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半身浴と全身浴、疲労回復によいのはどっちですか?
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半身浴と全身浴、疲労回復によいのはどっちですか?

栗原 信吾監修者

北水会記念病院 整形外科

栗原 信吾

全身浴のほうが水圧の影響を受ける範囲が広く、血流への働きかけも大きくなる可能性がありますが、半身浴は心臓への負担が少ない傾向があります。どちらがよいかは、体調や目的に応じて選ぶといいでしょう。

半身浴と全身浴の違い

半身浴はみぞおちや腰の高さまで湯に浸かる入浴法で、全身浴は肩や首まで湯に浸かる入浴法です。この「浸かる深さ」の違いによって、お湯の重さ(水圧)が体にかかる範囲が変わります。全身浴では肩や首まで水圧がかかるのに対し、半身浴では下半身にしかかからないため、体への影響の出方が異なります。

浸かる深さによる血流・心臓への影響の違い

浸かる深さが深くなるほど、水圧の影響で末梢(手足など)にたまっていた血液が心臓の方へ押し戻されやすくなり、心臓が送り出す血液の量(心拍出量)や、心臓に戻る血液の圧力(中心静脈圧)などが段階的に増えることが報告されています[Klin Wochenschr. 1981;59(12):623-8.]。同じ研究では、心拍数は安静時から腰の高さまで浸かった段階では低下しましたが、それより深く(胸や首まで)浸かっても、心拍数はそれ以上変化しなかったことも示されています。

浸かる深さによって末梢の血流量への影響が異なることも報告されています。健常成人男性10名を対象に、半身浴(みぞおち=剣状突起の深さまでの浸水)と、ふくらはぎの中央程度までの浸水(低脚浴)を比較した小規模な研究では、半身浴では血流量が急激に約2.7倍まで上昇したのち短時間で低下したのに対し、低脚浴では血流量が緩やかに約1.7倍まで上昇し、その後も維持されたことが報告されています[J Phys Ther Sci. 2022;34(10):652-656.]。また、脈拍(心拍数とほぼ同じ意味の指標)も半身浴では明確に増加しましたが、低脚浴では変化がみられませんでした。ただしこの研究は10名の健常成人男性を対象とした小規模な予備的研究であり、女性や高齢者、持病のある方にそのまま当てはまるとは限りません。

これらの結果から、浸かる深さが深いほど、血流や心臓への働きかけが大きくなる傾向があると考えられます。急激に変化してすぐ落ち着くか、緩やかに変化して持続するか、というパターンの違いも見られており、全身浴は全体的な血のめぐりへの働きかけが半身浴より大きくなる可能性がある一方、心臓への負担も相対的に大きくなるといえるでしょう。

半身浴と全身浴、それぞれに向いている場面

全身浴は体への働きかけが大きい分、しっかりと体を温めたいときや、短時間でリフレッシュしたいときに向いているといえるでしょう。一方、半身浴は心臓への負担が少ないため、長時間ゆったりと入浴したい場合や、心臓に不安がある方、のぼせやすい方に向いていると考えられます。

半身浴か全身浴かを選ぶにあたって日常生活で検討が推奨される点

半身浴と全身浴を選ぶうえでの3つのコツと理由をまとめた表です。1つ目は「目的に応じて使い分ける」で、短時間でしっかり温まりたい日は全身浴、ゆったり長く入りたい日は半身浴を選ぶことです。理由は浸かる深さによって血流・心臓への働きかけの大きさが異なると考えられているためです。2つ目は「のぼせやすい方は半身浴を選ぶ」で、半身浴は水圧の影響を受ける範囲が狭く、体への負担が比較的論さいことです。理由は浸かる深さが浅いほど、心拍数や血流の変化が緩やかであることが報告されているためです。3つ目は「体調に不安がある場合は無理をしない」で、長湯や熱すぎるお湯を避け、体調に応じて入浴法を選ぶことです。理由は浸かる深さが深いほど心臓への働きかけが大きくなる可能性があるためです。

その日の体調や目的に合わせて入浴法を選ぶことが、特に重要と考えられます。

ここだけは伝えたいメッセージ

半身浴と全身浴は、どちらが絶対的に優れているというものではなく、それぞれ体への働きかけ方が異なります。その日の体調や目的に合わせて使い分けることが、疲労回復のうえで役立つ可能性があります。心臓や血圧に不安がある方、入浴中に気分が悪くなったことがある方は、入浴法について医療機関への相談をご検討ください。

まとめ:半身浴と全身浴、疲労回復のための選び方

  • 浸かる深さの違い:半身浴はみぞおち・腰の高さまで、全身浴は肩・首までと湯に浸かる深さが異なり、水圧のかかり方が変わります
  • 血流・心臓への影響:浸かる深さが深いほど、心拍出量など心臓の働きや末梢の血流量への影響が大きくなることが報告されています
  • 半身浴の特徴:水圧の影響を受ける範囲が狭く、心臓への負担が比較的小さいと考えられます
  • 選び方のポイント:しっかり温まりたい日は全身浴、ゆったり入りたい日や体調に不安がある日は半身浴、と使い分けるとよいでしょう

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(参考文献)

Takahashi Y, Okura K, Kaga M, Yoshioka M. Effects of half-body and foot baths on peripheral circulation in healthy adult males: a pilot study. J Phys Ther Sci. 2022;34(10):652-656.
Löllgen H, von Nieding G, Koppenhagen K, Kersting F, Just H. Hemodynamic response to graded water immersion. Klin Wochenschr. 1981;59(12):623-8.

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