ユビーウェルネス
サッカーで足首を捻りました。「捻挫」と「靭帯損傷」の違いと、プレーを続けていいかの判断目安を教えてください。
NEW

サッカーで足首を捻りました。「捻挫」と「靭帯損傷」の違いと、プレーを続けていいかの判断目安を教えてください。

栗原 信吾監修者

北水会記念病院 整形外科

栗原 信吾

捻挫は靭帯が伸びたり切れたりするケガの総称で、靭帯損傷と本質的には同じ状態を指します。重症度によってプレー復帰の目安は異なります。

足首の捻挫と靭帯損傷の違いとは?

捻挫」と「靭帯損傷」は別のケガだと思われがちですが、実は捻挫とは靭帯が伸びたり切れたりした状態の総称です[StatPearls. 2026 Jan-.]。つまり、捻挫=靭帯損傷であり、まったく別のケガというわけではありません。

足首の捻挫の約70%は、足首の外側にある靭帯を傷めるタイプです[StatPearls. 2026 Jan-.]。サッカーのように切り返しやジャンプの着地が多い競技では、足首が内側にひねられることで外側の靭帯に負担がかかりやすくなります。

足首の捻挫の重症度分類(I度・II度・III度)

捻挫は靭帯の傷み具合によって3段階に分けられます[StatPearls. 2026 Jan-.]。

  • I度(軽度): 靭帯が引き伸ばされた状態。痛みや腫れは軽く、回復の目安はおよそ1〜2週間程度
  • II度(中等度): 靭帯の一部が切れた状態。腫れや痛みが強く、回復にはおよそ3〜6週間かかる
  • III度(重度): 靭帯が完全に切れた状態。強い腫れや皮下出血がみられ、回復にはおよそ6〜12週間を要する

この重症度の違いが、プレーを続けてよいかどうかの判断に直結します。I度(軽度)であれば比較的早くスポーツに戻れる可能性がありますが、II度中等度以上では無理に動くとケガが悪化するおそれがあります。

足首を捻ったときの応急処置と、「安静にしすぎない」ことの重要性

足首を捻ったときの対応として、近年注目されているのが「PEACE & LOVE」と呼ばれる考え方です。これは、ケガの直後は保護・挙上・圧迫・冷却を行い、その後は段階的に体を動かしていくという方針を示したものです。完全に安静にし続けるのではなく、痛みが許す範囲で1〜3日間の保護のあとに、少しずつ負荷をかけることが推奨されています[Br J Sports Med. 2020;54(2):72-73.]。

この考え方を裏付けるように、固定だけの治療よりも、適度に動かす治療のほうがスポーツへの復帰期間が短く、腫れも軽減しやすいことが報告されています[Br J Sports Med. 2012;46(12):854-860.]。安静にしすぎると筋力や柔軟性が落ちてしまうため、適切な段階を踏んで動かすことが回復を早めるうえで重要です。

一方、III度(靭帯が完全に切れた状態)のような重い捻挫では、最大10日間程度の短期間の固定や半硬性ブレース(プラスチック製の添え木のような装具)の使用が有効とされています[Arch Orthop Trauma Surg. 2013;133(8):1129-1141.]。ただし、I度からIII度までの大多数のケースで手術は必要ないと報告されています[Arch Orthop Trauma Surg. 2013;133(8):1129-1141.]。

足首の捻挫を繰り返さないための再発予防

捻挫からの回復後に見落とされがちなのが再発予防です。足首の捻挫では、ケガをした後にバランス感覚が低下しやすく、再び同じケガを起こすリスクが高まります。そのため、バランストレーニングが再発予防に有効であることが示されています[日本アスレティックトレーニング学会誌. 2018;3(2):117-126.]。

具体的には、片足立ちでバランスをとる練習や、不安定な面の上に立つトレーニングなどが挙げられます。こうした段階的なリハビリを行うことで、足首の安定性が向上し、再受傷のリスクを下げることが期待されます[日本アスレティックトレーニング学会誌. 2018;3(2):117-126.]。

プレーを続けていいかの判断目安

以下のような症状がある場合は、プレーを中断し、安静にすることが大切です。

  • 体重をかけると強い痛みがあり、まともに歩けない
  • 足首が大きく腫れている、または皮下出血(あざ)が広がっている
  • 足首がぐらぐらして不安定に感じる

これらはII度以上の捻挫が疑われる症状です。一方、軽い痛みのみで歩行に支障がなく、腫れも軽い場合はI度の可能性がありますが、自己判断には限界があります。痛みが翌日以降も続く場合や、判断に迷う場合は、医療機関への受診をご検討ください。

足首の捻挫への対処のうえで日常生活の工夫として検討が推奨される点

足首の捻挫への対処の上での日常生活の工夫について、3つのコツとその内容、理由をまとめた表です。1つ目は「ケガ直後の保護」で、痛みが出たらすぐにプレーを中断し、1〜3日間は足首を保護することです。理由は「ケガ直後に無理をすると靭帯の損傷が悪化する可能性がある」ためです。2つ目は「段階的に動かす」で、痛みが許す範囲で少しずつ足首を動かし始めることです。理由は「完全な安静を続けると筋力や柔軟性が低下し、回復が遅れる可能性がある」からです。3つ目は「バランストレーニング」で、回復後に片足立ちなどのバランス練習を取り入れることです。理由は「バランス感覚の回復が再発予防につながると考えられている」ためです。
特に重要とされるのは、ケガの重症度を見極めたうえで、適切なタイミングで動き始めることと考えられています。

ここだけは伝えたいメッセージ

足首の捻挫は身近なケガですが、正しい対処をすれば多くの場合は手術なしで回復が見込めます。重症度に応じた適切な対応と、焦らず段階的にリハビリを進めることが、スポーツへの安全な復帰につながります。

ただし、強い腫れや痛み、足首の不安定感がある場合は、II度以上の損傷の可能性があります。自己判断で無理にプレーを続けるとケガが長引くおそれがあるため、そのような場合は早めに医療機関への受診をご検討ください。

まとめ:足首の捻挫と靭帯損傷の違い・プレー復帰の判断

  • 捻挫と靭帯損傷: 捻挫は靭帯が伸びたり切れたりした状態の総称であり、靭帯損傷と同じ意味です
  • 重症度分類: I度(靭帯が伸びた状態、1〜2週間で回復)、II度(部分断裂、3〜6週間)、III度(完全断裂、6〜12週間)の3段階に分けられます
  • 応急処置: ケガ直後は保護・挙上・圧迫・冷却を行い、1〜3日間の保護のあとは痛みが許す範囲で少しずつ動かすことが推奨されています
  • プレー続行の目安: 強い腫れ・痛み・足首の不安定感がある場合はプレーを中断し、医療機関への受診をご検討ください
  • 再発予防: バランストレーニングなどの段階的なリハビリが再発防止に有効とされています

編集・監修基準について

本記事は情報の正確性を担保するため、以下のフローを経て作成・公開されています。

コンテンツ制作・運営ポリシーについて
企画・執筆、医師監修、編集レビュー、公開までの流れ

ユビーウェルネスをGoogleの優先ソースに登録

Googleの「優先ソース」に登録すると、Google検索やAIによる回答(AI Overviews / AI モード)で、ユビーウェルネスの記事が優先的に表示されるようになります。

Googleで優先するソースとして追加

(参考文献)

Bergman R, Li D, Shuman VL. Acute Ankle Sprain. StatPearls [Internet]. Treasure Island (FL): StatPearls Publishing; 2026 Jan-.

Petersen W, Rembitzki IV, Koppenburg AG, et al. Treatment of acute ankle ligament injuries: a systematic review. Arch Orthop Trauma Surg. 2013;133(8):1129-1141.

Kerkhoffs GM, van den Bekerom M, Elders LA, et al. Diagnosis, treatment and prevention of ankle sprains: an evidence-based clinical guideline. Br J Sports Med. 2012;46(12):854-860.

Dubois B, Esculier JF. Soft-tissue injuries simply need PEACE and LOVE. Br J Sports Med. 2020;54(2):72-73.

小林匠. 足関節捻挫の病態と治療. 日本アスレティックトレーニング学会誌. 2018;3(2):117-126.

公開日:

最終更新日:

筋肉・関節ケアの記事から探す