

監修者福岡ハートネット病院、井林眼科・内科クリニック 糖尿病・内分泌科 福岡ハートネット病院 糖尿病内科部長
冷房の効いた環境に長時間いると体の熱産生が減り、エネルギー消費が低下して太りやすくなる可能性があります。
冷房太りとは?エアコン環境で太りやすくなる理由
快適な温度に保たれた環境に長時間いると、体が自ら熱をつくり出す働き(熱産生)が低下し、エネルギー消費が減少する可能性が指摘されています[Obes Rev. 2011;12(7):543-51.]。人間の体は暑さや寒さに対応するためにエネルギーを使いますが、エアコンで一定の温度に保たれた空間ではその必要が少なくなるためです。
さらに、快適温度帯での生活が続くと、脂肪を燃焼して熱を生み出す褐色脂肪細胞の活動も低下すると考えられています[Obes Rev. 2011;12(7):543-51.]。こうした変化が重なることで、夏場でも体重が増えやすくなる「冷房太り」につながる可能性があります。
冷房と基礎代謝の関係|室温がエネルギー消費に与える影響
室温とエネルギー消費の関係を調べた研究では、室温16℃の環境と22℃の環境を比較したところ、16℃のほうが24時間あたりのエネルギー消費が多かったことが報告されています[Eur J Clin Nutr. 2002;56(4):288-96.]。つまり、体がはっきりと寒さを感じる環境では、体温を維持するためにより多くのエネルギーが使われるということです。
また、複数の研究を統合した分析では、寒冷刺激を受けた場合にエネルギー消費が1日あたり約188kcal増加したと報告されています[Front Physiol. 2022;13:917084.]。冷房で快適な温度が保たれている環境では、この寒冷刺激によるエネルギー消費の上乗せ分が失われている可能性があります。このことから、冷房環境が長時間続く夏の生活では、エネルギー消費が減少しやすいと考えられます。
ただ、夏場に過度な冷房で体を冷やしすぎるのは逆効果です。外気温(猛暑)との激しい温度差は自律神経の乱れを招き、血流低下による「むくみ」や、慢性的な疲労感を引き起こします。
エアコン生活でも太らないための日常活動の工夫
冷房環境で過ごす時間が長くても、日常の活動量を意識的に増やすことでエネルギー消費を補える可能性があります。運動以外の日常的な体の動き(家事、通勤時の歩行、階段の利用などの非運動性熱産生:NEAT)によるエネルギー消費は、個人差が最大で1日あたり約2000kcalにもなることが報告されています[Mayo Clin Proc. 2015;90(4):509-19.]。
この知見は、ジムでの運動だけでなく、日常生活の中でこまめに体を動かすことが冷房太りの予防にも重要であることを示唆しています。たとえば、デスクワーク中にこまめに立ち上がる、エレベーターの代わりに階段を使うといった小さな工夫を積み重ねることが、エネルギー消費の維持につながると考えられます。
冷房太り対策に役立つ食品と機能性表示食品
日常活動に加えて、食品の成分を活用してエネルギー消費を底上げすることも選択肢のひとつです。複数の研究を統合した分析では、茶カテキンとカフェインを含む飲料がエネルギー消費を用量依存的に増加させ、脂肪の分解も促進することが報告されています[Obes Rev. 2011;12(7):e573-81.]。冷房太りが気になる方にとって、日常的に緑茶を取り入れることはエネルギー消費の維持に役立つ可能性があります。
また、内臓脂肪が気になる方への選択肢として、葛の花由来の成分を含む機能性表示食品があります。厳密に計画された研究では、葛の花抽出物を12週間摂取したグループで、体格指数(BMI)や内臓脂肪面積が摂取しなかったグループと比べて有意に低下したことが報告されています[Biosci Biotechnol Biochem. 2012;76(8):1511-7.]。冷房環境での代謝低下が気になる場合、こうした機能性表示食品を日常の生活習慣改善と組み合わせて活用することも検討できます。
なお、機能性表示食品は医薬品ではないため、効果を保証するものではありません。効果には個人差があり、あくまで生活習慣の改善を補助するものとして位置づけることが大切です。
冷房太りを防ぐうえで日常生活の工夫として検討が推奨される点

特に重要とされるのは、日常生活の中でこまめに体を動かす習慣を持つことと考えられています。
ここだけは伝えたいメッセージ
冷房太りは、日常のちょっとした工夫で予防できる可能性があります。こまめに体を動かすこと、緑茶を取り入れること、室温設定を見直すことなど、無理なく続けられる習慣を少しずつ取り入れてみてください。
ただし、体重の増加が続く場合や、疲れやすさ・むくみなど体調の変化が気になる場合は、医療機関への相談をご検討ください。
まとめ:冷房太りを防ぐために知っておきたいポイント
- 冷房太りの仕組み: エアコンで快適な温度に保たれた環境に長時間いると、体の熱産生や褐色脂肪細胞の活動が低下し、エネルギー消費が減少する可能性があります
- 室温とエネルギー消費の関係: 室温が低いほうが体温維持のためにエネルギーが多く使われ、冷房環境ではその分のエネルギー消費が失われやすくなります
- 日常活動の重要性: 運動以外の日常的な体の動き(家事・歩行・階段利用など)を意識的に増やすことが、エネルギー消費の維持につながります
- 食品の活用: 茶カテキンを含む緑茶の習慣的な摂取や、葛の花由来の機能性表示食品を補助的に活用することも選択肢です
- 受診の目安: 体重増加が続く場合や体調の変化が気になる場合は、医療機関への相談をご検討ください
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(参考文献)
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Kamiya T, Takano A, Matsuzuka Y, et al. Consumption of Pueraria flower extract reduces body mass index via a decrease in the visceral fat area in obese humans. Biosci Biotechnol Biochem. 2012;76(8):1511-7.
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