷の種類によっても左右されます。筋肉の構造そのものに損傷が及んでいる場合は、軽い筋肉痛のような状態と比べて復帰までの期間が長くなることが報告されています[Br J Sports Med. 2013;47(12):769-774.]。
一方で、損傷が軽い場合は約6日で復帰できたという報告もあります[J Sports Sci. 2014;32(13):1229-1236.]。この結果は、軽い段階であれば比較的早く練習に戻れる可能性を示すものといえます。ただし、自己判断で復帰を急ぐと再発につながるおそれがあるため、医療機関で損傷の程度を確認してもらうことが大切です。
肉離れの再発リスクと予防のポイント
肉離れは再発しやすいケガとして知られています。プロサッカー選手を対象とした調査では、太もも裏の肉離れの再発率は約18%にのぼると報告されています[J Sports Sci. 2014;32(13):1229-1236.]。この数値は、一度治ったように見えても油断できないことを示しています。
また、過去に肉離れを経験したことがある場合、再発のリスクが高まることも指摘されています[J Orthop Sports Phys Ther. 2022;52(3):CPG1-CPG44.]。再発を防ぐためには、痛みが引いたあともすぐに全力で走るのではなく、段階的に運動強度を上げていくことが重要です。
サッカー復帰までの段階的な進め方
安全に復帰するためには、段階的に運動強度を上げていくプロトコルが推奨されています[J Orthop Sports Phys Ther. 2022;52(3):CPG1-CPG44.]。この考え方はサッカーへの復帰においても重要で、以下のような流れが一般的な目安とされています。
まず、痛みのない範囲でのストレッチや軽い歩行から始めます。次にジョギングへ移行し、痛みが出ないことを確認しながら徐々にスピードを上げていきます。最終的には方向転換やダッシュなどサッカー特有の動きを取り入れ、問題がなければ練習に合流するという流れです。
どの段階で次に進めるかは個人差がありますので、焦らず慎重に進めることが大切です。復帰の判断に迷う場合は、医療機関への相談をご検討ください。
肉離れからの復帰を目指すうえで日常生活の工夫として検討が推奨される点

ここだけは伝えたいメッセージ
肉離れは適切な対応をすれば、多くの場合サッカーに復帰できるケガです。焦らず段階的に体を慣らしていくことが、結果的に早く安全にピッチへ戻る近道と考えられています。
一方で、痛みが長引く場合や、同じ部位を繰り返し痛める場合は、損傷が想定より重い可能性があります。そのようなときは、医療機関への相談をご検討ください。
まとめ:肉離れの重症度別復帰期間と安全な復帰の進め方
- 軽度の肉離れ: 約1~2週間で復帰できる場合が多いと報告されています
- 中等度の肉離れ: 約3~12週間の離脱が必要になることがあります
- 重度の肉離れ: 16週間以上かかる場合があり、慎重な対応が求められます
- 再発リスク: 太もも裏の肉離れでは再発率が約18%と報告されており、復帰を急がないことが大切です
- 段階的な復帰: ストレッチ、ジョギング、ダッシュの順に負荷を上げていく進め方が推奨されています
- 判断に迷ったら: 医療機関への相談をご検討ください
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(参考文献)
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