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子どもの夏バテと大人の夏バテの違いは?年代別のリスクと食事の工夫を教えてください。
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子どもの夏バテと大人の夏バテの違いは?年代別のリスクと食事の工夫を教えてください。

井上 信明監修者

埼玉医科大学総合医療センター 小児科

井上 信明

子どもと大人では、特に高温環境下での汗をかく能力が異なり、そのため体温調節の方法が異なります。また、子どもは脱水になりやすい特徴もあります。年代に合わせた水分・栄養補給が大切です。

子どもの夏バテの特徴|体温調節の仕組みが異なり脱水リスクが高い

子どもの体温調節には大人とは異なる特徴があります。子どもは発汗量が少ない代わりに、皮膚の血管を広げて体の表面から熱を逃がす「乾性放熱(かんせいほうねつ)」に頼る傾向があり、心臓から送り出される血液の多くが皮膚に回されるため、循環への負担が大きくなりやすいとされています[Nutrients. 2019;11(9):2010.]。

なお、軽度から中等度の暑さでは子どもと大人の体温調節能力に大きな差はないとする報告もありますが、猛暑などの極端な条件下ではリスクが高まると考えられています[Nutrients. 2019;11(9):2010.]。

さらに、子どもは体の大きさに対して体表面積が大きいため、周囲の環境から熱を吸収しやすく、同じ程度の脱水でも大人より体温が上がりやすいことが指摘されています[Curr Sports Med Rep. 2003;2(6):320-4.]。のどの渇きを自覚しにくいこともあり、気づかないうちに脱水が進むリスクがあります。

大人の夏バテの特徴|自律神経疲弊と胃腸機能の低下

大人の夏バテは、室内外の温度差による自律神経の繰り返しの切り替えが疲弊の主因です。暑い屋外から冷房の効いた室内への移動を1日に何度も繰り返すと、体温調節を担う自律神経が酷使されます。

加えて、体温の上昇と水分不足が同時に起こった場合の体への影響については、それぞれが別々に体に負担をかけるとした報告[Eur J Appl Physiol. 2020;120(12):2813-2834.]がある一方、体を動かしている状態では両方が重なることで体温の上がり方や心臓への負担がいっそう大きくなったとする報告もあります[J Strength Cond Res. 2019;33(3):727-735.]。条件によって結果が異なる可能性があり、今後さらなる研究の蓄積が期待されています。

大人では胃腸の血流が減りやすく、食欲の低下や消化不良が加わることで、栄養不足がさらに疲労を深めるという悪循環に陥りやすい傾向があります。

子どもと大人の夏バテの違い|比較まとめ

主な違いを整理すると、体温調節の仕組みでは、子どもは特に高温環境下において、発汗能力が十分ではないために乾性放熱が中心、大人は発汗が主な放熱手段です。脱水のリスクでは、子どもはのどの渇きの自覚が乏しく、少量の水分喪失でも体温が上昇しやすい一方、大人は発汗量が多い分、電解質の喪失も大きくなります。胃腸への影響は、子どもは食べむらが起きやすく、大人では自律神経の乱れから胃腸機能が顕著に低下します。

年代別の食事の工夫|子どもと大人のアプローチの違い

子どもの夏バテ対策では、少量頻回の水分補給が基本です。一度にたくさん飲ませるより、15〜20分おきにコップ半分程度を目安にします。食事では、卵かけごはんや具だくさんスープなど、たんぱく質を手軽に摂れるメニューを検討します。乳酸菌を含むヨーグルトやヨーグルト飲料は、子どもにも取り入れやすい腸内環境のサポート食品です。

大人の場合は、たんぱく質とビタミンB群の意識的な摂取に加え、腸内環境を整える食事が推奨されます。味噌汁は水分・塩分・たんぱく質を一度に摂れる食品として、夏場のセルフケアに適していると考えられます。ただし、これらは健康維持をサポートするものであり、病気を予防したり治したりするものではありません。

子どもと大人の夏バテ対策として日常生活の工夫として検討が推奨される点

子どもと大人の夏バテ対策としての日常生活の工夫について、3つのコツとその内容、理由をまとめた表です。1つ目は「子ども:少量頻回の水分補給」で、15〜20分おきにコップ半分程度、塩分を含む飲料も活用することです。理由は「子どもはのどの渇きの自覚が乏しく、脱水が進みやすいと考えられています」という点です。2つ目は「大人:たんぱく質+ビタミンB群を毎食意識」で、豚肉・卵・納豆・ヨーグルトを組み合わせ1食20g以上を目安に摂ることです。理由は「自律神経の回復に必要な栄養素が不足すると疲労が長引く可能性があります」という点です。3つ目は「共通:乳酸菌食品を1日1回取り入れる」で、ヨーグルト・乳酸菌飲料・味噌汁などを取り入れることです。理由は「腸内環境のバランスを整えることが、栄養吸収の効率維持に寄与する可能性があります」という点です。

特に重要とされるのは、子どもと大人では体温調節の仕組みが異なるため、同じ対策では不十分な場合があることです。

ここだけは伝えたいメッセージ

子どもの夏バテは大人が気づいてあげることが大切です。いつもより元気がない、食べむらが増えた、機嫌が悪いといったサインを見逃さず、こまめな水分補給と食事の工夫を心がけてみてください。大人自身も「自分は大丈夫」と無理をせず、栄養と休息を意識した生活を送ることが家族全体の夏バテ予防につながります。

ただし、子どもがぐったりして反応が鈍い、おしっこの回数が極端に減っている、大人で2週間以上、倦怠感が続くといった場合は、脱水症や他の疾患の可能性があります。自己判断で様子を見続けず、医療機関への受診をご検討ください。

まとめ:子どもと大人、それぞれの体に合った夏バテ対策を

  • 子どもの特徴: 発汗量が少なく乾性放熱に依存。のどの渇きを自覚しにくく脱水リスクが高い
  • 大人の特徴: 自律神経の乱れが中心。胃腸機能の低下で栄養不足が重なりやすい
  • 子どもの対策: 少量頻回の水分補給、たんぱく質の手軽なメニュー、ヨーグルト飲料の活用
  • 大人の対策: たんぱく質+ビタミンB群を毎食意識、乳酸菌食品で腸内環境を整える
  • 注意: 子どものぐったり・おしっこ減少、大人の2週間以上の倦怠感は、医療機関への受診をご検討ください

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(参考文献)

Smith CJ. Pediatric Thermoregulation: Considerations in the Face of Global Climate Change. Nutrients. 2019;11(9):2010.
Bytomski JR, Squire DL. Heat illness in children. Curr Sports Med Rep. 2003;2(6):320-4.
van den Heuvel AMJ, Haberley BJ, Hoyle DJR, et al. Hyperthermia and dehydration: their independent and combined influences on physiological function during rest and exercise. Eur J Appl Physiol. 2020;120(12):2813-2834.
Adams EL, Casa DJ, Huggins RA, et al. Heat Exposure and Hypohydration Exacerbate Physiological Strain During Load Carrying. J Strength Cond Res. 2019;33(3):727-735.

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