

北水会記念病院 整形外科
筋肉の温度が上がると血流が増え、筋肉のこわばりが和らぐことに関わっているとされています。実際に肩の筋肉を温めるケアで、こわばりの指標が改善したことも報告されています。
温めると血流が増える仕組み
筋肉の温度が上がると、血液の中の赤血球からATP(アデノシン三リン酸)という物質が放出され、血管の内側の細胞から血管を広げる物質(一酸化窒素)が作られやすくなることが報告されています[Exerc Sport Sci Rev. 2020;48(4):163-169.]。血管が広がることで血流が増え、筋肉に酸素や栄養が届きやすくなると考えられています。
肩の筋肉を温めるケアでこわばりが和らいだ研究
実際に、肩の筋肉を温めるケアでこわばりが和らぐことを示した研究もあります。パソコン入力作業(タイピング)を行ったあと、ウェアラブルの温熱デバイスを使って肩の筋肉に温熱と冷却を交互に与えたところ、筋肉の硬さを示す指標が、作業直後と比べて有意に低下したことが報告されています[BMC Musculoskelet Disord. 2022;23:669.]。また、参加者が感じる「筋肉のこわばり」という主観的な感覚も、温熱刺激を行わなかった場合と比べて、明確に和らいでいたことも示されています。
心地よさと血流・こわばりの関係
これらの研究から、筋肉を温めることで血流が増え、こわばりの感覚が和らぐという一連の流れが、肩こりのケアとして心地よく感じられる理由のひとつと考えられます。ただし、温めることで得られる効果の大きさは、温める方法(お風呂・温熱シートなど)や温度、時間によって異なる可能性があり、すべてのケア方法で同じ効果が得られるとは限りません。
肩こりに温めるケアを取り入れるうえで日常生活の工夫として検討が推奨される点

肩を温める習慣を、無理のない範囲で続けることが、特に重要と考えられます。
ここだけは伝えたいメッセージ
肩こりに温めるケアが心地よく感じられるのは、血流が増えて筋肉のこわばりが和らぐことに関わっていると考えられます。温熱シートや蒸しタオルなどを、日々のケアに取り入れてみてください。しびれや強い痛み、腕に広がる痛みなど、気になる症状がある場合は、医療機関への相談をご検討ください。
まとめ:肩こりに温めるケアが心地よい理由
- 仕組み:筋肉の温度が上がると、血管を広げる物質(一酸化窒素)が作られやすくなり、血流が増えると考えられています
- 実際の研究:肩の筋肉に温熱・冷却を交互に与えた研究では、筋肉の硬さの指標が作業直後と比べて有意に低下し、主観的なこわばりも温熱刺激なしの場合と比べて明確に和らいでいたことが報告されています
- 心地よさとの関係:血流が増えてこわばりが和らぐ流れが、心地よさの背景にあると考えられますが、効果の大きさは温める方法や条件によって異なる可能性があります
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(参考文献)
Kim K, Monroe JC, Gavin TP, Roseguini BT. Local Heat Therapy to Accelerate Recovery After Exercise-Induced Muscle Damage. Exerc Sport Sci Rev. 2020;48(4):163-169.
Sawada T, Okawara H, Nakashima D, et al. Effects of alternating heat and cold stimulation at different cooling rates using a wearable thermo device on shoulder muscle stiffness: a cross-over study. BMC Musculoskelet Disord. 2022;23:669.







